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第5章

第207話 救援部隊出動

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エルストベルクから戻った騎士達は既に王都に到着していて、今は、屋敷の警護をしていて一部外に情報収集に出動しているそうだ。
父様の執務室の扉をノックした。
「入れ」と返事があったので入ると、既に、セバシか叔父様から連絡あったのか、執務室は慌ただしくなっていて色々指示をだしていた。

姉様から連絡が有ったと伝えると、「そうか」と、父様は一言。
兄様と母様も執務室にやってきた。

少ししてから叔父様から連絡が入った。

王都の結界に亀裂が入っていて、そこから魔獣が、入り込もうとしているそうだ。亀裂は最初、東側。それから西側にも亀裂が確認された。
急いで大教会に人を向かわせて状況の確認をしているところだという。

「新月だ。何か聖なる祈りで問題でも発生したんじゃないかな。」
「ケニー。ここでならいいけど、安易に言っていい話題ではないわよ。」

兄様が言うと、母様が諌めた。
新月の時に、聖女が‥‥、今は聖女候補だけなんだっけ。聖女候補が聖なる祈りを捧げて、光属性の魔力を結界の宝珠に捧げるんだよね。
新月の日に結界に亀裂が入ったってことは、補充する魔力が足りなくなったのかな。

「急に不足するなんて事はありえないのよ。きちんと毎日魔力の確認はされていたはずよ。」

今は聖女様として認定されている人がいないから、余計、きちんと確認はされていたはずだと母様がいう。

『ファルケン家に、こちらに避難してくるように伝えておいた。』

叔父様が言うと、兄様がハッとして顔を上げた。

「ミ、ミラ嬢は無事ですか?叔父様!」
『ケニー、結界に亀裂が入ってはいるけど、王都内に魔獣が入らないように、王宮の騎士団もエルストベルク家の騎士団も動いている。大丈夫だよ。』
「よ、よかった!お願いします!」

兄様は顔を青ざめさせて、映像の叔父様に頭を下げた。セバシが叔父様にメモを手渡した。メモに目を落とした叔父様の顔が曇る。

『結界の南側にも亀裂が入ったそうです。』

兄様は、父様の顔を見て詰め寄る。

「父上!王都に向かわせてください!」
「落ち着きなさいケニー。すぐに行けるわけではないのはわかってるだろう。まずは状況を確認するんだ。」

執務室の隅の椅子に座っていた僕はプティを抱っこしながら、イヤーカフに手をやった。

『特急、出発準備して』
『マスター!何時でも準備OKだコン!』
『他の人も乗るから、その準備もお願い。』
『分かったコン!問題ないコン!』

クーちゃんと、念話でやり取りをしてから、椅子を降りた。

「父様、僕、早く移動できる乗り物作ったんです。」

父様に,進言することにした。動くなら早い方がいいよね。

「ほう。どのくらい早いんだい?」
父様は立ち上がって僕の前まで来て、僕の顔を覗き込んだ。

「三時間です。」
「三時間短縮か。」
「王都まで三時間です。」
「は?」

屋敷の隅の訓練場内のエルストベルク駅入り口まで、父様と兄様を案内する。
パス用の腕輪をあらかじめ渡していて、それを改札にかざして通過するように教えた。
そして、階段を下りて、ホームまで出ると、父様と兄様はそこで立ち止まった。

「‥‥ソーマ、これ‥‥何だい?」
「急いで行けるように作った乗り物だよ。あ、エルストベルク家以外の人には内緒のやつだよ。」

ホームに待機している特急列車。これに乗ると、3時間でスタツィオン村に到着すると伝えた。
父様が僕の頭に手を乗せた。

「ソーマ‥‥、これはマーカスと一緒に作ったのかい?」
「叔父様に相談なしで作っちゃったの。後で説明しておくね。」

兄様は、恐る恐るという感じで車両に近づいて窓から中を覗き込んだ。

「ソーマ、これに乗ると、本当に3時間で王都に行けるの?」
「うん。スタツィオン村までだけど。」
「充分だよ!父上!早く行きましょう!」
「慌てるな。ケニー。騎士に出動の準備をさせる。」

既に、車両を増やしてくれていて、馬を運ぶ用の車両もあった。
ダンジョンマスター達は姿を現さないようにしているらしい。あちこちから気配がするけど姿が見えない。

急遽王都に向かうことになって、改札を抜けるパスを騎士達の分と馬の分を用意した。
それでそのまま列車に乗るのかと思った、僕は冬のモコモコした服に着替えさせられた。

「王都は寒いんだよ。」

ホット仕様のマントと手袋はあるとアピールして、着膨れは回避。ポケットにはほかほかさんもイン。

騎士達と馬も乗り込んで、出発進行!
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