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悠と可愛い彼氏

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最近悠の様子がおかしい。

俺が近寄ったらすぐ離れるし、一緒に帰ろうとしてもすぐ断られるし、デートも誘ってこない、喋りかけてもこない。

おかしい。
何か隠しているんじゃないか。

今度しっかり聞こう。


「ー終わります」

六限目が終わり、悠はすぐに帰ろうとしていた。
俺はそんな悠の手を掴んだ。

「ちょっとこの後いいか?」

悠は目を逸らして頷いた。

俺と悠は一緒にカフェに行った。

「なぁ。最近悠の様子おかしくないか?何か隠してるだろ。俺に隠し事をするなんて悠にしては良い度胸じゃん」

悠は静かに下を向いていた。

「なんか答えろよ」

「なんか答えろよって、何も答えることなんかねーよ。隠してることもないし」

悠はまだ目を合わせてこない。
俺は悠の両肩をがっしりと掴んで無理やり目を合わせに行った。

「明らかに様子変だろ!仮にも俺はお前の彼氏だぞ」

少し悲しかった。
付き合えたと思ったら、急にそっけなくなって。

「そっか。俺じゃあ、お前の彼氏なんかになれないか。別れたかったら別れてもいいんだ....」

「違う!最近翔がだんだん可愛くなっていって...」

お、俺が可愛いだと?

「なんか軽く抱きついただけでも髪の毛いい匂いするし、行動とか、仕草とか、なんか昔とはちがうというか」

ん?
って事は...

「俺が可愛いから一緒にいたら限界って事?」

悠は顔を赤くして下を向いて頷いた。

「なんだよ、それ」

俺は安心と面白さと嬉しさから笑っていた。
どんな理由だよ。

「笑うなよ、、」

悠は顔を赤くしたまま、小さな声でそう言った。

良かった。
心配して損したかも。

「でもやっぱりまだ子供だな。悠は」

俺は悠の頭をポンポンと撫でながらこう言った。
すると、悠は急に俺を壁に押しつけた。

「なぁ。言ったろ。お前が可愛くて可愛くて仕方ないって。抑えられなくなるから、行動をしっかり考えて?」

悠がこんなことしてくるやつだとは思わなかった。昔からずっとこんなことしてたし、何がよくて何がダメなのか分かんないよ。

すると、悠は俺に顔を近づけて、唇を合わせてきた。

悠はニヤリと笑ってこう言った。

"お仕置き"と。

最近悠の行動力はすごい。
絶対何も考えてないんだろうな。

俺からすると結構うれしっ....!?
嬉しくなんかない。うん、驚いただけ。

でも最近俺も色々気を使うようになった。
シャンプー変えたり、寝癖しっかり治したり、悠にもっと好きになってもらえるようにって、いっぱい考えてた。

これがその結果なんだろうな。

でもこれで良いのか...?
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