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第21話 お買い物
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「今日は、街を見てみようか」
兄様が提案した。そういえば、初日に色々ありすぎて、まだ街中を見て回ってなかったよ。
大通りを馬車で行って、店が多く並ぶあたりで止めてもらった。
今日はお忍びウェアじゃないからね。
貴族街と平民街の境目近くにある通りで、貴族の人やお金持ちの平民の人向けのお店が並んでいるエリアなんだって。
市場とかみたいって言ってみたけど、それはまた今度って言われたよ。
文房具さんに入ったら、棚には、展覧会みたいな感じで、一品ずつ説明書きとともにディスプレイされていた。
気になるものがあったら、お店の人に言うと、別室で、色違いとか色々と、持ってきてみせてくれるんだって。お高そう~。
せっかくなので、母様達へ何か買っていこうって兄様が言う。
お高そうなのに大丈夫?って聞いたら、こういう買い方も経験だからしておきなさいって父様に言われてきたんだって。
高級そうだけど、宝石ほどじゃないから、大丈夫って言われたよ。
綺麗な羽がついた羽根ペンとレターセットを見せてもらった。
レターセットは、和紙みたいな感じの紙でできていた。
お店の人がお盆にいくつかのレターセットを並べて持ってきてくれる。
「こちら、今に人気のエルスト商会から仕入れたばかりの、シリーズです。紙に花びらが入っていて、女性にとても人気なんですよ」
叔父様の商会の商品は、他のお店でも販売されているんだね。ちょっと嬉しくなるよ。
母様達の用に、兄様と羽根ペンを選んで、僕は自分用にカードと封筒のセットを買った。
何かにメッセージを添えて渡すときに、便利だよね。
兄様は、綺麗な色のインクを選んでいた。
勉強のときに使うのかなと聞いたら、妙な顔をされた。
勉強するときに重要なところを、ノートを色分けして書くのをイメージしたんだけど、そういう使い方をするとすぐ亡くなっちゃうくらいの量しか入ってないみたい。
確かに、結構高そうなインクだよね。
僕達が、話していると、お店の人が、「参考になります」とメモを取っていた。
兄様が来年、学園に入る予定だと伝えていたからか、来年くらいまでには、学習者向けのインクを準備してくれるって。
来年も来ないといけないね。
文房具屋さんの次は、お茶屋さん。
ここも、奥のお部屋に通されて、お茶の試飲をさせてもらった。
子供だから、あまり渋くなくて、香りも強くないお茶を選んでくれたみたい。
試飲用のお茶と一緒に、小さなクッキーみたいなものが出てきた。胡麻と砕いたドライフルーツを混ぜて焼いたものみたい。
カリカリしていて優しい甘みで、美味しい。
僕がお菓子を食べてニコニコしていると、「こちらのお菓子も、販売出来ます」と言ってくれた。
僕はお菓子をお土産に買ってかえることにして、兄様は、香りが気に入ったお茶を一つ買ったんだって。
お茶屋さんの次は、アクセサリー屋さん
宝石店じゃなくて、王都のお土産用の、値段を抑えめの髪飾りとか腕輪とかを売っている店らしい。
プティグッズの参考になるかな。
母様達に、髪飾りはどうかな、と思って見せてもらったんだけど、金属を加工して、貝殻とかで飾られた髪飾りは、手にしてみると結構重かった。
使っていて、重くて首が疲れたりしないか、お店の人に聞いてみたんだけど、女の人は、気に入れば購入していくんだって。
デザインが気に入れば、重くても我慢するのかな。
これは、ちょっと、母様達が、直接見て気に入ったものを選んでもらう方がいい気がする。
僕がそういうと、お店の人はちょっと残念そうにしながら、「軽量化を課題にします」と言ってくれた。
そして、髪飾りがダメならと、ペンダントや腕輪をいくつか見せてくれた。
貝殻や水晶がついたものの他に、魔石がついているものもある。
「こちらは、力の腕輪といって、魔力を通すと、腕力が少しだけ上昇するものです。冒険者などにも人気なんですが
非力な女性が、いざというときに使ったりもするそうです」
「いざというとき‥。」
「重たい本を持ったりとかですね。運ぶのは他の人におまかせできても、机の上で本を少し移動させようとするときなどに、使うのには重宝するそうです」
「本ってそんなに重いの‥‥」
いざって時って、暴漢に襲われた時とかかと思っちゃったよ。
机の上で本を移動させるのに、どれだけ非力なんだと思わないでもないけれど、平和な使い方だよね。
他には、と、隣の紫色の大きな石がついたペンダントを手にとってみたら、チリッとした感触があった。
ーーー魅了の魔力が含まれているにゃ。使用者が不在のため、影響はないにゃ
(プティ?)
