92 / 466
第3章
第92話 都会のギルドは‥‥
しおりを挟む
馬車に戻ると、兄様はふぅーっと溜め息をついた。
「王都のギルドは荒れているね。色々なところから人が入ってくるせいかな。子供が絡まれていても、従業員が注意もしないなんて。」
エルストベルク領では、正規の冒険者でも新人とかが絡まれていたら、ギルド職員が助けに入るんだって。
というか、兄様は既に領内で冒険者登録をしてたらしい。
辺境では、魔獣対策で冒険者の力を借りる事も多いから、領主の息子は、早くから冒険者登録をして、冒険者ギルドの状況も把握しておくものなんだって。
「えー、じゃあ、僕も領で登録してきたかったよ。」
「僕も12歳になってから正規登録したんだよ。」
見習い冒険者登録は、エルストベルク領ではほとんどしないらしい。街の外の魔獣が危険で薬草採取に依頼も出すには危険だし。貧しくて、稼ぐ必要がある子供には、無料で職業学校に通わせて、学校で作ったものを領で買い上げたりしているから無理に冒険者として活動しなくてもすむようになってるんだって。
「それだと、将来冒険者を目指す人が少なくなっちゃわない?」
「命落とすよりいいと思うよ。というか、職業学校作れっていったのソーマだったよね。」
「あれ、そうだっけ?」
そう言えば、エルスト商会で僕が考えた商品を売ってもらうのに、製作する人手が足りないっていったから、作れる人を育てたらって言った気がする。
結局、王都の冒険者ギルドは職員の対応が信用できないし、領では、見習い登録ができないとなると、僕が冒険者登録できるのは先になりそうだね。
僕は、マジック財布から、コップと、お茶の入ったポットを取り出した。時間停止機能はないので温いけど、ミントと蜂蜜が入ったさっぱりとしたお茶だ。僕はコップにお茶を注いで、兄様に手渡した。
兄様はにっこりと微笑んで僕にお礼を言った後に、ちょっとだけ小声で言う。
「ありがとう、でもコレは人前で出したらダメだからね。特に冒険者ギルドとかで出したら大変だよ。」
「うん。わかってるよ」
人前では、出さないけれど、ポットのお茶がこぼれる心配なく運べるのは便利なので、馬車で兄様と飲もうと思って持って来たんだ。
兄様とお茶をしていたら、しばらくして、馬車の扉がノックされた。
ラルフ君達がギルドから出て来たらしい。
ラルフ君は、大柄な男の肘が当たったときに、口の端を少し切ってしまったようで、赤くなっていた。
「いやー、思ったより荒々しいところだね」
そう言いながらも、三人とも、見習い冒険者登録をすませてパーティ登録もしたんだって。
僕は?と訊かれたので、ごめんなさいと頭を下げた。
「あの感じだと、まだ僕に無理かなって思って。」
「そうだよね。僕らは来年登録できる年齢なのに、あの扱いだもの。」
ラルフ君達も、ギルド職員の対応には不満があったみたいなんだけど、将来冒険者で活動することも考えて、登録することにしたんだって。
「まあ、家からはしっかり抗議をさせてもらうよ。」
ギュンター君はむすっとしてへの字口にしていた口を開いて言った。
登録前で一般人のしかも貴族の子息に絡んで暴力を振るった冒険者達は、降格の上、罰金と、1ヶ月の活動禁止になったんだそうだ。
その後、ギルドで紹介された武器屋と防具屋に行くんだという、彼らについて、ちょっと見学をさせてもらってから別れた。
彼らはその後軽く、冒険者の初依頼を受けてみるらしくまたギルドに戻って行った。
「王都のギルドは荒れているね。色々なところから人が入ってくるせいかな。子供が絡まれていても、従業員が注意もしないなんて。」
エルストベルク領では、正規の冒険者でも新人とかが絡まれていたら、ギルド職員が助けに入るんだって。
というか、兄様は既に領内で冒険者登録をしてたらしい。
辺境では、魔獣対策で冒険者の力を借りる事も多いから、領主の息子は、早くから冒険者登録をして、冒険者ギルドの状況も把握しておくものなんだって。
「えー、じゃあ、僕も領で登録してきたかったよ。」
「僕も12歳になってから正規登録したんだよ。」
見習い冒険者登録は、エルストベルク領ではほとんどしないらしい。街の外の魔獣が危険で薬草採取に依頼も出すには危険だし。貧しくて、稼ぐ必要がある子供には、無料で職業学校に通わせて、学校で作ったものを領で買い上げたりしているから無理に冒険者として活動しなくてもすむようになってるんだって。
「それだと、将来冒険者を目指す人が少なくなっちゃわない?」
「命落とすよりいいと思うよ。というか、職業学校作れっていったのソーマだったよね。」
「あれ、そうだっけ?」
そう言えば、エルスト商会で僕が考えた商品を売ってもらうのに、製作する人手が足りないっていったから、作れる人を育てたらって言った気がする。
結局、王都の冒険者ギルドは職員の対応が信用できないし、領では、見習い登録ができないとなると、僕が冒険者登録できるのは先になりそうだね。
