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第6章

第274話 依頼達成率

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「はい。」

ギルド窓口のカウンターにお手紙を置く。
ちょっと高めなんだよね。ギルドのカウンターって。
なるべく簡単に乗り越えられないようにしているという噂がある。
乗り越えるって誰が?って考えるとちょっと怖い話だよね。

そんな事を考えながら手紙を置いたら、ギルド職員の人が不思議そうな顔をした。

「ソーマ、番号札は?」

ラオウル君がボソリと僕に耳打ちをする。あ、番号札持っていたの僕だった。

マジック財布にいれてしまっていたので取り出してカウンターに置いた。
受付の人がニコリとして番号札を受け取ってくれた。

「講習会の申し込み、でしたね。‥‥あの、こちらのお手紙はなんでしょうか。」

手紙の事が不思議だったようだ。宛先はちゃんと書いておいたんだけど。

「ロトヴィックさん宛のお手紙です。配達さんを頼んだ方がいいですか?」

手紙を出す時は、通常は冒険者ギルドか商業ギルド経由で配達業者に依頼するんだ。でも、ロトヴィックさんはこの冒険者ギルドのギルドマスターだから
配達業者さんなしでも行けるかなと思って出してみたんだけど。

「ギルドマスターへのお手紙ですか。承りました。ギルド証を拝見させていただいてよろしいでしょうか。」

受付の職員の人がにこやかに言う。あれ?もしかしてギルド員じゃないと手紙出せなかった?どうしよう!
一瞬僕が焦っている間に、リヒャルトさんが自分のギルド証をカウンターの上に差し出した。

「こちらを。」
「あ、はい。」

ギルド職員はリヒャルトさんのギルド証を確認すると、何か書類に記入して手紙と一緒にしまっていた。
リヒャルトさんのギルド証で大丈夫だったようだ。よかった。受け付けてもらえないならスライム封蝋の機能で宛先に直接飛んで行かせる所だったよ。
沢山人がいる所だとビックリしちゃう人もいるかもしれないから、昼間はやりにくいよね。でも夜中とかなら行けるんじゃないかな。

講習会の申し込み手続き自体はあっさり終了した。
一応ギルド職員さんにも見習い冒険者の講習会をもっと増やして欲しいと伝えておいたよ。
そうしたら逆に「見習い冒険者に登録して欲しい」って言われちゃった。

「依頼受ける訳じゃないなら寧ろ登録しない方がいいだろ。登録者数は依頼達成率に影響するんだから。」

登録しませんって言っているのに、ギルド職員の人が諦めずに登録申し込み書を差し出して来たら、リヒャルトさんがそれを押し戻して言った。
ギルド職員の人ははっとした顔をして頷いた。

「依頼達成率!そういえば、そうですね。失礼いたしました!」

さささっと登録申し込み用紙を引っ込めた。ふぅ、よくわからないけど登録しろ攻撃を免れたようだ。なんだか営業の人みたいだったなぁ。

依頼達成率は登録冒険者数一人当たり何件依頼を達成出来たかを現したもので、国中の冒険者ギルド内でその数値を争っているんだって。

正規冒険者、見習い冒険者、両方を合わせた数値の3種類あるらしい。それだったら確かに依頼を受けないで講習会だけでている人がいると数値が下がっちゃうね。

僕だって登録をしたら依頼は受けると思うんだけど、毎日は受けない気がする。
他に楽しい事ができたら来なくなっちゃうかもなぁ。
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