上 下
249 / 466
第6章

第249話 ピン君列車の使い道

しおりを挟む
「ソーマ。今日はソーマとお出かけの約束が先だよ。お仕事だからって優先していたら、ずっとお仕事になっちゃうよ。でも気を遣ってくれてありがとう。」
「ああ!」

しまった!ついお仕事優先って考えちゃった。だめだ、ずっとお仕事優先にしてたら死んじゃう!過労死ダメ!絶対!

「お仕事優先じゃなくていいです!お身体壊しちゃう。」
「うんうん。」

叔父様が僕の頭をグリグリとした。そしてニコニコしたままライノアさんに言った。

「ライノア、急に来て騒いですまないな。今日は甥っ子もいるんで軽く話しをしよう。甥っ子のソーマだ。ソーマ、こちらはライノアだ。ツヴァイトベックの店の支店長だよ。」

叔父様に紹介されたのでライノアさんとお辞儀をし合った。あ、お名刺会ったら交換できるのにな。
叔父様とジョスさんとライノアさんは手短かにお仕事の話をしちゃうというので、僕はリヒャルトさんと一緒に待ってることにした。

叔父様やジョスさんは地下室から外に出てしまうと知り合いに会ってしまうかもしれない。そうなると移動方法について追求されるかもしれないので、叔父様達のお仕事の話し合いも地下室の一室でしているらしい。僕達も地下の別のお部屋を使わせてもらってそこで待機。リヒャルトさん達と手帳君でやり取りを試していた。
隣にいるのに手帳君だけで会話してたんだよ。何か変な感じだけどちょっと面白いよね。

リヒャルトさんと僕。インゴさんと僕。三人で居るのに一人ずつと手帳で会話していると不思議な感じ。
あ、グループチャットみたいなのがあるといいのか。
書き込んだ内容を指定した複数人で共有出来る機能を追加してみよう。すぐ出来るかな。手帳君の魔法陣の通信先の設定を少し弄れば良さそうだ。

「これは‥‥便利ですね‥‥。遠隔で文字のやり取りが出来るだけでも凄いことなのに‥‥。複数人でとは‥‥。」
「複数人に伝えたいときに一度で済むってことですね。凄い!」

リヒャルトさんとインゴさんには好評だ。後で叔父様とジョスさんの手帳にも機能追加してあげよう。

グループ機能のテストで盛り上がっているうちに叔父様とジョスさんが打ち合わせを終えて戻って来た。

ライノアさんには大判ノート君と手帳君を渡して使い方を教えたそうだ。

「こんなに簡単に支店に来られるとは思わなかったよ。緊急時や荷物の配送で使えると凄く便利だね。」

叔父様はとても嬉しそうに言ってくれた。でも‥‥緊急時?

「普段の移動には使わない?」
「うーん‥‥。どうやって来たか知られないようにしたいからね。」

階段を下りるとピン列車が待っていてくれた。すぐ乗り込まずに地図を出す。

「ねえ。街門から入れば他の人に会っても大丈夫なんだよね。」
「うん?」

街の周辺が見えるように地図を拡大した。街門や街道、周辺の森が表示される。

「うわ?地図が大きくなった?」
「この森の中とかに出ればいい?」
「森? 森の中にも出られるの?」
「人に見られないような場所があれば出られるよ。」
「それなら今度ライノアに街外に何か場所を確保させよう。」

ピン列車の行き先を変更してもらって森に出てみようかと思ったんだけど、森の中にも魔獣が居たり冒険者がうろうろしていたりするから、今日寄り道するのは諦めた。
ライノアさんに街の外の森の中に、狩猟小屋か何かを森の中に用意してもらって、そこからで出入りできるするようにしよういう話になった。

ブーン、ガッ、シューーーーーーン!ブーン、ガッ、シューーーーーーン!

ピン列車に乗ったら行きの時より滑って行く距離が伸びたような気がした。
待ってる間に改良したのかな。元々はレールを作るまでの移動手段だから今日だけしか使わないと思っていたけど、街外の出入り口も準備する予定だし、他の支店への移動の時も使えそうだね。

ふと、ピン君列車を地上で走らせたらどうだろうと思って想像してみた。街道に魔獣や盗賊が出ても振り切って進みそう。でも誰かが街道を横切ったときに滑って来たら、絶対止まれないね。うん。地下限定決定!街道中がピン君列車とかシュールで面白いと思ったんだけどね。安全第一だよね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

スマートシステムで異世界革命

小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 /// ★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★ 新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。 それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。 異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。 スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします! 序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです 第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練 第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い 第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚 第4章(全17話)ダンジョン探索 第5章(執筆中)公的ギルド? ※第3章以降は少し内容が過激になってきます。 上記はあくまで予定です。 カクヨムでも投稿しています。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

【リクエスト作品】邪神のしもべ  異世界での守護神に邪神を選びました…だって俺には凄く気高く綺麗に見えたから!

