上 下
279 / 466
第6章

第279話 事情聴取

しおりを挟む
クリフォードさんの背中を支えているフォンゾさんの顔色もあまり良く無い。凄く疲れているみたいだ。ずっと探しに走り回っていたのかな。
泣き崩れそうな様子のクリフォードさんに、叔父様が話しかけた。

「今から状況を聞こうとしていたところだったんだよ。‥‥あちらで座らないかい?」
「あなたは?」
「僕の叔父様だよ!」

クリフォードさんが初めて叔父様に気がついたみたいに顔を上げたので僕が叔父様の事を紹介した。

領都の冒険者ギルドは、王都とちがってフロアに酒場が併設されていない。隣の建物に酒場兼食事処があるんだって。酔っぱらったまま依頼を受けちゃダメってことらしいんだけど、静かでいいよね。

酒場の方にはには行かずに、冒険者ギルド内で個別のお話をする為の部屋を借りて入った。
ギルドの人と内密な依頼のお話とかをする場所なんだって。

「大変失礼いたしました!領主家の方と存じ上げず‥‥!」

部屋に入るなりクリフォードさんとフォンゾさんが頭を下げてしまった。
さっき、ギルドマスターのロトヴィックさんとクリフォードさん達が相談をしていたときに、ジョスさんのことを領主家の関係者と紹介されたんだって。領主家の代理で行方不明の件の状況を訊きに来たって。

「俺は領主でもなんでもないからね。そう畏まらないで。」
「ソーマ君が高位貴族の子息だろうとは思っていましたけど、まさか辺境伯様のご子息とは思っていなくて‥‥。」
「え?僕?」
「護衛らしき人が三人もついていれば、ね。貴族なら察しますよ。」

お忍びと思ってあえて家名を名乗らずにフランクに接してくれてたらしい。優しい~。でも、三人?
きょろっと見回すと、リヒャルトさんとインゴさんの隣で、ラオウル君がちょっと恥ずかしそうにしていた。あ、ラオウル君の事を言ってたのか。

「ラオウル君は友達だよ! あ!リヒャルトさんとインゴさんもね、お兄さんみたいなんだ!」
「そう‥なんだね。」

クリフォードさんが微笑む。でもその笑顔に元気がない。

「テッサ達の話だよね。何時から居なくなったの?」

僕が訊くとクリフォードさんが頷いて、説明をしてくれた。

今日はクリフォードさんはフォンゾさんと一緒に朝から討伐依頼を受けて領都郊外に出かける予定だった。
テッサ達も一緒に付いて行きたがって、出がけにちょっと揉めたけど、話し合ってテッサ達は見習い冒険者向けの薬草採取の依頼を受けることにしたんだそうだ。
そして一緒に冒険者ギルドまで行って、ギルドの窓口で一緒に手続きをした後に別れたらしい。
その後、クリフォードさん達が討伐依頼から戻って来たときに、ギルド内でテッサ達が待っているかなと思って少し探してみたけど姿がみえなかったそうだ。その時に僕達とあったんだって。
先に帰ったのかと思って帰宅したけど、いつまで待っていても帰って来ないので、フォンゾさんと一緒にギルドに確認にきたそうだ。

冒険者ギルドの職員に相談をしたら、薬草採取の場所の近くで同じような依頼を受けていた人に聞き込みをしてくれたんだって。
でも赤い革鎧の三人組が薬草を摘んでいたというのを見かけた人はいたけど、それ以上の情報が得られなかったそうだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

目覚めたら7歳児でしたが、過酷な境遇なので改善したいと思います

瑞多美音
ファンタジー
 ふと、目を覚ますと7歳児になっていた。しかも、奴隷に……  どうやら今世のわたしが死にかけたことで前世の記憶がよみがえったようだ……    熱病で生死をさまよい死にかけグループに移動させられたメリッサ。  死にかけグループとは病気や怪我などで役に立たないとされるひとが集められており、部屋は半壊、冷たい床に薄い布団、ご飯は他のグループと比べるとかなり少ないとか。ほかより待遇が悪くなるようだ……    「扱いが他よりちょっとひどいが、部屋でできる仕事がまわってくる。慣れればなんとかなるよ」  と言われたものの、さすが死にかけグループ。訳ありの人ばかり。  神様に見送られたわけでもチートをもらったわけでもない……世知辛い。  ここは自分の頭と行動で自分を助けるしかないな。前世では手助けしてくれた両親も今世は見当たらないのだから……でもなんだか、この部屋は心地よい。前の部屋は自分のことで精一杯という感じだったのにここでは正に一心同体。  みんなには死んでほしくないからすこしでも工夫しないと。    死にかけたことで前世を思い出した主人公が過酷な境遇を改善するため周囲のひとを巻き込みつつ知恵や工夫を凝らしてまずは衣食住の改善を目指し頑張るお話。 ※この話には奴隷に関するもの、登場人物に火傷、隻腕、隻眼などが含まれます。あくまでもフィクションですが、苦手なかたや合わないと感じたかたは無理をなさらずそっ閉じでお願いいたします。 ※この語は法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。

