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第6章
第232話 教会の歴史
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ガーラン様は自分自身を落ち着かせるかのようにふぅっとゆっくり息を吐いてから僕達の方に目線を向けた。
少し緊張した空気になった。リヒャルトさんとインゴさんが半歩前に出る。
ガーラン様は眉の位置をもどして少し微笑んでから僕達に向かってお辞儀をした。
「当教会へのご寄進ありがとうございます。」
「い、いえ‥‥。少しだし‥‥。」
銀貨一枚ずつしか寄付してないのに丁寧にお礼を言われてしまうと恐縮しちゃうよ。
戸惑っているとガーラン様がニコニコとした。
「ここへは初めてですかな。」
「はい。」
「然様でしたか。わたくしは司祭のガーランと申します。どうぞ、ゆっくりご覧になって行ってください。ステンドグラスが見事でしょう?」
ガーラン様はそう言うと、天井に向かって高く伸びる窓を指し示した。ステンドグラスから光が差し込み神秘的な雰囲気を醸し出している。
「綺麗ですね。」
僕がそう言うとガーラン様は満足そうにニコニコしながら、この教会の歴史を教えてくれた。
先代の領主様がこの地を治める事になったとき、領主様の母君の加護神である創造神ハチャマ様を主神とすることに決めたのだという。
ドラヒェン王国の主神は愛の女神メチェ様なので、教会建設中他の貴族から反対の声もあったんだそうだ。
でも、当時隣国との戦いで大きな戦績を残した領主様は、戦果を上げたのはハチャマ様の加護のおかげだと主張して押し切ったんだって。
「冬の時期は大雪を避けて貴族の方達がこの地で滞在される事が多いのですが、豊穣の祈りの日のような事をされたいとおっしゃる方が時々いらっしゃいまして。
王都で聖女候補となられなくても、この地ならと思われるのでしょうなぁ。
秋の豊穣の祈りの日は過ぎておりますので、聖女候補の判定にはならないとご説明してもどうしてもと。せめて豊穣の祈りの日にいらしてくださればいいのですけどね。」
困りましたなぁとガーラン様が苦笑した。
日にちが決まっている儀式を自分達の都合の良い日に行えって言われているってことだよね。身勝手じゃない?
「でも今日みたいに鐘が鳴っても、聖女候補の判定にはならないんでしょう?」
「観光ついでに真似事をしたいのでしょう。」
信仰のきっかけになればと、教会も拒否はしていないそうだ。
少しお話を聞いた後に教会を出ると、もう先程の令嬢達の姿はなかった。空が赤紫色に染まって来ていた。
夕焼けに赤く染まった通りの建物を眺める。風が冷たい。
「ソーマ坊ちゃん。そろそろ帰りましょう。」
リヒャルトさんの言葉に僕は頷いた。インゴさんが馬車を呼びに駆けていった。
少し緊張した空気になった。リヒャルトさんとインゴさんが半歩前に出る。
ガーラン様は眉の位置をもどして少し微笑んでから僕達に向かってお辞儀をした。
「当教会へのご寄進ありがとうございます。」
「い、いえ‥‥。少しだし‥‥。」
銀貨一枚ずつしか寄付してないのに丁寧にお礼を言われてしまうと恐縮しちゃうよ。
戸惑っているとガーラン様がニコニコとした。
「ここへは初めてですかな。」
「はい。」
「然様でしたか。わたくしは司祭のガーランと申します。どうぞ、ゆっくりご覧になって行ってください。ステンドグラスが見事でしょう?」
ガーラン様はそう言うと、天井に向かって高く伸びる窓を指し示した。ステンドグラスから光が差し込み神秘的な雰囲気を醸し出している。
「綺麗ですね。」
僕がそう言うとガーラン様は満足そうにニコニコしながら、この教会の歴史を教えてくれた。
先代の領主様がこの地を治める事になったとき、領主様の母君の加護神である創造神ハチャマ様を主神とすることに決めたのだという。
ドラヒェン王国の主神は愛の女神メチェ様なので、教会建設中他の貴族から反対の声もあったんだそうだ。
でも、当時隣国との戦いで大きな戦績を残した領主様は、戦果を上げたのはハチャマ様の加護のおかげだと主張して押し切ったんだって。
「冬の時期は大雪を避けて貴族の方達がこの地で滞在される事が多いのですが、豊穣の祈りの日のような事をされたいとおっしゃる方が時々いらっしゃいまして。
王都で聖女候補となられなくても、この地ならと思われるのでしょうなぁ。
秋の豊穣の祈りの日は過ぎておりますので、聖女候補の判定にはならないとご説明してもどうしてもと。せめて豊穣の祈りの日にいらしてくださればいいのですけどね。」
困りましたなぁとガーラン様が苦笑した。
日にちが決まっている儀式を自分達の都合の良い日に行えって言われているってことだよね。身勝手じゃない?
「でも今日みたいに鐘が鳴っても、聖女候補の判定にはならないんでしょう?」
「観光ついでに真似事をしたいのでしょう。」
信仰のきっかけになればと、教会も拒否はしていないそうだ。
少しお話を聞いた後に教会を出ると、もう先程の令嬢達の姿はなかった。空が赤紫色に染まって来ていた。
夕焼けに赤く染まった通りの建物を眺める。風が冷たい。
「ソーマ坊ちゃん。そろそろ帰りましょう。」
リヒャルトさんの言葉に僕は頷いた。インゴさんが馬車を呼びに駆けていった。
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