石のやっさん
ファンタジー
主人公の黒木瞳(男)は小さい頃に事故に遭い精神障害をおこす。 その障害は『美醜逆転』ではなく『美恐逆転』という物。 一般人から見て恐怖するものや、悍ましいものが美しく見え、美しいものが醜く見えるという物だった。 幼い頃には通院をしていたが、結局それは治らず…今では周りに言わずに、1人で抱えて生活していた。 そんな辛い日々の中教室が光り輝き、クラス全員が異世界転移に巻き込まれた。 白い空間に声が流れる。 『我が名はティオス…別世界に置いて創造神と呼ばれる存在である。お前達は、異世界ブリエールの者の召喚呪文によって呼ばれた者である』 話を聞けば、異世界に召喚された俺達に神々が祝福をくれると言う。 幾つもの神を見ていくなか、黒木は、誰もが近寄りさえしない女神に目がいった。 金髪の美しくまるで誰も彼女の魅力には敵わない。 そう言い切れるほど美しい存在… 彼女こそが邪神エグソーダス。 災いと不幸をもたらす女神だった。 今回の作品は『邪神』『美醜逆転』その二つのリクエストから書き始めました。

もっと甘やかして! ~人間だけど猫に変身できるのは秘密です~

いずみず
ファンタジー
気が付いたら赤ちゃんになっていた。えっ、魔法や魔道具があるの? もしかしてここって異世界?! う~ん、ちゃんと生きて行けるのか心配だ。よし、親や周りの大人達にカワイイ演技やら大好きアピールをしまくろう。可愛がって育ててくれるはず。みんなに甘やかされるためなら何でもするぞー! じゃあ今日はね、あらすじを読んでくれたあなたに特別サービス。今まで頑張ってきた成果を見せちゃおうかな。僕が頼めば何でもしてくれるんだよ。 「まんま、えぐぅ(ママ、抱っこして)」 「え、またおっぱいなの? ママ疲れちゃったから嫌よ。もう今日だけで何度目かしらね。早く卒業して欲しいわ」 「うええええええええええん!」 前世の記憶を持ったまま赤ん坊に生まれ変わった男の子。彼にはとんでもない秘密があった。 これはのんびりスローライフを目標としつつ、裏では猫の姿で冒険するけど皆には内緒にしているお話。猫の姿のときはいっぱい魔法を使え、空間を壊したりブレスも吐くけど普通だよね? たまたま見つけて読んでくれた皆様ありがとうございます。甘えん坊な主人公の気持ちになって読むと面白いと思います。赤ちゃんから成長して学園通ったりラブコメしたりと騒がしくなる予定です。 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、ノベルアップ+で同時掲載してます。更新は不定期です。面白い、続き読みたいと思えるような作品を目指して頑張ります。

辺境伯令嬢に転生しました。

織田智子
ファンタジー
ある世界の管理者(神)を名乗る人(?)の願いを叶えるために転生しました。 アラフィフ?日本人女性が赤ちゃんからやり直し。 書き直したものですが、中身がどんどん変わっていってる状態です。

異世界の大賢者が僕に取り憑いた件

黄昏人
ファンタジー
中学1年生の僕の頭に、異世界の大賢者と自称する霊?が住み着いてしまった。彼は魔法文明が栄える世界で最も尊敬されていた人物だという。しかし、考えを共有する形になった僕は、深く広い知識は認めるけど彼がそんな高尚な人物には思えない。とは言え、偉人と言われた人々もそんなものかもしれないけどね。 僕は彼に鍛えられて、ぽっちゃりだった体は引き締まったし、勉強も含めて能力は上がっていったし、そして魔法を使えるようになった。だけど、重要なのはそこでなくて、魔法に目覚めるための“処方”であり、異世界で使っている魔道具なんだよ。 “処方”によって、人は賢くなる。そして、魔道具によって機械はずっと効率が良くなるんだ。例えば、発電所は電子を引き出す魔道具でいわば永久機関として働く。自動車は電気を動力として回転の魔道具で動くのだ。これを、賢くなった人々が作り、使うわけだから、地球上の温暖化とエネルギーの問題も解決するよね。 そして、日本がさらに世界の仕組みがどんどん変わっていくのだけど、その中心に大賢者が取り憑いた僕がいるんだよ。僕はもう少しのんびりしたいのだけどね。

25歳のオタク女子は、異世界でスローライフを送りたい

こばやん2号
ファンタジー
とある会社に勤める25歳のOL重御寺姫(じゅうおんじひめ)は、漫画やアニメが大好きなオタク女子である。 社員旅行の最中謎の光を発見した姫は、気付けば異世界に来てしまっていた。 頭の中で妄想していたことが現実に起こってしまったことに最初は戸惑う姫だったが、自身の知識と持ち前の性格でなんとか異世界を生きていこうと奮闘する。 オタク女子による異世界生活が今ここに始まる。 ※この小説は【アルファポリス】及び【小説家になろう】の同時配信で投稿しています。

元おっさんは異世界を楽しむ

たまゆら
ファンタジー
不慮の事故によって死んだ須藤ナイト(45)は16歳に若返って新たな世界に転移する。 早々に人狼の幼女達と出会ったナイトは、とりあえず幼女の村で世話をしてもらうことになる。 と、思いきや、幼女の村に強大なモンスターが襲撃してきて……。 そんなドタバタな始まりを迎えるも、元おっさんの異世界生活は順調です!

処理中です...