僕は、マジック財布から、コップと、お茶の入ったポットを取り出した。時間停止機能はないので温いけど、ミントと蜂蜜が入ったさっぱりとしたお茶だ。僕はコップにお茶を注いで、兄様に手渡した。
兄様はにっこりと微笑んで僕にお礼を言った後に、ちょっとだけ小声で言う。
「ありがとう、でもコレは人前で出したらダメだからね。特に冒険者ギルドとかで出したら大変だよ。」
「うん。わかってるよ」
人前では、出さないけれど、ポットのお茶がこぼれる心配なく運べるのは便利なので、馬車で兄様と飲もうと思って持って来たんだ。
兄様とお茶をしていたら、しばらくして、馬車の扉がノックされた。
ラルフ君達がギルドから出て来たらしい。
ラルフ君は、大柄な男の肘が当たったときに、口の端を少し切ってしまったようで、赤くなっていた。
「いやー、思ったより荒々しいところだね」
そう言いながらも、三人とも、見習い冒険者登録をすませてパーティ登録もしたんだって。
僕は?と訊かれたので、ごめんなさいと頭を下げた。
「あの感じだと、まだ僕に無理かなって思って。」
「そうだよね。僕らは来年登録できる年齢なのに、あの扱いだもの。」
ラルフ君達も、ギルド職員の対応には不満があったみたいなんだけど、将来冒険者で活動することも考えて、登録することにしたんだって。
「まあ、家からはしっかり抗議をさせてもらうよ。」
ギュンター君はむすっとしてへの字口にしていた口を開いて言った。
登録前で一般人のしかも貴族の子息に絡んで暴力を振るった冒険者達は、降格の上、罰金と、1ヶ月の活動禁止になったんだそうだ。
その後、ギルドで紹介された武器屋と防具屋に行くんだという、彼らについて、ちょっと見学をさせてもらってから別れた。
彼らはその後軽く、冒険者の初依頼を受けてみるらしくまたギルドに戻って行った。
2
お気に入りに追加
172
あなたにおすすめの小説
目覚めたら7歳児でしたが、過酷な境遇なので改善したいと思います
瑞多美音
ファンタジー
ふと、目を覚ますと7歳児になっていた。しかも、奴隷に……
どうやら今世のわたしが死にかけたことで前世の記憶がよみがえったようだ……
熱病で生死をさまよい死にかけグループに移動させられたメリッサ。
死にかけグループとは病気や怪我などで役に立たないとされるひとが集められており、部屋は半壊、冷たい床に薄い布団、ご飯は他のグループと比べるとかなり少ないとか。ほかより待遇が悪くなるようだ……
「扱いが他よりちょっとひどいが、部屋でできる仕事がまわってくる。慣れればなんとかなるよ」
と言われたものの、さすが死にかけグループ。訳ありの人ばかり。
神様に見送られたわけでもチートをもらったわけでもない……世知辛い。
ここは自分の頭と行動で自分を助けるしかないな。前世では手助けしてくれた両親も今世は見当たらないのだから……でもなんだか、この部屋は心地よい。前の部屋は自分のことで精一杯という感じだったのにここでは正に一心同体。
みんなには死んでほしくないからすこしでも工夫しないと。
死にかけたことで前世を思い出した主人公が過酷な境遇を改善するため周囲のひとを巻き込みつつ知恵や工夫を凝らしてまずは衣食住の改善を目指し頑張るお話。
※この話には奴隷に関するもの、登場人物に火傷、隻腕、隻眼などが含まれます。あくまでもフィクションですが、苦手なかたや合わないと感じたかたは無理をなさらずそっ閉じでお願いいたします。
※この語は法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
しっかり者のエルフ妻と行く、三十路半オッサン勇者の成り上がり冒険記
スィグトーネ
ファンタジー
ワンルームの安アパートに住み、非正規で給料は少なく、彼女いない歴35年=実年齢。
そんな負け組を絵にかいたような青年【海渡麒喜(かいときき)】は、仕事を終えてぐっすりと眠っていた。
まどろみの中を意識が彷徨うなか、女性の声が聞こえてくる。
全身からは、滝のような汗が流れていたが、彼はまだ自分の身に起こっている危機を知らない。
間もなく彼は金縛りに遭うと……その後の人生を大きく変えようとしていた。
※この物語の挿絵は【AIイラスト】さんで作成したモノを使っています
※この物語は、暴力的・性的な表現が含まれています。特に外出先等でご覧になる場合は、ご注意頂きますようお願い致します。
猫がいない世界に転生しました〜ただ猫が好きなだけ〜
白猫ケイ
ファンタジー
もしも猫がいない世界に転生したら…どうする?テレシア・ポムエットは猫を助けて亡くなった女子高校生の記憶を持ちながら異世界で誕生してしまった。なぜ異世界と分かったかって、獣人がいて魔法がある猫のいない世界だったから。
産まれ変わってから、また猫と暮らせることを楽しみにしていたのに……猫がいないなんて。偶然保護した猫耳の男の子をきっかけに、猫に似た獣人と関わっていくことに。
「お前……! 俺を買い取って何が目的なんだ!」
「ね、ねこしゃん、テレシアとお友達になって!」
「……はっ?」
新たに得た立場を利用し目指すは獣人が幸せに暮らせる世界!
