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第5章

第210話 虎ダンジョン

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父様達は、魔法で雪ごと魔獣を吹き飛ばしたから王都の南門までの道のりは、綺麗に除雪できた状態になったようだ。

さらに、南門から屋敷までの道と、王宮までの道も除雪をしたんだそうだ。
王宮までの道を除雪したのは、何か有ったときに王宮の騎士に動いてもらえないと困るからなんだって。

そんな話を聞きながらいつの間にか眠ってしまったらしくて、気がついたらソファーに横たわって毛布をかけてもらっていた。

「ソーマ。お部屋で寝る?疲れたよね。」
「ん‥‥。みんなで一緒にいないといけないんじゃ‥‥。」
「もう皆落ち着いて来たから大丈夫だよ。そもそも屋敷は安全だからね。」

部屋に行っていいっていうなら、部屋のベッドで眠ろう。考えてみたら列車で3時間移動したりしてたからかな。なんか凄く眠い。

自分の部屋に行こうとしたら、兄様が着いて来てくれた。自分の部屋くらい一人で行けるいけるんだけど、心配なんだろうか。
ベッドに寝かしつけられて、兄様に頭を撫でられた。

「ソーマ、今日はありがとう。‥‥‥ソーマのおかげで、アリサもミラ嬢も助かったんだよ。‥‥ソーマのことは僕が護るからね。」
「兄様‥‥?」

ぽんぽんと頭を撫でられていたら、気持ちよくって、また眠くなってしまった。
そのまま眠ってしまったようで、気がついたら、明け方だった。

「あれ、夕ご飯、食べたっけ?」

夕ご飯食べていないうちに朝が来ちゃう。これからご飯を食べたら何ご飯になるんだろう。
そんな事を考えながら置き出した。サイドテーブルの上に、シーサーペントの革本が置いてある。
どうなったかなと思って、ページを開いて地図を見た。
王都周辺には、赤い点はほぼなくなっていた。そして東と西のダンジョンは、青いまま細かく点滅している。
気のせいか青い色が薄くなってる気がする。

なんだろう。
ダンジョンの入り口前に開けた大穴の底からダンジョン内に続くように開いたゲート。
そのゲートから偵察君を送り込んだ。

『ゴフッ!ゴフッ!』

低い声、蹲っているのは虎?
黄色にシマシマ。筋肉質な体格。
大きな虎が、床に蹲っていた。

何か、見た事ある雰囲気。魔獣の入れ替えの時と同じような感じだ。

『ゴフッ‥‥うう‥‥』
様子をみていたら、ずずずと、虎が床に見を横たえた。


ーーーーダンジョンコアの疲弊により、機能が著しく低下しました。ダンジョンの制御権が移動します。受けますか?(Yes or No)

ええ?

「い、Yes」

魔獣の入れ替えの時と同じだ。力とともに、ダンジョンの情報とかが流れてくるのがわかった。

『だ、誰‥‥?』

おっと、遠隔で見てたんだった。

ゲートをオープンして、ダンジョン内に入った。

「こ、こんにちは!」

「あ、あなたネン‥‥。ダンジョンに何したのヨン」

凄い低いだみ声の虎のオネエさんだ。

「魔獣が外に出てたから戻したんだ。そうしないと姉様達が危険だったから。」

弱らせちゃって申し訳ない気持ちはあるけど、姉様の安全を僕は優先するよ。
きゅっと唇に力を入れて、虎さんをみると、頭だけ起こしてこちらを見ていた虎さんが、ごろんと床に転がる。

「棘刺したのは、あなたではないわネン‥‥。」

「棘?」

「第三階層のボス部屋に棘さしてったやつがいたのネン。」

そういわれて意識を第三階層に飛ばすと、なんか様子が変なのわかった。それと、何となく知ってる感じ。

「もしかしてウーニャンとこのオーサンと一緒?」
「何よそれ?」
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