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第6章

第301話 事件解決

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「ここにいるよ。それでね、鉄道をここまで繋げたの。」

ケン様の様子もちょっと気になるのでシーサーペントの革を取り出して、偵察君の映像を表示した。
頭を抱えて蹲っているケン様の周りを、男達が取り囲んでいた。時々何か振り上げて叩くような動作をして、弾かれている。
ケン様にくっついている偵察君の物理耐性機能が今のところ壁になってくれているみたいだ。

ケン様が取り囲まれている様子を見て、父様が眉を吊り上げた。

「襲われている? 何かに弾かれているようだな。防御の魔道具か何かか。」
「そんな感じのやつ。」
「ソーマの魔法か?」

父様の言葉に僕が頷くと、父様は僕の頭をポンポンと撫でてくれた。それから、マップで場所の詳細を確認した後、騎士達に指示を出して出動して行った。
僕は部屋に居なさいって言われちゃったので、お部屋に待機していることにしたよ。

山の中のダンジョン鉄道の出口までは一度も試運転をしていなかったけど、問題なく辿り着けたようだった。

父様達がダンジョン鉄道で山の中に着いたのを確認して、ケン様がいる洞窟の出口を小さい灯りで照らして分かりやすいようにしておいた。
あまり明るすぎると洞窟の中から気付かれちゃうから、蛍の光より少しだけ大きめくらいの光を洞窟の出口にそって配置して点滅するようにしておいた。
父様達は気付いてくれたようだ。

斥候らしき人が洞窟に近付いて行って中の様子を確認したと思ったら、そこからはあっという間だった。
見張りとか居なかったし、多分相手は油断していたんじゃないかと思う。
数人の騎士が洞窟に入ったと思ったら一気に制圧してしまった。
赤白令嬢が大声で騒ぎ立ててたけどすぐに取り押さえられたのか静かになった。
誰かがケン様を人質に取ろうとしたのかケン様に剣を向けたけど物理耐性で弾き返されていた。

全員取り押さえられたのを確認してから、ケン様にくっつけていた偵察君の物理耐性を弱めておいた。そうしないと誰も近寄れないからね。
騎士に声をかけられて、助かった事を理解したケン様は涙でぐしょぐしょになった顔のまま、赤白令嬢に声をかけた。

『ルイーサ‥‥、どうして?どうしてだい?僕達は友達じゃなかったのかい?』
既にロープで拘束されている赤白令嬢がキッとケン様を睨むように見た。
『友達ですって?ハンッ!』

赤白令嬢が鼻で笑う。

『まだそんな事言ってるの?本当にボンクラね。』
『ルイーサ?』
『辺境伯の子息だと思ったから近付いただけよ。そうじゃなきゃ、あんたみたいなボンクラ相手にする訳ないでしょう?』
『ど、どうして‥‥。』
『あー!面倒くさい!』

赤白令嬢は苛ついた様子でケン様に罵声を浴びせた。ケン様は状況が把握できないのか、戸惑った様子のままだった。
そうしてケン様は救出されたけど、洞窟を出たら、何か魔道具のような物で眠らされていた。誘拐犯達も皆眠らされて、荷物のように運ばれて行った。
そうしてケン様誘拐事件は無事解決した。
後から訊いたら、ダンジョン鉄道を知られないようにする為に眠らせたんだって。成る程、そこまで思いついてなかったよ。
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