【いいね何よりのやる気スイッチです!スイッチオン感謝します】
神々の娯楽に巻き込まれて強制異世界転生ー1番長生きした人にご褒美有ります
ぐるぐる
ファンタジー
□お休みします□
すみません…風邪ひきました…
無理です…
お休みさせてください…
異世界大好きおばあちゃん。
死んだらテンプレ神様の部屋で、神々の娯楽に付き合えと巻き込まれて、強制的に異世界転生させられちゃったお話です。
すぐに死ぬのはつまらないから、転生後の能力について希望を叶えてやろう、よく考えろ、と言われて願い事3つ考えたよ。
転生者は全部で10人。
異世界はまた作れるから好きにして良い、滅ぼしても良い、1番長生きした人にご褒美を考えてる、とにかく退屈している神々を楽しませてくれ。
神々の楽しいことってなんぞやと思いながら不本意にも異世界転生ゴー!
※採取品についての情報は好き勝手にアレンジしてます。
実在するものをちょっと変えてるだけです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
幼馴染と一緒に勇者召喚されたのに【弱体術師】となってしまった俺は弱いと言う理由だけで幼馴染と引き裂かれ王国から迫害を受けたのでもう知りません
ルシェ(Twitter名はカイトGT)
ファンタジー
【弱体術師】に選ばれし者、それは最弱の勇者。
それに選ばれてしまった高坂和希は王国から迫害を受けてしまう。
唯一彼の事を心配してくれた小鳥遊優樹も【回復術師】という微妙な勇者となってしまった。
なのに昔和希を虐めていた者達は【勇者】と【賢者】と言う職業につき最高の生活を送っている。
理不尽極まりないこの世界で俺は生き残る事を決める!!
異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか
片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生!
悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした…
アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか?
痩せっぽっちの王女様奮闘記。
魔境暮らしの転生予言者 ~開発に携わったゲーム世界に転生した俺、前世の知識で災いを先読みしていたら「奇跡の予言者」として英雄扱いをうける~
鈴木竜一
ファンタジー
「前世の知識で楽しく暮らそう! ……えっ? 俺が予言者? 千里眼?」
未来を見通す千里眼を持つエルカ・マクフェイルはその能力を生かして国の発展のため、長きにわたり尽力してきた。その成果は人々に認められ、エルカは「奇跡の予言者」として絶大な支持を得ることになる。だが、ある日突然、エルカは聖女カタリナから神託により追放すると告げられてしまう。それは王家をこえるほどの支持を得始めたエルカの存在を危険視する王国側の陰謀であった。
国から追いだされたエルカだったが、その心は浮かれていた。実は彼の持つ予言の力の正体は前世の記憶であった。この世界の元ネタになっているゲームの開発メンバーだった頃の記憶がよみがえったことで、これから起こる出来事=イベントが分かり、それによって生じる被害を最小限に抑える方法を伝えていたのである。
追放先である魔境には強大なモンスターも生息しているが、同時にとんでもないお宝アイテムが眠っている場所でもあった。それを知るエルカはアイテムを回収しつつ、知性のあるモンスターたちと友好関係を築いてのんびりとした生活を送ろうと思っていたのだが、なんと彼の追放を受け入れられない王国の有力者たちが続々と魔境へとやってきて――果たして、エルカは自身が望むようなのんびりスローライフを送れるのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる