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第2章

第64話 パーティのエスコート

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それを聞いた兄様は驚いた顔をした後、すぐに怒りの形相になる。

「当日に? 失礼じゃないの?」
「今度埋め合わせはする、ですって」

手紙をテーブルの上に置き、しばらく黙った後に、ふぅーと深く息を吐いたミラ嬢。表情は今にも泣きそうだ。

「‥‥、ヘアセット予約したのに、無駄になっちゃったわ」

ヘアセットちょっと楽しみだったんだけどな、と、ミラ嬢は、無理矢理笑顔を作ろうした。

「予約してあるんだから、ヘアセットすればいいよ!」
「でも、エスコートなしなのよ。困るわ」
「じゃ、じゃあ、ぼ、僕と一緒に行かない?」
「え?」

兄様は、パーティの誘いをした後顔を真っ赤にした。ミラ嬢は、目をぱちくりとさせている。

「あ、でも、婚約者がいる場合、代理のエスコートは、兄弟とかでないとまずいのかな」
「急なキャンセルですもの。友人にお願いするのは問題ないと思うわ。招待状も私が持っているもので一緒に行けるはずだけど、‥‥ケニー様はよいの?」
「僕はもちろん、構わないよ!あ、ダンスとか得意ではないけど」

兄様がそう言うと、ミラ嬢がふふっと笑った。

兄様がパーティにエスコートする事になって、僕と兄様はパウンドケーキの試食の後、急いで屋敷に戻る事になった。
ミラ嬢がヘアセットをしている間に、兄様も、急なパーティの出席準備をしないといけないからだ。

屋敷に戻って、ミラ嬢をエスコートしてパーティに行く、と兄様から聞いた、母様は、最初動揺した様子で、それから怒りだした。

「ちょっと!ケニーはデビュタントじゃないの! そんな急に決めて!」

兄様は、そういったパーティに出席をしたことがなかったから、実質デビュタントになったようだ。

15歳になったらと計画してたのに!と悔しがりながら、母様はメイドにあれこれと急いで指示を出していた。

でも、ヨナスのドタキャンの事も話したから、あまり怒られはしていない様子だ。
兄様は軽く肩をすくめて、母様に謝った。

兄様は風呂に入れられ、顔面マッサージをされ、プティの化粧水をつけられ、ヘアセットをされていた。

顔面マッサージが始まりそうになったとき、兄様はちょっと抵抗をしたんだけど、急なエスコートを引き受けてきたのは誰か、と母様に言われてそのまま顔面マッサージを受け入れた。

「素敵髪生活」で、ツヤツヤさらさらヘアになり、肌もピカピカ、王都に来てから仕立てた礼装を着た兄様は、ちょっと王子様っぽかった。

「兄様カッコいい!」
「ありがとう」

兄様が参加するパーティ、見てみたい。でも、一緒には行けないんだよね。
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