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第2章

第55話 ふわっとした焼き菓子

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朝食の後は、特に予定がかなったので、プティと猫じゃらしで遊んでいた。
ふと。昨日のお土産のドライフツーツとナッツの事を思い出した。
そのまま食べても美味しいので、一部はそのまま叔父様や母様達へのお土産にしたんだけど、
ケーキに入れたら美味しいだろうなと思って、シェフに、これでケーキを焼いてと言ったら、なんだか、伝わっていない感じだったんだ。

パウンドケーキとかって、この屋敷では食べた事なかった気がする。
エルストベルク領の屋敷では、時々おやつに出ていたけど、そういえば、僕がシェフに、リクエストしたんだったかも。

「プティ、ちょっと厨房に行ってくるね」
(プティは行かないほうがいいにゃ?)
「うん、厨房の人はダメって言わないと思うけど、気にしそうだから、待っていてくれる?」
(分かったニャ)

プティは(神だけど)猫だから、抜け毛とかも気にされるだろうから、屋敷でも行く場所と行かない場所を選んでいるんだ。
厨房とかは、一番気を遣われそうだからね。

プティは、ストレージルームに入った。僕の熟練度が上がったら、そのうちストレージルームから外の様子が分かるようになるかもって言っていた。
なので、頻繁に使う方がいいんだって。

プティがストレージルームから外の様子が分かるようになったら、プティを連れて行けない場所でも、プティは寂しくなくなるから、頑張って、熟練度をあげなくちゃね。

厨房の近くまで行くと、厨房で働く人達は僕に気がついて、微笑んでくれた。

「ソーマ坊ちゃま、おはようございます。今日はいかがなされましたか?」

シェフのジョセフさんが出てきて、膝を曲げて僕に目線を会わせて挨拶をしてくれた。

「ジョセフさん、昨日、僕が言ったお菓子なんだけど、ふわっとした焼き菓子って、こっちでは作ってないのかなと思って聞きにきたんだよ」
「ふわっとした焼き菓子、でございますか。申し訳ございません。存じ上げません。」

ジョセフさんが申し訳なさそうに、眉を八の字に下げた。ジョセフさんは、焦げ茶色の短い髪をしていて、背が高くて体格がいいおじさんだ。
腕なんで僕の足より太いんだよ。

そんなジョセフさんが、ちょっとしょんぼりとした顔をして肩を落としている。

「エルストベルク領では、ケーキというものが作られているのでしょうか」
「うん、僕が頼んで作ってもらったんだ。ねえ、作り方を説明したら、作ってもらえる?昨日のドライフルーツとナッツを使ってもらいたいんだ」
「はい、もちろんでございます」

ジョセフさんがにっこりと笑った。
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