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第27話 高速の依頼

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「やあ、また、すごいものを作ったようだね。しかも、昨日の今日で。」

叔父様は僕に軽くハグをした後、腕輪を手にとり、魔石や猫のデザインを眺めた後、鑑定器具で鑑定をしたようだ。

「これ、発動させてみたいけれど、兄上用につくったものだよね。兄上、発動してみてくれますか?」

効果を調べるには、魔法陣に魔力を通さないといけないけど、父様の分だからと、遠慮しているようだ。

僕は、腰につけた道具袋から、巾着をとりだして、巾着から魔石を出した。

「叔父様、腕輪にしていない魔石ならあります」
「おお、試してみていいかい?」
「腕輪の形になっているものも確認したほうがいいだろう」

叔父様が嬉しそうに笑った。父様も、腕輪を手に取って、魔力を流したようだ。ちゃんとおまじないも言ってくれる。

腕輪と、魔石だけのものも、おまじない付きでちゃんと魔力を流して、鑑定器具で調べてみてくれた。

「確かに。実際に魅了を弾くような場面がないと、最終的な確認はできないけれど、魅了耐性と出ているね。
急いで商品にすれば、昨日の店の調査で使って、効果の確認もできるだろう。素晴らしいよ!」

叔父様は本当に嬉しそうだ。というより、心配事で今まで表情が曇っていたみたい。

魅了の魔法を放つようなものが、出回っていることで、僕らの事がかなり心配だったようだ。

早速、最優先で‥と言いかけた叔父様は、何か思い出してちょっと考え込んだ様子になった。

「叔父様、どうかしたの?」
「うん。これは、やっぱり最優先にしたい‥‥。しかし‥‥。」

叔父様は、ちょっと困り顔で、僕の方を見た。

「‥‥、ソーマ。記録の魔道具の解析の件だけど、解析をもっと高速にするって、可能かな」
「え?あれ、解決したんじゃなかったの」
「実は、まだ、終わっていなくてね。もっと広範囲に記録の魔石を解析することになったんだ。」

商会のスタッフさんを沢山動員して、解析しようとしていたけど、魅了耐性の魔道具も優先したいので、
解析が高速化できれば、解析担当の人の割合を減らせるんじゃないかと思ったんだって。

「もっと広範囲って、どうして?階段のときの現場の映像はしっかり映っていたんでしょう?」
「エミリア嬢の件は、階段の件だけではなく、教科書を破ったり、ドレスにワインをかけたりという疑いがまだ残っているという話になってね」

階段で、エミリア嬢が、カタリーナ嬢に触れてもいなかった映像を、法務院に提出したけど、
それだけじゃダメッて言われたようだ。

それならば、と過去何ヶ月分科の、記録の魔道具の映像を確認することにしたんだって。
しかも、学園にあちこちに設置してあった、魔道具の分だから、
時間も場所も範囲がすごく広がっているようだ。

それを、スタッフさんが手分けして、高速再生した映像で、無実の証拠を見つけようとしているんだって。

「それ、すごく時間がかかるんじゃないの?」
「だから、高速に出来ないかと思ってね。」

僕はうーん、と唸った。

ちょっと思っていて口には出していないけれど、乙女ゲーム的な展開なら、階段が自作自演だったら、教科書はドレスもカタリーナ嬢の自作自演の可能性は高いと思う。

父様も叔父様も、そう思っているんだろうと思う。
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