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第2章

第44話 市場へ買い物

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数日後、兄様と一緒に、街に出かけた。
以前、お買い物が途中で終わっていたので、その続きをしに来たんだ。
今日は市場を見に行くことになったよ。

市場は、王都の市民街の南側にあって貴族街からはちょっと遠い。

貴族街と市民街は壁と門で隔てられているんだけど、教会は貴族も市民も通うから特別なエリアになっているんだ。

教会の隣の公園もそのエリアなんだって。古代の神殿の遺跡があるからかな。
教会の人は、このエリアを教会街と呼んだりするらしいんだけど、昔の神殿の跡があるから、一般には神殿区と呼ばれる事が多いんだって。

僕達の屋敷は、貴族街にあるけれど、この神殿区を経由する方が、どこかに出かけるのに近道だったりするのでよく通るんだ。

「公園は寄らないでいいの?」

公園の近くになると、兄様が言う。

「うん、今日は大丈夫だよ。今度また散歩はしたいけど」

公園の雰囲気は好きだけど、今日は市場だからね。

神殿区から、また貴族街のエリアにある大通りに入る。馬車に通行許可のタグが貼ってあるらしくて門は素通りできるようだ。
大通りには叔父様のお店のエルスト商会の店舗がある。
前を通るとき、叔父様いるかな?って、馬車の窓からのぞいてみたけれど、まだ朝早いからか、人が居なかった。通りを往く馬車も人もまばらだ。

「帰り、叔父様のところに寄っていい?市場で何か買ったらお土産を持って行こうよ」
「うん。お土産いいね」

僕の提案に、兄様が乗ってくれた。
市場で何か良い物が買えるといいな。

大通りを抜けてしばらく進むと、大きな門があった。貴族街には門がいくつかあるんだけど、メインの大通りに続く、この門が一番大きくて立派だ。
門の前には数台の馬車が並んでいて、ゆっくり順番に進んでいる。

大きな門の横には、通用口のような小さい門があって、そちらは、徒歩の人とかが通るようになっているようだ。
平民も門でチェックを受けて、貴族街に入って行く姿が見えた。平民の人も門で確認を受ければ貴族街に入る事ができるけど、
通行料がかかるので、通るのは商人とかお金持ちの人が多いみたい。

「はい、エルストベルク辺境伯家様。どうぞお通り下さい。お気をつけて。」

門のところで、衛兵の人が御者の人に言っているのが聞こえた。馬車は一時停止してすぐにまた動きだした。
僕は窓から顔を出してみた。肌が浅黒くて金髪マッチョな衛兵さんと目が合った。手を振ってみたら、にこって、白い歯を見せて笑った。
白い歯がキラリと光る。おお、ちょっとサーファーを連想した。爽やかマッチョだった。

「ソーマ、お行儀悪いよ」

窓の外を見ていたら兄様に注意された。

「はあい」

窓から外を眺めるくらいなら特に何も言われないけれど、身を乗り出したりとかすると注意される。
一応、道を覚えておいた方がいいから、外を眺めるくらいはしたいよね。

門を抜けると、街の雰囲気が変わる。建物がちょっと黒ずんで古びたような感じに見える。
その光景に、既視感がある。うん、前世で僕が作ったゲームの世界の町並みにそっくりだ。
プティも居るし、街並みも似ているし、やっぱりゲームの世界なのかな。でもプティも分からないっていうし、ゲームの世界と違う部分もあるし、
未だによく分からないままだな。

「いい?ソーマ、勝手にあちこち動き回ってはだめだよ。特に路地裏には絶対入ってはだけだからね」

さっきから、兄様が何度か同じことを言っている。僕そんなに、好き勝手にあちこち走り回っちゃうイメージなのかな。

プティが一緒だと、もしもプティが走り出したら僕が絶対追いかけて行っちゃうからって言われて、今日はプティは一緒に行けなかったんだよ。
まあ、プティは今、ストレージルームにいるんだけどね。
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