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第3章

第101話 退場です

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ギュンター君とラルフ君達がちょっと揉めている間に、屋敷の警備の人達や、アリサ姉様やビアンカ嬢の護衛の人達が集まって来ていて、護衛の人達がアリサ姉様たちを庇うように立った。警備の人達は、ギュンター君と赤毛の女の子を取り囲んだ。

「勝手に庭に入られては困ります!」
「なんだと!俺を誰だと!離せ!」
「いやぁ~平民だからってぇ~さべつだわ~!ひどいわぁ~!」

警備の人達に囲まれて、姿が見えなくなったギュンター君と赤毛の女の子の声が響いた。引きずられているのかずるずるとその集団が移動して行って、声がだんだんと遠くになっていって、集団の人影が見えなくなるとともに声も聞こえなくなった。
しーんと静まり返った庭園内に、ビアンカ嬢がすすり泣く声が聞こえたかと思ったら、弦楽器の音楽が大きく響き始めて声がかき消された。
僕は、マジック財布から厚手のハンカチを取り出して、ビアンカ嬢に近づいて差し出した。

「ありがと‥‥。」

ビアンカ嬢は小さな声で僕にお礼を言うと、ハンカチで顔を覆った。そしてアリサ姉様と、ビアンカ嬢の侍従に促されて、建物の方に移動して行った。
パーティの主催者の伯爵夫人が前に出て来て、乱入者は外に追い出したのでもう心配いらないから、茶会を続けてほしいと言った。
皆の気を紛らわせる為か、楽団の人達を紹介し始めた。外国でも活躍している人達なんだって。王都でもこれから有名になるだろうから、注目しておいてほしいといって、
曲名を紹介して演奏が流れ始めた。
ちょっと物悲しい、とても綺麗な曲だった。弦を弾く人の指の動きってカッコいいよね。

屋敷の一室で少し休憩をとったビアンカ嬢は、気持ちが落ち着いてきたらしくて、表情は暗いけれど泣き止んでいた。
お茶会の場にいるのはもう嫌だということなので、そのまま屋敷の裏手から帰る事になった。ビアンカ嬢はシュナイダー家の馬車で来ていたんだけど、シュナイダー家まで、うちの馬車で一緒に乗せていった。
馬車の中で、ビアンカ嬢はまた泣いてしまうかと思ったんだけど、段々と怒りの方が強くなってきたのかほっぺたを膨らませてぶつぶつと言っていた。

「なによ、あんな頭の悪そうなしゃべり方をする女の子のどこがいいのかしら」
「あのしゃべり方はちょっとないわよね‥‥。」
「装備を取りあげるって、‥‥意味がわからないわ」
「きっと、頭の悪さが伝染したのよ。」
「アリサ‥、それは‥‥くっ」

ビアンカ嬢が声を詰まらせた。泣き出したのかと思ったら吹き出したようだ。
ハンカチに顔を埋めて、笑っている。

「やめて、笑っちゃうじゃない‥‥。本当、何言ってるかわからなくてどうしようって思ったんだから。」
「あげくパーティメンバーにも見捨てられてたわね。」
「そうなのよ‥‥。ちょっと‥‥、急いで帰って婚約解消してもらわないと!」
「そうね。大変よ!あんなのの婚約者ってなってるままだと、面倒毎に巻き込まれるわよ。不法侵入とか。」
「ああ、大変」

大変といいながら、ビアンカ嬢の口角が少し上がっていた。ギュンター君とのこと吹っ切れたのかな。
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