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第3章

第85話 もしかしたら箱入りかもしれない

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帰宅してから、お茶会でのお塩な対応の話をしたら、家族は皆びっくりしていた。
兄様は真っ青な顔になって、僕をぎゅーぎゅー抱きしめた。

「ソーマ! そんな思いをしたんだね。やっぱり僕も一緒についていけばよかった!」
「兄様が行ったら人気者だね」
「そうじゃないよ! まったく、なんて失礼な令嬢達だ!」

兄様は怒っているし、姉様は眉間に皺をよせ、不安顔だ。

「王都のお茶会って今そんななの?お友達もできなさそうね。」
「でも、ラルフ君とロルフ君と仲良くなったよ」
「それは良かったと思うけれど‥‥。」

姉様は、軽くため息をついた。
マーリエも、心配そうな顔になる。

「お友達できないの?」
「大丈夫よ。お茶会でなくてもお友達はできるわ」

母様は、マーリエの頭を撫でて微笑んだ。しかし、僕の方を見て、少し困ったように眉を下げた」

「もう少し気軽な集まりだと思っていたわ。小さいうちから人脈を広げるのに良いと思ったのだけれど、難しそうね」
「ご挨拶の練習にはなったよ」

ちゃんと、ノルマの人数を果たしましたよ!と胸を張ってみせた。
えらいえらいと兄様が頭を撫でてくれた。

「それでね。僕って将来家を出て冒険者になるかも。」
「‥‥‥!」

僕が、そういったら、なぜか、急に部屋の空気が凍りついた。

「ソーマ? いきなり何を言っているの?」

兄様の声が、低くなる。え、何かまずい事を言っちゃった?

「ラルフ君とロルフ君が、次男以下は、騎士か冒険者になるって。後はお婿に行くって」
「ソーマはそうしたいの? 冒険者になりたい?」
「うーん?分からないよ。でも、冒険者ギルドは見てみたいから、今度ラルフ君達と一緒に行ってみることになったんだよ。8歳から見習い冒険者登録ができるんだって。」

行っちゃだめって言われちゃうかな? 僕は兄様と母様の顔を交互に見た。
母様は、ちょっと微妙な表情をしている。

「ソーマ、貴族でも冒険者登録をしている人は多いから、ギルドを見に行くのはいいけれど、登録をするのはお父様に許可をもらってからになさいね。見習いといっても、冒険者は危険が伴う仕事よ。」
「はぁい。」
「でもね。ソーマは、次男だから将来家をでなくちゃならないとは考えなくよいのよ。
マーカスの家に養子に入る話もあるし。養子にならなくても、お祖父様が持っている爵位を譲ってもらえるはずよ。お婿には行かせないし。」
「え、お婿に行かせないって?」
「‥‥ソーマにはずっといて欲しいのよ。」

母様がそう言うとマーリエが、ぱっと顔を上げた。

「マーリエは?」
「もちろん、マーリエもよ。ずっと家にいてほしいわ」

母様は微笑んで、マーリエを抱きしめて、それから僕の事も抱きしめた。
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