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第5章
第214話 (第5章エピローグ)ちょっと兄様離れ
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王都の状態が落ち着いた頃、僕は父様と一緒にエルストベルクに戻る事になっているけど、アリサ姉様も一緒にエルストベルクに帰ることになった。
王都の結界に亀裂が入って、一人屋敷に籠っていた時に、凄く不安だったから、帰りたくなったんだって。
王都は、魔獣には侵入はされていなかったから、恐怖でパニックになった人々が、物を壊したりしたくらいで、結界以外は大きなダメージはなかったみたいだ。
すっかり生活は元通り‥‥、かと思ったけど、変化はあった。
兄様は、一緒にエルストベルクには戻らず、王都に滞在することになった。
ダンジョン鉄道で半日もかからないから、会おうと思えばすぐに会えるけど。
それと、兄様がミラ嬢と婚約をした。というか、婚約したから、学園入学前までもエルストベルクに戻らずに、王都に居ることにしたんだよね。
きっかけは、兄様が王都までミラ嬢を助けに駆けつけた事らしいんだ。
ミラ嬢を失いたくないって気持ちが強くなって、告白して、婚約を申し込んだんだって。
そして、あっさり了承を貰ったそうだ。
貴族同士の婚約は家と家の繋がりでもあるんだけど、父様とミラ嬢のお父上の間で、「もしも当人達が希望したら」と以前から話が出ていたらしくて、問題なく両家当主の許可が下りたみたい。
婚約パーティは春になってからという話も出ていたけど、春は学園入学で忙しくなるので、まだ雪の多い季節に、王都のエルストベルク邸で、婚約パーティが開かれた。
母様とマーリエも、ダンジョン鉄道に乗って、王都に到着。お祖父様とお祖母様も一緒だ。
スタツィオン駅から、いかにも馬車で長旅してきましたよって感じで王都までやってくる。‥‥もしかして、せっかく、「馬車もどき君」作ったけど、あまり使われなくなっちゃうかもしれない。
スタツィオン村からは実は、支線を作って、王都の屋敷まで行けるようにしている。
結界が小さくなったからか、意外とあっさり王都の地下にダンジョンの地下道を通して、エルストベルク邸へ繋げる事ができたんだ。でも、王都の門で手続きをするのが正式なので、支線は緊急以外は使わない方針なんだよ。
婚約パーティは、王都在住の親戚と極親しい人だけのこじんまりとした立食形式のパーティとなった。
パーティで、ミラ嬢の手を握って微笑んでいる兄様は、凄く幸せそうだった。
兄様がとても愛しげにミラ嬢を見ている姿を見て、ああ、僕、兄様離れしなくちゃ、って感じた。
だって、兄様の一番大切な人はミラ嬢だから、僕が近くで何かしたりして、兄様に心配かけたらいけないよね。
「ソーマ。」
僕がじっと兄様の事を見つめて突っ立っていたら、ポンポンと僕の頭を叔父様が撫でた。
「どうしたの?柑橘炭酸水、口に合わない?」
「叔父様‥‥。」
僕が叔父様を見上げると、叔父様は、身を屈めて僕の顔を覗き込んだ。そうして、微笑んでもう一度僕の頭をポンポンと撫でた。
「大丈夫、兄様は、ずっとソーマの兄様だよ。」
「叔父様、でも‥‥。」
「ソーマの周りの世界はどんどん大きくなって来ているだろう。兄様の世界もそうなんだ。
だからね、凄く距離が大きく広がったみたいに見えるかもしれないけど、お互いの世界のことも大事に思って行けばいいんだよ」
叔父様がハンカチを出して、僕の顔を拭いた。
僕は、ちょっと寂しくなっちゃったのかもしれない。叔父様には分かっちゃったのかな。
「あっちで暖かいミルクティでも飲もうか。」
僕が頷くと、叔父様が僕の手を引いていってくれた。
「叔父様、僕、兄様離れしないと‥‥。兄様はこれからミラ嬢を一番に護らなきゃいけないでしょう?」
僕が叔父様を見上げて言うと、叔父様は微笑みながら首を少し傾げた。
「うーん。無理にしようとしなくても、ソーマはちゃんと兄様離れしてきているから大丈夫だと思うよ。」
「僕、兄様離れできてるの?」
「だって、いつの間にか一人で、色々活動してるでしょう?」
ダンジョン鉄道の事とかを言っているのかな。
「‥‥僕、思いついた事、好き勝手にやってるだけだよ。」
「ケニーに頼り切らず、自分で判断して、行動しているでしょう?それでいいと思うよ。」
「‥‥いいの?」
「いいよ。でももし、何か困ったら、ちゃんと、叔父様や父様、ケニーにも相談するんだよ。相談するのは頼り切るのとは違うんだからね。」
「うん!」
叔父様と話していたら、なんだか、気持ちがふわっと軽くなってきた。
広間の端の椅子に座って、暖かいミルクティを飲んでいたら、プティが足に尻尾を絡めてきた。
「にゃーん。」
