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第6章

第261話 講習受講日

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朝の時間は冒険者ギルドは空いているのかと思ったら、全然そんなことはなかった。
むしろ条件の良い依頼を受ける為に、依頼票が張り出される朝に冒険者達が殺到するらしい。
番号札窓口は何時も以上に行列だし、フロアに冒険者がごった返していた。

「そこ!依頼票見るのに邪魔だ。掲示板から離れてろよ。」
「なんだと。」

立っている位置でも文句を言われている人がいる。わーわー言っている人達の様子を見ていた僕の肩にリヒャルトさんが手を乗せた。

「ソーマ坊ちゃん。ギルド裏に行きましょう。」

講習会の参加者はギルド裏の訓練場入り口集合だから、当日は番号札を貰う必要はないんだよね。
でも朝のギルドの様子をちょっと見てみたくて、ギルド裏に続く通用口の手前で立ち止まって様子を見ていたんだ。ワイワイ凄かったなぁ。声なんてホールに反響しちゃって会話が聞き取りにくそうだった。
集合時間にはまだ少し余裕があるけど、フロアにいると邪魔になっちゃいそうだから、もう集合場所に行くことにした。

訓練場入り口近くまで行くと書類を胸の前で持った女性のギルド職員が立っていた。キョロキョロ周囲を見回してみたけど、他の参加者はまだ来ていないみたいだ。

「おはようございます。講習会ご参加の方でしょうか。」
「あ、はい。」
「わたくしギルド講習会担当のメリルと申します。お名前をお伺いいたします。」

メリルさんと名乗った職員の女性はすらりと背が高い。ちょっと迫力があって強そう。講習会担当って今日の先生なのかな。
僕達が名前を告げると予約のリストを確認してくれた。

「はい。『初級野営』にお申し込みですね。この入り口から入って奥の、木の柵で囲まれた場所にお進みください。看板が出ていますので。
こちら受講証です。首から下げておいてください。講習が終わったらこの箱に返してくださいね。」
「はあい。」

「初級野営」という文字と番号と記号が書かれた札に紐が付いている。首にかけてから結び目のところの玉の部分を押さえて引っ張ると長さが調節出来るみたいだ。便利!でも被り方失敗したみたいで頭で引っかかってアワアワ。結局インゴさんが手伝ってくれた。

受講者証を付けていると、ギルベルト君が小走りに駆けて来た。

「おはよう!」
「おはよう!ギルベルト君!」

ギルベルト君が手を振ってくれたので僕も手を振り返した。
駆けて来たギルベルト君とハイタッチ。僕の方がちょっと手の位置が下になっちゃうけどギルベルト君が合わせてくれた。
ギルベルト君がリヒャルトさん達にぺこりとお辞儀をした。リヒャルトさん達もそれに応える。

ギルベルト君は慣れた感じで受付を済ませていた。受講証を首にかけるのも上手!早速一緒に講習の場所に向かう。
訓練場の奥の壁側の一角に木の柵で囲まれた場所があった。看板にも「初級野営」と書いてある。
中に入ってみると、野営の雰囲気にしてあるのか、この一角だけ木が何本か立っていて大きい岩や小さい岩あちこちにある。雑草も生えていて石もゴロゴロ転がってる。この場所まで歩いて来た訓練場の地面は固かったけど、何か所か色の違う土の部分がある。

後ろの方からワイワイした話し声が聞こえて来たと思ったら、他の参加者達が来たようだ。四人組かな。

「場所、ここだよね。えー?ここだけ岩とかあるの?」
「野営だからじゃない? 」
「あれー?大人がいる。あんなに大人なのに新人冒険者ってことぉ?」
「おい、聞こえるぞ。‥‥保護者だろう多分。」
「保護者ってw。」

入って来た五人組はチラチラと僕達の方を見ていた。
背が高い男の子二人。兄様と同じくらいかなあ。あと、僕と同じくらいの年齢かなと思う男の子二人と女の子一人。
見習い冒険者と正規登録の新人冒険者かなと思うけど、装備が結構立派にみえる。お揃いっぽい赤みがかった革鎧を身に着けているんだ。腰に剣も下げている。
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