73 / 466
第2章
第73話 豪華な馬車
しおりを挟む
数日経って、携帯型記録魔道具「何時でも撮れる君」の状況を見に行こうと、兄様と一緒にエルスト商会に向ったら、エルスト商会の前に豪華な馬車が停まっているのが見えた。
別にエルストベルク家の馬車が、質素というわけではないんだけどね。辺境伯家の馬車だから、頑丈さがメインになっているんだよね。
僕達の馬車は、その馬車から少し離れた位置に静かに停車した。
何となく予想していたけれど、豪華な馬車から降りてきたのは、ジョシュア殿下とエミリア嬢だった。
殿下が一緒だと、僕たちがエミリア嬢に気軽に声をかけるわけにいかないよね。
ジョシュア殿下の顔色が白く見える。光の加減じゃなくて、顔色悪いのかな、表情もなんだか曇っている。
馬車から降りて一歩踏み出したところで、ジョシュア殿下がふらついたように見えた。
慌てて、エミリア嬢が寄り添って支えている。反対側を、侍従らしき人、この間プティに嫌われた人だな、が支えている。
え?大丈夫なのかな。
ジョシュア殿下はどんどん具合が悪くなっている様に見えた。歩く度に身体が少しずつ前傾していく。
「殿下!無理なさらないでください!馬車に戻りましょう!」
侍従の人の声が通りに響く。
でも殿下は、首を振って、進み、商会に入って行った。
それを見つめていた僕と兄様。僕は兄様の服の端を引っ張った。
「ねえ、すぐ後に続いて入るとあまりよくないよね」
「うん‥‥。雰囲気的にね。少しだけ、待ってから入ろうか」
殿下達の姿が店内に消えてから、3分くらい待ってから、僕と兄様は商会のお店に入った。
入った途端、穏やかな笑い声が聞こえた。
入ってすぐのフロアに設置されているソファーに腰を下ろして、ジョシュア殿下が微笑んでいる。顔色も良くなっている。
隣にいるエミリア嬢の表情も柔らかい。
僕達が入店したのに気がついたのかエミリア嬢がちらりとこちらを見て微笑んだ。
「ケニー様、ソーマ君、ごきげんよう」
「こ、こんにちは。ジョシュア殿下、アドラー公爵令嬢。」
エミリア嬢から声をかけてくれたので、僕達はゆっくりと、二人に近づいた。侍従の人が、ギロリと睨んでくる。
この人護衛騎士じゃないのに、一番ぴりぴりしている気がする。
「お加減いかがですか」
さっき、具合が悪そうだったとは、聞けないけど、パーティで、体調を崩されたという話は広まっているので、具合を聞いても一応問題ないと思う。
「ありがとう。良くなってきているよ。先ほど少し目眩がしたけれど、今はもうなんともないんだ」
「そうでしたか。回復されているようでしたら何よりです。」
別にエルストベルク家の馬車が、質素というわけではないんだけどね。辺境伯家の馬車だから、頑丈さがメインになっているんだよね。
僕達の馬車は、その馬車から少し離れた位置に静かに停車した。
何となく予想していたけれど、豪華な馬車から降りてきたのは、ジョシュア殿下とエミリア嬢だった。
殿下が一緒だと、僕たちがエミリア嬢に気軽に声をかけるわけにいかないよね。
ジョシュア殿下の顔色が白く見える。光の加減じゃなくて、顔色悪いのかな、表情もなんだか曇っている。
馬車から降りて一歩踏み出したところで、ジョシュア殿下がふらついたように見えた。
慌てて、エミリア嬢が寄り添って支えている。反対側を、侍従らしき人、この間プティに嫌われた人だな、が支えている。
え?大丈夫なのかな。
ジョシュア殿下はどんどん具合が悪くなっている様に見えた。歩く度に身体が少しずつ前傾していく。
「殿下!無理なさらないでください!馬車に戻りましょう!」
侍従の人の声が通りに響く。
でも殿下は、首を振って、進み、商会に入って行った。
それを見つめていた僕と兄様。僕は兄様の服の端を引っ張った。
「ねえ、すぐ後に続いて入るとあまりよくないよね」
「うん‥‥。雰囲気的にね。少しだけ、待ってから入ろうか」
殿下達の姿が店内に消えてから、3分くらい待ってから、僕と兄様は商会のお店に入った。
入った途端、穏やかな笑い声が聞こえた。
入ってすぐのフロアに設置されているソファーに腰を下ろして、ジョシュア殿下が微笑んでいる。顔色も良くなっている。
隣にいるエミリア嬢の表情も柔らかい。
僕達が入店したのに気がついたのかエミリア嬢がちらりとこちらを見て微笑んだ。
「ケニー様、ソーマ君、ごきげんよう」
「こ、こんにちは。ジョシュア殿下、アドラー公爵令嬢。」
エミリア嬢から声をかけてくれたので、僕達はゆっくりと、二人に近づいた。侍従の人が、ギロリと睨んでくる。
この人護衛騎士じゃないのに、一番ぴりぴりしている気がする。
「お加減いかがですか」
さっき、具合が悪そうだったとは、聞けないけど、パーティで、体調を崩されたという話は広まっているので、具合を聞いても一応問題ないと思う。
「ありがとう。良くなってきているよ。先ほど少し目眩がしたけれど、今はもうなんともないんだ」
「そうでしたか。回復されているようでしたら何よりです。」
0
お気に入りに追加
172
あなたにおすすめの小説
目覚めたら7歳児でしたが、過酷な境遇なので改善したいと思います
瑞多美音
ファンタジー
ふと、目を覚ますと7歳児になっていた。しかも、奴隷に……
どうやら今世のわたしが死にかけたことで前世の記憶がよみがえったようだ……
熱病で生死をさまよい死にかけグループに移動させられたメリッサ。
死にかけグループとは病気や怪我などで役に立たないとされるひとが集められており、部屋は半壊、冷たい床に薄い布団、ご飯は他のグループと比べるとかなり少ないとか。ほかより待遇が悪くなるようだ……