プティの声だった。
話しかけてきたのかと思って、次の言葉を待っていたけど、特になく。もう一度、ペンダントに触ったら同じ言葉を言われた。
これってさっきプティがつけてくれた加護なのかな。
影響はなくても教えてくれるんだ。
「あの‥‥、これって、何か特殊ですか?」
僕は魔石には触るのはやめて、手で指し示してお店の人に聞いてみた。
「それは、北方のデメルン王国の美しい色の希少な鉱石を使った首飾りですが‥‥」
お店の人が、答えているところに、兄様も不思議そうに、ペンダントを見た。
「これ、何か魔力強くない?」
「え? お、お待ち下さい‥」
兄様の言葉を受けて、お店の人は、ペンダントに手を伸ばし、手に取った。
「調べて参ります」
店員さんがペンダントを手にしたまま、部屋を出て行こうとすると、護衛の人がドアの前に立ち塞がった。
「規定違反の可能性がありますので、それは持ち出さず、責任者をお呼びいただけますか?」
護衛の人がしゃべったよ!
護衛の人が、お店の人に、ペンダントを、机に戻すように促している間に護衛の人が何人かすっと部屋を出て行った。
魔力の強い魔石を使った商品は、魔道具販売の認可が通っているお店で、きちんと説明付きで売らないといけないんだ。
僕も、魔道具を作るから知っているよ。
このお店は、魔道具屋さんの認可がないのかな。認可があっても、説明なしで売ったらまずいんじゃないかな。
それに、魅了って、多分ダメなやつ‥‥。
兄様が提案した。そういえば、初日に色々ありすぎて、まだ街中を見て回ってなかったよ。
大通りを馬車で行って、店が多く並ぶあたりで止めてもらった。
今日はお忍びウェアじゃないからね。
貴族街と平民街の境目近くにある通りで、貴族の人やお金持ちの平民の人向けのお店が並んでいるエリアなんだって。
市場とかみたいって言ってみたけど、それはまた今度って言われたよ。
文房具さんに入ったら、棚には、展覧会みたいな感じで、一品ずつ説明書きとともにディスプレイされていた。
気になるものがあったら、お店の人に言うと、別室で、色違いとか色々と、持ってきてみせてくれるんだって。お高そう~。
せっかくなので、母様達へ何か買っていこうって兄様が言う。
お高そうなのに大丈夫?って聞いたら、こういう買い方も経験だからしておきなさいって父様に言われてきたんだって。
高級そうだけど、宝石ほどじゃないから、大丈夫って言われたよ。
綺麗な羽がついた羽根ペンとレターセットを見せてもらった。
レターセットは、和紙みたいな感じの紙でできていた。
お店の人がお盆にいくつかのレターセットを並べて持ってきてくれる。
「こちら、今に人気のエルスト商会から仕入れたばかりの、シリーズです。紙に花びらが入っていて、女性にとても人気なんですよ」
叔父様の商会の商品は、他のお店でも販売されているんだね。ちょっと嬉しくなるよ。
母様達の用に、兄様と羽根ペンを選んで、僕は自分用にカードと封筒のセットを買った。
何かにメッセージを添えて渡すときに、便利だよね。
兄様は、綺麗な色のインクを選んでいた。
勉強のときに使うのかなと聞いたら、妙な顔をされた。
勉強するときに重要なところを、ノートを色分けして書くのをイメージしたんだけど、そういう使い方をするとすぐ亡くなっちゃうくらいの量しか入ってないみたい。
確かに、結構高そうなインクだよね。
僕達が、話していると、お店の人が、「参考になります」とメモを取っていた。
兄様が来年、学園に入る予定だと伝えていたからか、来年くらいまでには、学習者向けのインクを準備してくれるって。
来年も来ないといけないね。
文房具屋さんの次は、お茶屋さん。
ここも、奥のお部屋に通されて、お茶の試飲をさせてもらった。
子供だから、あまり渋くなくて、香りも強くないお茶を選んでくれたみたい。
