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第6章
第251話 お土産選び
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「ソーマ、行きたい場所はあるかい?買いたいものとか。」
麺を食べ終えたタイミングで叔父様が言った。この後デザートが来るらしい。
買いたいものか‥‥。
「あ、プティへのお土産!」
前回、買えなかったから今日は何かいいものが見つかるといいな。
「プティちゃんへのお土産?食べ物かな。」
「食べ物じゃないもので何かないかなと思って。」
叔父様は「ふむ」と考えた様子になった後、ジョスさんの方に顔を向けた。
「ソーマが可愛がっている小さい猫にお土産を買いたいっていうんだけど、何か思いつく?」
「猫ちゃん?ヘンリーがいたら大変そうですね。」
「ああ王都では騒いでたね。」
「やっぱり。‥‥お土産ですか‥‥。猫ちゃんだったら、玩具か‥‥身につけるものとか‥‥?」
「首輪は付けているよ。」
「リボンはどうですかね。近くの農村の冬場の手仕事で作る刺繍リボンが入荷して来てますよ。」
「刺繍リボン?」
作物が育たない冬の間に農村で女性達がリボンに刺繍をして売りに来ているらしい。
結構可愛い柄のリボンがあるというので食事の後、見せてもらう事にした。
デザートは白いモチモチしたブラマンジェみたいなものにベリーのソースがかかっているものだった。甘酸っぱいソースがアクセントになっていて美味しい。
食事が終わって店の外に出ると、テラス席の方から言い争う声が聞こえて来た。
すっかり忘れていたけど、テラス席でまだ口論していたみたいだ。
「そんなに怒らないでくれ。ルイーサはズーデン王国から来たばかりで心細い思いをしているんだ。親切にして当然だろう。君は本当に冷たいな。」
「心細いからといって、婚約者がいる男性にベタベタと接触してよいわけはありませんわ。」
「ケン様、私怖ーい。」
「またそうやってしがみつく!何なんですの貴女!」
見ないように見ないようにしていたけど、少し店から離れてからチラッと見てしまった。
一つのテーブルを囲んで料理を食べながら言い争っていた。喧嘩するならどちらか帰ればいいのに。
刺繍リボンを売っているお店はどこかと思ったら着いた先はエルスト商会だった。商会で綺麗な色の刺繍糸を割引価格で売って出来上がった刺繍リボンを買い取っているんだって。
少し幅広のリボンに花や小鳥が刺繍してある。小鳥のリボンが可愛い。
プティ用にオレンジの糸で刺繍された小鳥柄のリボンを買ってみた。
せっかくなので母様、姉様、マーリエの分も選ぶ。母様にはシックな色合いのもの。姉様に華やかなもの。マーリエには可愛らしいものがいいかな。
父様と兄様は‥‥どうしようかな。
父様と兄様は髪を後ろで縛ったりはするけど、可愛いリボンとかはちょっと微妙だよね。
じっと刺繍リボンが並べてある棚を見ていたら、端の方に細いリボンが並べてあった。5ミリくらいの幅で刺繍はない。色がグラデーションになっている。
背伸びして手を伸ばしたら、ジョスさんが棚から卸してくれた。
「これは染めているだけで刺繍がないリボンだよ。刺繍ができない人達が染めているんだ。」
青と緑や黄色とオレンジのグラデーションとかの色合いが綺麗だ。緑系なら瞳の色とも合うので父様と兄様へのお土産はこれにすることにした。
細いリボンはちょっと多めに買った。刺繍糸もいくつか買ってみた。
「リボン、沢山買ったね。刺繍糸も?」
買い物トレーの上に並べたリボンと刺繍糸を覗き込んで叔父様が言った。
「うん。こっちはお土産用で、こっちは何かに使ってみようかと思って。」
「じゃあ、お土産用は小分けにしましょう。」
ラッピングは箱に入れるのは仰々しい感じがしたので、綺麗な色の布で出来た巾着に入れてもらうことにした。
余分に買ったリボンと刺繍糸は紙袋にまとめていれてもらった。
無事お土産が買えてほっとした。
「これで安心して帰れるね。」
「ソーマ。まだ全然街歩きしてないよ。」
