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第3章
第84話 ご挨拶ノルマは達成
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すこし離れたテーブルのところで、先ほど挨拶をした令嬢の声が聞こえた。
「ギュンター様、こちら評判のお菓子なんですって。あのエルスト商会から、最近発売されたそうですわよ。一緒にいただきません事?」
「ああ、エルスト商会のレーズンサンドだね。先日食べたけど、凄く美味しかったよ」
「まあ、もうご存知でしたの?さすがギュンター様ですわ。」
さっき、甘いものが得意でないと言っていた令嬢が、背の高い令息に、叔父様の商会のお菓子を勧めている。
叔父様の商会の商品が褒められるのは嬉しいけど、ちょっと複雑だなぁ。
「まあ、僕がマナー違反をして嫌われたとかでなければいいか」
嫡男じゃないとかはどうしようもないので、あまり気にしないことにしよう。
ロルフ君が、ドリンクを勧めてくれたので、一緒に飲みながら、今日挨拶した人達のことを思い出す。
「4人‥‥。あ、ラルフ君とロルフ君を入れたら6人か。ならノルマ達成かな。やったー!」
「ノルマ?」
「うん。マナーの先生に、挨拶の練習になるから最低5人とご挨拶してきなさいって言われたんだ。ラルフ君とロルフ君も入れたら6人だから、達成だなと思って」
「そーかそーか」
僕が嬉しそうにしていたら、ラルフ君とロルフ君が僕の頭をぽんぽんとした。
「そーだよね。普通、挨拶の練習とか友達つくったりとかの場所だよね」
「うっかり挨拶もできないとか、変だよねー」
はぁーっと、ラルフ君とロルフ君が同時にため息をついた。
挨拶のノルマも達成したし、挨拶をしても塩対応されるとわかってしまったら、これ以上積極的に挨拶をする気にならない。
ラルフ君とロルフ君も同じらしくて、隅の方のテーブルの傍に立って、目立たないように軽くおしゃべりしながら、お茶会の様子を眺めてた。
「なあ、今度冒険者ギルドに行ってみないか?」
ラルフ君が、ふと思いついたのか、そんな事を言い出した。
ロルフ君がすぐに賛同して、僕の方を見た。
「いいね!ソーマ君って、8歳以上?」
「8歳だよ。冒険者ギルドって登録は12歳以上じゃなかったっけ」
「王都は見習い冒険者制度を採用してるんだよ。見習いは8歳以上は登録可能だよ。」
冒険者ギルドの正規の登録は12歳からになっているんだけど、子供でも経済的な理由などで、冒険者登録をしたい人の為に、見習い冒険者制度というのがあって、それは8歳以上なら登録ができるんだそうだ。
ラルフ君とロルフ君は11歳で後一年待てば、本登録できるからと冒険者制度について調べてたら、見習い冒険者制度を知ったんだって。
「見習い冒険者で、良い実績を残しておくと、12歳で本登録をするときに、一つ上の級からスタートできるらしいよ」
「そうなんだね。冒険者に登録するかは、まだわからないけど、冒険者ギルドは一度見てみたいなぁ」
「決まり。じゃあ、日にちを決めて連絡するよ!」
ちょっと興味深い話題で盛り上がってたからか、声が大きくなっていたのかもしれない。
紺色の髪をした背の高い令息が近づいて声をかけてきた。
「君達、冒険者ギルドに行くの?俺も参加させてもらえないかな。」
さっき令嬢とお菓子を食べていた人だ。
「俺は、ギュンター・トリット。トリット家長男だよ。」
トリット家は、伯爵家だったと思う。長男だから令嬢の態度が違ってたんだな。
ギュンター君も11歳で、来年になったら冒険者登録をしようと思っていたんだって。
ラルフ君とロルフ君は、同い年のギュンター君も一緒に活動すれば、来年本登録したときもパーティで活動できるかもと喜んでいた。