(プティ離れは、なしにゃ。離れないにゃ。)
「ふふ。」
笑ってプティの頭を撫でた。
王都の結界に亀裂が入って、一人屋敷に籠っていた時に、凄く不安だったから、帰りたくなったんだって。
王都は、魔獣には侵入はされていなかったから、恐怖でパニックになった人々が、物を壊したりしたくらいで、結界以外は大きなダメージはなかったみたいだ。
すっかり生活は元通り‥‥、かと思ったけど、変化はあった。
兄様は、一緒にエルストベルクには戻らず、王都に滞在することになった。
ダンジョン鉄道で半日もかからないから、会おうと思えばすぐに会えるけど。
それと、兄様がミラ嬢と婚約をした。というか、婚約したから、学園入学前までもエルストベルクに戻らずに、王都に居ることにしたんだよね。
きっかけは、兄様が王都までミラ嬢を助けに駆けつけた事らしいんだ。
ミラ嬢を失いたくないって気持ちが強くなって、告白して、婚約を申し込んだんだって。
そして、あっさり了承を貰ったそうだ。
貴族同士の婚約は家と家の繋がりでもあるんだけど、父様とミラ嬢のお父上の間で、「もしも当人達が希望したら」と以前から話が出ていたらしくて、問題なく両家当主の許可が下りたみたい。
婚約パーティは春になってからという話も出ていたけど、春は学園入学で忙しくなるので、まだ雪の多い季節に、王都のエルストベルク邸で、婚約パーティが開かれた。
母様とマーリエも、ダンジョン鉄道に乗って、王都に到着。お祖父様とお祖母様も一緒だ。
スタツィオン駅から、いかにも馬車で長旅してきましたよって感じで王都までやってくる。‥‥もしかして、せっかく、「馬車もどき君」作ったけど、あまり使われなくなっちゃうかもしれない。
スタツィオン村からは実は、支線を作って、王都の屋敷まで行けるようにしている。
結界が小さくなったからか、意外とあっさり王都の地下にダンジョンの地下道を通して、エルストベルク邸へ繋げる事ができたんだ。でも、王都の門で手続きをするのが正式なので、支線は緊急以外は使わない方針なんだよ。
婚約パーティは、王都在住の親戚と極親しい人だけのこじんまりとした立食形式のパーティとなった。
パーティで、ミラ嬢の手を握って微笑んでいる兄様は、凄く幸せそうだった。
兄様がとても愛しげにミラ嬢を見ている姿を見て、ああ、僕、兄様離れしなくちゃ、って感じた。
だって、兄様の一番大切な人はミラ嬢だから、僕が近くで何かしたりして、兄様に心配かけたらいけないよね。
「ソーマ。」
僕がじっと兄様の事を見つめて突っ立っていたら、ポンポンと僕の頭を叔父様が撫でた。
「どうしたの?柑橘炭酸水、口に合わない?」
「叔父様‥‥。」
僕が叔父様を見上げると、叔父様は、身を屈めて僕の顔を覗き込んだ。そうして、微笑んでもう一度僕の頭をポンポンと撫でた。
「大丈夫、兄様は、ずっとソーマの兄様だよ。」
「叔父様、でも‥‥。」
「ソーマの周りの世界はどんどん大きくなって来ているだろう。兄様の世界もそうなんだ。
だからね、凄く距離が大きく広がったみたいに見えるかもしれないけど、お互いの世界のことも大事に思って行けばいいんだよ」
叔父様がハンカチを出して、僕の顔を拭いた。
僕は、ちょっと寂しくなっちゃったのかもしれない。叔父様には分かっちゃったのかな。
「あっちで暖かいミルクティでも飲もうか。」
僕が頷くと、叔父様が僕の手を引いていってくれた。
「叔父様、僕、兄様離れしないと‥‥。兄様はこれからミラ嬢を一番に護らなきゃいけないでしょう?」
僕が叔父様を見上げて言うと、叔父様は微笑みながら首を少し傾げた。
「うーん。無理にしようとしなくても、ソーマはちゃんと兄様離れしてきているから大丈夫だと思うよ。」
「僕、兄様離れできてるの?」
「だって、いつの間にか一人で、色々活動してるでしょう?」
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「‥‥僕、思いついた事、好き勝手にやってるだけだよ。」
「ケニーに頼り切らず、自分で判断して、行動しているでしょう?それでいいと思うよ。」
「‥‥いいの?」
「いいよ。でももし、何か困ったら、ちゃんと、叔父様や父様、ケニーにも相談するんだよ。相談するのは頼り切るのとは違うんだからね。」
「うん!」
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広間の端の椅子に座って、暖かいミルクティを飲んでいたら、プティが足に尻尾を絡めてきた。
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笑ってプティの頭を撫でた。
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