満足してたら叔父様に指摘されちゃった。そういえば、お昼を食べにレストランに移動しただけだったっけ。
麺を食べ終えたタイミングで叔父様が言った。この後デザートが来るらしい。
買いたいものか‥‥。
「あ、プティへのお土産!」
前回、買えなかったから今日は何かいいものが見つかるといいな。
「プティちゃんへのお土産?食べ物かな。」
「食べ物じゃないもので何かないかなと思って。」
叔父様は「ふむ」と考えた様子になった後、ジョスさんの方に顔を向けた。
「ソーマが可愛がっている小さい猫にお土産を買いたいっていうんだけど、何か思いつく?」
「猫ちゃん?ヘンリーがいたら大変そうですね。」
「ああ王都では騒いでたね。」
「やっぱり。‥‥お土産ですか‥‥。猫ちゃんだったら、玩具か‥‥身につけるものとか‥‥?」
「首輪は付けているよ。」
「リボンはどうですかね。近くの農村の冬場の手仕事で作る刺繍リボンが入荷して来てますよ。」
「刺繍リボン?」
作物が育たない冬の間に農村で女性達がリボンに刺繍をして売りに来ているらしい。
結構可愛い柄のリボンがあるというので食事の後、見せてもらう事にした。
デザートは白いモチモチしたブラマンジェみたいなものにベリーのソースがかかっているものだった。甘酸っぱいソースがアクセントになっていて美味しい。
食事が終わって店の外に出ると、テラス席の方から言い争う声が聞こえて来た。
すっかり忘れていたけど、テラス席でまだ口論していたみたいだ。
「そんなに怒らないでくれ。ルイーサはズーデン王国から来たばかりで心細い思いをしているんだ。親切にして当然だろう。君は本当に冷たいな。」
「心細いからといって、婚約者がいる男性にベタベタと接触してよいわけはありませんわ。」
「ケン様、私怖ーい。」
「またそうやってしがみつく!何なんですの貴女!」
見ないように見ないようにしていたけど、少し店から離れてからチラッと見てしまった。
一つのテーブルを囲んで料理を食べながら言い争っていた。喧嘩するならどちらか帰ればいいのに。
刺繍リボンを売っているお店はどこかと思ったら着いた先はエルスト商会だった。商会で綺麗な色の刺繍糸を割引価格で売って出来上がった刺繍リボンを買い取っているんだって。
少し幅広のリボンに花や小鳥が刺繍してある。小鳥のリボンが可愛い。
プティ用にオレンジの糸で刺繍された小鳥柄のリボンを買ってみた。
せっかくなので母様、姉様、マーリエの分も選ぶ。母様にはシックな色合いのもの。姉様に華やかなもの。マーリエには可愛らしいものがいいかな。
父様と兄様は‥‥どうしようかな。
父様と兄様は髪を後ろで縛ったりはするけど、可愛いリボンとかはちょっと微妙だよね。
じっと刺繍リボンが並べてある棚を見ていたら、端の方に細いリボンが並べてあった。5ミリくらいの幅で刺繍はない。色がグラデーションになっている。
背伸びして手を伸ばしたら、ジョスさんが棚から卸してくれた。
「これは染めているだけで刺繍がないリボンだよ。刺繍ができない人達が染めているんだ。」
青と緑や黄色とオレンジのグラデーションとかの色合いが綺麗だ。緑系なら瞳の色とも合うので父様と兄様へのお土産はこれにすることにした。
細いリボンはちょっと多めに買った。刺繍糸もいくつか買ってみた。
「リボン、沢山買ったね。刺繍糸も?」
買い物トレーの上に並べたリボンと刺繍糸を覗き込んで叔父様が言った。
「うん。こっちはお土産用で、こっちは何かに使ってみようかと思って。」
「じゃあ、お土産用は小分けにしましょう。」
ラッピングは箱に入れるのは仰々しい感じがしたので、綺麗な色の布で出来た巾着に入れてもらうことにした。
余分に買ったリボンと刺繍糸は紙袋にまとめていれてもらった。
無事お土産が買えてほっとした。
「これで安心して帰れるね。」
「ソーマ。まだ全然街歩きしてないよ。」
満足してたら叔父様に指摘されちゃった。そういえば、お昼を食べにレストランに移動しただけだったっけ。
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