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第7章

第312話 温泉地観光

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偵察君を飛ばしてみると、川が有って、川辺に湯気の出ている場所が見えた。そして近くに建物がいくつも建っている。村なのか街なのか規模はあまり大きくなさそうだけど、結構人がいる。

「温泉街かなぁ。」
「にゃーん。」
「ポヨン。」

シーサーペントの革に偵察君が撮った映像を映し出して暫く観察してみた。結構貴族っぽい格好の人もいる。観光地かもしれない。温泉街ならちょっと行ってみたいよね。

***************************

ガラガラゴトゴト、でこぼこした道の上を馬車が進む。

「滝が見えてきましたよー!」

馬車の前方の方から元気な声が聞こえて来た。

ドウン!石の上に乗り上げたのか馬車の車体が軽く撥ねた。
揺れる馬車の中でラルフ君が、窓の縁にしがみついて外を覗いた。

「見える?」

ロルフ君はラルフ君の背中を支えつつ一緒に窓の外を覗いた。

「滝、チラッと見えたかも。」

僕達はエルストベルクの領都よりちょっと北の温泉地に来ている。
ダンジョンマスターのプニョン君に教えてもらった温泉街の話を父様達にしたんだけど、エルストベルク領内の場所だし父様達は元々その場所の事は知っていたらしい。

でも「美肌に良い」って言葉に母様が凄く関心を示して行ってみることになったんだよ。

地熱で暖かい場所があるのとお湯が湧き出るので、冬を過ごす近隣の貴族の保養地にもなっているそうだ。
ただ、行くには山道を通らないと行けなくてちょっと不便な場所なんだって。
だから余暇を楽しむためというよりは、静養する為の場所みたいな扱いだったらしい。
でも、温泉のお湯が美肌によいなら、もっと発展ができるんじゃないかって母様は考えたみたい。
それで急遽視察に行くことになったんだ。

父様は領都でお留守番。母様と母様の義理のお姉さんのダニエラ伯母様が一緒だ。それとダニエラ伯母様の子で僕の従兄弟のラルフ君とロルフ君も来てくれたから嬉しい。
ギルベルト君とラオウル君にも声をかけたら一緒に来てくれたんだよ。

温泉が沸き出している辺りは、アタムスン村と言うそうだ。
ちょっと辺鄙な場所にあるけれど、地熱で冬でも温暖で雪が積もらない、穏やかな場所だ。
大きな宿もある。僕達が到着した時も既に何組かの貴族一家が宿に滞在していた。

村に到着すると母様とダニエラ伯母様、アリサ姉様、マーリエは、早速温泉を堪能しに行った。
宿の設備とかサービスとか色々チェックするんだって。「今後の発展の為に、改善点の検討をするのよ。着いた早々本当に忙しいわ。」と言っていたけど凄く楽しそうだった。

僕達男子組は、近隣の観光出来そうなスポットを見に行ってこいって言われたんだ。
それで案内してくれる人を捜して、山道を進んだ先にあるっていう滝を見に来たんだよ。

ギリギリ馬車が通れる勾配と狭さの山道を進んで、馬車を停められる程度には拓けた所で一旦馬車を降りる。
既に水が落ちる音が響いている。
ちょっと湿っていて滑りそうな小道を行くと、滝が見えた。

ザザザザザザーーー。
滝のながれる音が響いている。

滝の周辺は結構雪が積もっている場所がある。でも滝は凍ったりはいていなさそう。
綺麗な場所だけど、ちょっと寒いかも。でも夏場は涼しそうだね。
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