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第33話 ディスペルの魔法陣

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その後は、ディスペルの魔法陣化だ。

試しに、ディスペルを唱えてみる。

払いのけるイメージで、呪文を唱えると、ふわっと、魔力が霧散したような感覚があった。

発動したけど、払いのける対象がないから空振りした感じかな。

空振りでも発動はしているけど、対象がはっきりしないと、うまく行かないかもしれないから、床を綺麗にするつもりでディスペルをしてみた。

さっきより手応えを感じた。それに、床の一部が綺麗になった気がするよ。

‥‥、うまく行ったんだろうか。これ浄化とかになってない?

一応、浄化も唱えてみた。

うん、浄化は、悪いものを、洗い流すような感じで、ディスペルは、こびりついているものを払いのけるような感じだね。

何回かやって感覚をつかんだら、魔法陣に落としていく。

かけた魔法陣を調整して、試し、また調整を繰り返して、大体良い感じに出来上がったと思う。

それを、特製魔法陣キットにセットして、効果範囲とかを設定して、転写。チン!出来上がり!

出来上がったと思ったけど、テスト用の魔道具にセットして試してみると、スイッチを押しても発動しない。

「うーん、何か間違った?」

魔法陣魔石を、魔道具から外して、手に持って魔力を流してみる。ふわっと、魔力が霧散して、魔法が発動している感覚があった。

「魔道具だとうまく行かない?」

もう一度、テスト用魔道具にセットして、スイッチを押してみたけど、反応しない。

手で、持って魔力を流したときは、僕の魔力で発動させているんだけど、テスト用魔道具は、スイッチを押すと、他の人の魔力を想定しているから、魔力の多い魔石から
魔力が流れるようにしている。

魔力元の魔石に原因があるのかな。

セットしてあった、魔力用魔石をはずして調べてみる。残魔力量は、十分あると思う。フォレストリザードの魔石だ。

フォレストリザードは土属性が強いから、それが原因なのかな。

通常は、魔法属性が違っても、魔道具で変換して魔力をながすようにしているんだけど、ディスペルは光属性だから、特殊なのかもしれない。

「光属性を持っていないと発動できないとか、ちょっと困るよね」

属性が違う人でも魔法が使えるようにする為に魔道具を作っているんだから、それだと意味がなくなっちゃう。

光属性の魔力を、魔石の中にためておいて、発動するときだけ、ためてある光属性の魔力を使うように変えてみる。

魔法を持続的に使う場合は、発動者の魔力か、魔法補助用の魔石からの魔力をつかうようにする。それなら蓄積させる魔力は少しでいいはず。

そう思ったけど、魔石の中に、属性の魔力を溜め込むというのが、難しかった。

魔法陣を魔石に転写した後ではダメで、先に魔石の中に魔力を溜め込む領域を造りだしてから、それから、ゆっくりと少しずつ、光属性の魔力を流し込む。

加減を間違えて、何回か魔石を割ってしまった。

魔石に魔力がたまったら、発動にだけ、貯めた魔力を使うように、条件を指定した魔法陣をセットして、転写。チン!出来上がり。

今度はうまく行ったようだった。テスト用魔道具での発動も上手くいった。
一個作るのにかなり時間がかかった。

家族の人数分は作らないと、と、次の分にとりかかろうとしたら、ノックの音がした。

返事をすると、母様が部屋に入ってきた

「ソーマ、また魔道具に夢中になっていたのね。もうお昼過ぎたわよ」
「あ!お昼ご飯!」
「何度呼びにいっても応答がなかったって、報告があったわよ」
「ああー、みんなもう食べ終わっちゃったの?」
「そうよ、もうお昼の時間は大分すぎているのよ。」
「ああー」
「お茶にするから降りてらっしゃい。貴方用に軽食を用意させましょう」
「はあい」

どうやら、とっくにお昼の時間は過ぎていて、お茶の時間になったので、呼びにきてくれたようだ。

みんなはミルクティに、軽い小さなお菓子を食べているけれど、僕だけ、丸いパンに、チーズやハムを挟んだものを食べた。

マスタードと蜂蜜が効いていて美味しい。

「ソーマ、また魔道具を作っているの?」

アリサ姉様が、パンを食べている僕を眺めながら聞いてきた。

「うん、つい集中しちゃって」
「楽しそうね。私は出かけられなくて、ちょっと退屈だわ」

アリサ姉様は、子供向けのお茶会に参加しようとしていたらしいんだけど、
父様に、王都で危険物が出回っているという噂があるから落ち着くまで外出も家に仕立て屋などの業者を呼ぶのも控えるようにって言われちゃって
参加中止になっちゃって、予定が空いてしまって退屈らしい。

王都に来たばかりで、外出もできないと、確かに時間を持て余すよね。

「叔父様が、護衛の人用の分も魔道具を用意してくれているから、後少しじゃない?」
「そうね。でも王都って思ったより怖いところなのね」

アリサ姉様も、兄様が危ない目に会った事は知ってるみたいだ。あ、僕も危ない目にあってたね。

そりゃ危険なところだって、印象になるよね。
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