来週あたりに行こうという話になり、話が終わると、またギュンター君は、令嬢達とお話に行ってしまった。
「ギュンター様、こちら評判のお菓子なんですって。あのエルスト商会から、最近発売されたそうですわよ。一緒にいただきません事?」
「ああ、エルスト商会のレーズンサンドだね。先日食べたけど、凄く美味しかったよ」
「まあ、もうご存知でしたの?さすがギュンター様ですわ。」
さっき、甘いものが得意でないと言っていた令嬢が、背の高い令息に、叔父様の商会のお菓子を勧めている。
叔父様の商会の商品が褒められるのは嬉しいけど、ちょっと複雑だなぁ。
「まあ、僕がマナー違反をして嫌われたとかでなければいいか」
嫡男じゃないとかはどうしようもないので、あまり気にしないことにしよう。
ロルフ君が、ドリンクを勧めてくれたので、一緒に飲みながら、今日挨拶した人達のことを思い出す。
「4人‥‥。あ、ラルフ君とロルフ君を入れたら6人か。ならノルマ達成かな。やったー!」
「ノルマ?」
「うん。マナーの先生に、挨拶の練習になるから最低5人とご挨拶してきなさいって言われたんだ。ラルフ君とロルフ君も入れたら6人だから、達成だなと思って」
「そーかそーか」
僕が嬉しそうにしていたら、ラルフ君とロルフ君が僕の頭をぽんぽんとした。
「そーだよね。普通、挨拶の練習とか友達つくったりとかの場所だよね」
「うっかり挨拶もできないとか、変だよねー」
はぁーっと、ラルフ君とロルフ君が同時にため息をついた。
挨拶のノルマも達成したし、挨拶をしても塩対応されるとわかってしまったら、これ以上積極的に挨拶をする気にならない。
ラルフ君とロルフ君も同じらしくて、隅の方のテーブルの傍に立って、目立たないように軽くおしゃべりしながら、お茶会の様子を眺めてた。
「なあ、今度冒険者ギルドに行ってみないか?」
ラルフ君が、ふと思いついたのか、そんな事を言い出した。
ロルフ君がすぐに賛同して、僕の方を見た。
「いいね!ソーマ君って、8歳以上?」
「8歳だよ。冒険者ギルドって登録は12歳以上じゃなかったっけ」
「王都は見習い冒険者制度を採用してるんだよ。見習いは8歳以上は登録可能だよ。」
冒険者ギルドの正規の登録は12歳からになっているんだけど、子供でも経済的な理由などで、冒険者登録をしたい人の為に、見習い冒険者制度というのがあって、それは8歳以上なら登録ができるんだそうだ。
ラルフ君とロルフ君は11歳で後一年待てば、本登録できるからと冒険者制度について調べてたら、見習い冒険者制度を知ったんだって。
「見習い冒険者で、良い実績を残しておくと、12歳で本登録をするときに、一つ上の級からスタートできるらしいよ」
「そうなんだね。冒険者に登録するかは、まだわからないけど、冒険者ギルドは一度見てみたいなぁ」
「決まり。じゃあ、日にちを決めて連絡するよ!」
ちょっと興味深い話題で盛り上がってたからか、声が大きくなっていたのかもしれない。
紺色の髪をした背の高い令息が近づいて声をかけてきた。
「君達、冒険者ギルドに行くの?俺も参加させてもらえないかな。」
さっき令嬢とお菓子を食べていた人だ。
「俺は、ギュンター・トリット。トリット家長男だよ。」
トリット家は、伯爵家だったと思う。長男だから令嬢の態度が違ってたんだな。
ギュンター君も11歳で、来年になったら冒険者登録をしようと思っていたんだって。
ラルフ君とロルフ君は、同い年のギュンター君も一緒に活動すれば、来年本登録したときもパーティで活動できるかもと喜んでいた。
来週あたりに行こうという話になり、話が終わると、またギュンター君は、令嬢達とお話に行ってしまった。
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