試飲用のお茶と一緒に、小さなクッキーみたいなものが出てきた。胡麻と砕いたドライフルーツを混ぜて焼いたものみたい。
カリカリしていて優しい甘みで、美味しい。
僕がお菓子を食べてニコニコしていると、「こちらのお菓子も、販売出来ます」と言ってくれた。
僕はお菓子をお土産に買ってかえることにして、兄様は、香りが気に入ったお茶を一つ買ったんだって。
お茶屋さんの次は、アクセサリー屋さん
宝石店じゃなくて、王都のお土産用の、値段を抑えめの髪飾りとか腕輪とかを売っている店らしい。
プティグッズの参考になるかな。
母様達に、髪飾りはどうかな、と思って見せてもらったんだけど、金属を加工して、貝殻とかで飾られた髪飾りは、手にしてみると結構重かった。
使っていて、重くて首が疲れたりしないか、お店の人に聞いてみたんだけど、女の人は、気に入れば購入していくんだって。
デザインが気に入れば、重くても我慢するのかな。
これは、ちょっと、母様達が、直接見て気に入ったものを選んでもらう方がいい気がする。
僕がそういうと、お店の人はちょっと残念そうにしながら、「軽量化を課題にします」と言ってくれた。
そして、髪飾りがダメならと、ペンダントや腕輪をいくつか見せてくれた。
貝殻や水晶がついたものの他に、魔石がついているものもある。
「こちらは、力の腕輪といって、魔力を通すと、腕力が少しだけ上昇するものです。冒険者などにも人気なんですが
非力な女性が、いざというときに使ったりもするそうです」
「いざというとき‥。」
「重たい本を持ったりとかですね。運ぶのは他の人におまかせできても、机の上で本を少し移動させようとするときなどに、使うのには重宝するそうです」
「本ってそんなに重いの‥‥」
いざって時って、暴漢に襲われた時とかかと思っちゃったよ。
机の上で本を移動させるのに、どれだけ非力なんだと思わないでもないけれど、平和な使い方だよね。
他には、と、隣の紫色の大きな石がついたペンダントを手にとってみたら、チリッとした感触があった。
ーーー魅了の魔力が含まれているにゃ。使用者が不在のため、影響はないにゃ
(プティ?)
プティの声だった。
話しかけてきたのかと思って、次の言葉を待っていたけど、特になく。もう一度、ペンダントに触ったら同じ言葉を言われた。
これってさっきプティがつけてくれた加護なのかな。
影響はなくても教えてくれるんだ。
「あの‥‥、これって、何か特殊ですか?」
僕は魔石には触るのはやめて、手で指し示してお店の人に聞いてみた。
「それは、北方のデメルン王国の美しい色の希少な鉱石を使った首飾りですが‥‥」
お店の人が、答えているところに、兄様も不思議そうに、ペンダントを見た。
「これ、何か魔力強くない?」
「え? お、お待ち下さい‥」
兄様の言葉を受けて、お店の人は、ペンダントに手を伸ばし、手に取った。
「調べて参ります」
店員さんがペンダントを手にしたまま、部屋を出て行こうとすると、護衛の人がドアの前に立ち塞がった。
「規定違反の可能性がありますので、それは持ち出さず、責任者をお呼びいただけますか?」
護衛の人がしゃべったよ!
護衛の人が、お店の人に、ペンダントを、机に戻すように促している間に護衛の人が何人かすっと部屋を出て行った。
魔力の強い魔石を使った商品は、魔道具販売の認可が通っているお店で、きちんと説明付きで売らないといけないんだ。
僕も、魔道具を作るから知っているよ。
このお店は、魔道具屋さんの認可がないのかな。認可があっても、説明なしで売ったらまずいんじゃないかな。
それに、魅了って、多分ダメなやつ‥‥。
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