「扱いが他よりちょっとひどいが、部屋でできる仕事がまわってくる。慣れればなんとかなるよ」
と言われたものの、さすが死にかけグループ。訳ありの人ばかり。
神様に見送られたわけでもチートをもらったわけでもない……世知辛い。
ここは自分の頭と行動で自分を助けるしかないな。前世では手助けしてくれた両親も今世は見当たらないのだから……でもなんだか、この部屋は心地よい。前の部屋は自分のことで精一杯という感じだったのにここでは正に一心同体。
みんなには死んでほしくないからすこしでも工夫しないと。
死にかけたことで前世を思い出した主人公が過酷な境遇を改善するため周囲のひとを巻き込みつつ知恵や工夫を凝らしてまずは衣食住の改善を目指し頑張るお話。
※この話には奴隷に関するもの、登場人物に火傷、隻腕、隻眼などが含まれます。あくまでもフィクションですが、苦手なかたや合わないと感じたかたは無理をなさらずそっ閉じでお願いいたします。
※この語は法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
しっかり者のエルフ妻と行く、三十路半オッサン勇者の成り上がり冒険記
スィグトーネ
ファンタジー
ワンルームの安アパートに住み、非正規で給料は少なく、彼女いない歴35年=実年齢。
そんな負け組を絵にかいたような青年【海渡麒喜(かいときき)】は、仕事を終えてぐっすりと眠っていた。
まどろみの中を意識が彷徨うなか、女性の声が聞こえてくる。
全身からは、滝のような汗が流れていたが、彼はまだ自分の身に起こっている危機を知らない。
間もなく彼は金縛りに遭うと……その後の人生を大きく変えようとしていた。
※この物語の挿絵は【AIイラスト】さんで作成したモノを使っています
※この物語は、暴力的・性的な表現が含まれています。特に外出先等でご覧になる場合は、ご注意頂きますようお願い致します。
猫がいない世界に転生しました〜ただ猫が好きなだけ〜
白猫ケイ
ファンタジー
もしも猫がいない世界に転生したら…どうする?テレシア・ポムエットは猫を助けて亡くなった女子高校生の記憶を持ちながら異世界で誕生してしまった。なぜ異世界と分かったかって、獣人がいて魔法がある猫のいない世界だったから。
産まれ変わってから、また猫と暮らせることを楽しみにしていたのに……猫がいないなんて。偶然保護した猫耳の男の子をきっかけに、猫に似た獣人と関わっていくことに。
「お前……! 俺を買い取って何が目的なんだ!」
「ね、ねこしゃん、テレシアとお友達になって!」
「……はっ?」
新たに得た立場を利用し目指すは獣人が幸せに暮らせる世界!
【いいね何よりのやる気スイッチです!スイッチオン感謝します】
神々の娯楽に巻き込まれて強制異世界転生ー1番長生きした人にご褒美有ります
ぐるぐる
ファンタジー
□お休みします□
すみません…風邪ひきました…
無理です…
お休みさせてください…
異世界大好きおばあちゃん。
死んだらテンプレ神様の部屋で、神々の娯楽に付き合えと巻き込まれて、強制的に異世界転生させられちゃったお話です。
すぐに死ぬのはつまらないから、転生後の能力について希望を叶えてやろう、よく考えろ、と言われて願い事3つ考えたよ。
転生者は全部で10人。
異世界はまた作れるから好きにして良い、滅ぼしても良い、1番長生きした人にご褒美を考えてる、とにかく退屈している神々を楽しませてくれ。
神々の楽しいことってなんぞやと思いながら不本意にも異世界転生ゴー!
※採取品についての情報は好き勝手にアレンジしてます。
実在するものをちょっと変えてるだけです。
いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!
町島航太
ファンタジー
ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。
ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。
ドラゴンなのに飛べません!〜しかし他のドラゴンの500倍の強さ♪規格外ですが、愛されてます♪〜
藤*鳳
ファンタジー
人間としての寿命を終えて、生まれ変わった先が...。
なんと異世界で、しかもドラゴンの子供だった。
しかしドラゴンの中でも小柄で、翼も小さいため空を飛ぶことができない。
しかも断片的にだが、前世の記憶もあったのだ。
人としての人生を終えて、次はドラゴンの子供として生まれた主人公。
色んなハンデを持ちつつも、今度はどんな人生を送る事ができるのでしょうか?
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
幼馴染と一緒に勇者召喚されたのに【弱体術師】となってしまった俺は弱いと言う理由だけで幼馴染と引き裂かれ王国から迫害を受けたのでもう知りません
ルシェ(Twitter名はカイトGT)
ファンタジー
【弱体術師】に選ばれし者、それは最弱の勇者。
それに選ばれてしまった高坂和希は王国から迫害を受けてしまう。
唯一彼の事を心配してくれた小鳥遊優樹も【回復術師】という微妙な勇者となってしまった。
なのに昔和希を虐めていた者達は【勇者】と【賢者】と言う職業につき最高の生活を送っている。
理不尽極まりないこの世界で俺は生き残る事を決める!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる