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第15話 公園に行く

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僕が作った魔法陣をつかって、エルスト商会が経営する工房で魔道具をつくってもらって、商会の従業員が、記録された魔石の解析作業をすることになった

魔法陣をつくったら、午前中は終了。

お昼になった。

お昼はなんと串焼き!

屋台のものではなくて、シェフが、僕が食べたがっていたと聞いて、屋台っぽい感じで作ってくれたんだって。
感激!

串に刺さったお肉がジューシーでとっても美味しい!

母様と、姉様、マーリエは、串のまま食べるのは抵抗があるっていって、串をとってもらって、ナイフとフォークで食べていた。

それだとステーキと変わらないんじゃないかな。

でもお肉はグレートボアのもので、辺境で食べるよりスパイシーに焼いてあったので串をとっても十分美味しいと思うよ。

午後は兄様の制服を作りにブティックに行くのかなと思ってたら、明日仕立て屋さんが、タウンハウスに来てくれることになったそうで、ブティックにいかなくてよくなっって、午後の予定がフリーになった。

プティのことを思い出して、散歩に行きたいと、言ってみる。

昨日の誘拐事件があったから、父と兄はいい顔をしなかった。

公園の赤い石が見たいだけなんだ、と主張したら、護衛が隠れないで傍で警護するって条件で、公園に行ってもいいってことになったよ。

馬車で公園に向う。
今日は平民っぽい服装ではなくて、ちょっとフリルがたっぷりついて、キラキラ光るボタンのついたシャツを着ている。

馬車の中で、ふと、公園の赤い石が見たいとかいいだして、変に思われてないかなと思って、兄様に聞いてみた。

「雨の日に森のカブトムシを観察したいとか、岩山に生息する赤岩鳥の卵が孵るところを見たい、とか言われるより、大変じゃないから大丈夫だよ」

僕がまるで、しょっちゅう変なわがままを言っているかのようなことを言われてしまった。

僕ってわがままなのかな。

でも、公園の赤い石を見たい理由を追求されるよりいいかな。


馬車を降りると、護衛の人が今日は明らかに守ってますよ、という体制で、僕と兄様を取り囲んでいた。

行き交う人達には、遠巻きに見られているような気がする。貴族の人みたいだよね。一応貴族だけど。

公園の小道を通りながら、いくつも立っている柱を観察したけど、途中に立っている柱には赤い石はなかった。

昨日の場所の柱にも赤い石がなかったらどうしよう、と思ったけど、ちゃんと昨日みた柱には、赤い石が埋め込まれているのを見てホッとした。

また、上上下下と、手順を踏んで赤い石に触る。

(颯真にゃーん)

エネルギーチャージされる感覚と同時くらいに、プティの声が聞こえた。

(プティ、神力たまった?)

(少しだけにゃ。颯真にゃんが、プティのことを思ってくれていたから、いつもより多く回復したにゃ。)

(プティのことを考えると、神力がたまるの? ずっと考えていたらいい?)

(ずっとじゃなくても、プティのことを頭の隅でも考えてくれていればいいにゃ。大勢の信仰があると更に効果が高いにゃ。)

(大勢の信仰って‥?)

(地球からの神力は、プティラッキーグッズを颯真ニャンが販売してくれたから集まってたニャ。
こっちでは、地球からの神力がほとんどつかえないにゃ。こっちの信仰がないとダメにゃ)


プティラッキーグッズは、僕が携わったゲーム内で、ユーザー向けに販売していた幸運の小道具だった。

自作以外のゲームの中にも、作り込んで、可愛いって人気がでていたんだ。

地球でゲームをしていた人たちがプティのことを考えていたから、地球の神力がたまったんだね。

(グッズを通して、大勢の人がプティのことを考えてくれたらいいってこと?)

(そうにゃそうにゃ。あ、そろそろ神力が不足してきたかも)

プティの声が弱まってくる。

(グッズつくるよ!待っててね!)

(にゃ!)

石から手を離した。待っていてくれた兄を振り返った。

兄はニコニコして僕を見ていた。なんだかその表情って、一人遊びをしているマーリエを眺めている時みたいな表情だな。
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