猫がいない世界に転生しました〜ただ猫が好きなだけ〜

白猫ケイ
ファンタジー
もしも猫がいない世界に転生したら…どうする?テレシア・ポムエットは猫を助けて亡くなった女子高校生の記憶を持ちながら異世界で誕生してしまった。なぜ異世界と分かったかって、獣人がいて魔法がある猫のいない世界だったから。 産まれ変わってから、また猫と暮らせることを楽しみにしていたのに……猫がいないなんて。偶然保護した猫耳の男の子をきっかけに、猫に似た獣人と関わっていくことに。 「お前……! 俺を買い取って何が目的なんだ!」 「ね、ねこしゃん、テレシアとお友達になって!」 「……はっ?」 新たに得た立場を利用し目指すは獣人が幸せに暮らせる世界! 【いいね何よりのやる気スイッチです!スイッチオン感謝します】

神々の娯楽に巻き込まれて強制異世界転生ー1番長生きした人にご褒美有ります

ぐるぐる
ファンタジー
□お休みします□ すみません…風邪ひきました… 無理です… お休みさせてください… 異世界大好きおばあちゃん。 死んだらテンプレ神様の部屋で、神々の娯楽に付き合えと巻き込まれて、強制的に異世界転生させられちゃったお話です。 すぐに死ぬのはつまらないから、転生後の能力について希望を叶えてやろう、よく考えろ、と言われて願い事3つ考えたよ。 転生者は全部で10人。 異世界はまた作れるから好きにして良い、滅ぼしても良い、1番長生きした人にご褒美を考えてる、とにかく退屈している神々を楽しませてくれ。 神々の楽しいことってなんぞやと思いながら不本意にも異世界転生ゴー! ※採取品についての情報は好き勝手にアレンジしてます。  実在するものをちょっと変えてるだけです。

かつてダンジョン配信者として成功することを夢見たダンジョン配信者マネージャー、S級ダンジョンで休暇中に人気配信者に凸られた結果バズる

竜頭蛇
ファンタジー
伊藤淳は都内の某所にあるダンジョン配信者事務所のマネージャーをしており、かつて人気配信者を目指していた時の憧憬を抱えつつも、忙しない日々を送っていた。 ある時、ワーカーホリックになりかねていた淳を心配した社長から休暇を取らせられることになり、特に休日に何もすることがなく、暇になった淳は半年先にあるS級ダンジョン『破滅の扉』の配信プロジェクトの下見をすることで時間を潰すことにする. モンスターの攻撃を利用していたウォータースライダーを息抜きで満喫していると、日本発のS級ダンジョン配信という箔に目が眩んだ事務所のNO.1配信者最上ヒカリとそのマネージャーの大口大火と鉢合わせする. その配信で姿を晒すことになった淳は、さまざまな実力者から一目を置かれる様になり、世界に名を轟かす配信者となる.

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

幼馴染と一緒に勇者召喚されたのに【弱体術師】となってしまった俺は弱いと言う理由だけで幼馴染と引き裂かれ王国から迫害を受けたのでもう知りません

ルシェ(Twitter名はカイトGT)
ファンタジー
【弱体術師】に選ばれし者、それは最弱の勇者。 それに選ばれてしまった高坂和希は王国から迫害を受けてしまう。 唯一彼の事を心配してくれた小鳥遊優樹も【回復術師】という微妙な勇者となってしまった。 なのに昔和希を虐めていた者達は【勇者】と【賢者】と言う職業につき最高の生活を送っている。 理不尽極まりないこの世界で俺は生き残る事を決める!!

異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか

片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生! 悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした… アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか? 痩せっぽっちの王女様奮闘記。

魔境暮らしの転生予言者 ~開発に携わったゲーム世界に転生した俺、前世の知識で災いを先読みしていたら「奇跡の予言者」として英雄扱いをうける~

鈴木竜一
ファンタジー
「前世の知識で楽しく暮らそう! ……えっ? 俺が予言者? 千里眼?」  未来を見通す千里眼を持つエルカ・マクフェイルはその能力を生かして国の発展のため、長きにわたり尽力してきた。その成果は人々に認められ、エルカは「奇跡の予言者」として絶大な支持を得ることになる。だが、ある日突然、エルカは聖女カタリナから神託により追放すると告げられてしまう。それは王家をこえるほどの支持を得始めたエルカの存在を危険視する王国側の陰謀であった。  国から追いだされたエルカだったが、その心は浮かれていた。実は彼の持つ予言の力の正体は前世の記憶であった。この世界の元ネタになっているゲームの開発メンバーだった頃の記憶がよみがえったことで、これから起こる出来事=イベントが分かり、それによって生じる被害を最小限に抑える方法を伝えていたのである。  追放先である魔境には強大なモンスターも生息しているが、同時にとんでもないお宝アイテムが眠っている場所でもあった。それを知るエルカはアイテムを回収しつつ、知性のあるモンスターたちと友好関係を築いてのんびりとした生活を送ろうと思っていたのだが、なんと彼の追放を受け入れられない王国の有力者たちが続々と魔境へとやってきて――果たして、エルカは自身が望むようなのんびりスローライフを送れるのか!?

処理中です...