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魔法を解く方法

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私は次の日、学校に行きながら考えた。

(エドワードはキース。つまり私の選択肢としては、キースに付くか、セインに付くか、よね。ただし、昨日のキースの発言から、セインが生きていることを彼は知らないわ。)とそこまで考えたところで、「おはよう。ルーナ嬢。」と後ろからセインの声がした。

振り返ると、いつものようにストロベリーブロンドの髪の毛をふわふわに巻いたセインがいた。

たった少しの間しか離れていないのに、その姿を見ただけで安心感で胸が張り裂けそうだった。

「あ、あのね。」と私が切り出したところで、「ちょっとこっちに来て。」彼は私の手を引くやいなや学園の図書室のほうへと引っ張っていった。

「ちょっと、授業はどうするのよ。」私が小声で囁くと、彼は「大丈夫だ。体調悪そうだったから俺がルーナ嬢を保健室まで連れてってることにしてるから。」と言った。

図書室に入ると古書が積まれているエリアに、セインは私を誘導した。「昨日見つけたんだ。この呪いを解く方法が。」と彼は本棚の奥に隠してあった本を引っ張りだした。

「どうやら、この俺を呪い殺そうとした魔法はかなり強力というか非合法な魔法につき、かけた方は、その後代償として少しづつ魔力を爆発消耗とともに失っていくらしんだ。ただし、魔法が成功していなかった場合で、かけられた方とかけた方が和解をした場合、この魔法は効力を失う。」本の内容を指さしながら、セインはそう言った。

「まぁ、魔法が成功していたら和解も何もないわよね。そもそも和解ってどうやるの?」私は説明にうなずきながら訪ねた。

「それが難しいんだよな。この本によるとこの魔法は、古の時代、男女間のもつれでそれを解消するためによく利用されたらしい。だからこそ今は非合法なんだけどな。まぁでもそこで使われた和解の解決策の1つとして、かけられた方とかけた方が婚約関係を結ぶことだったらしい。もちろん形式的に結ぶだけでいいらしいけどな。」彼は考え込みながら言った。

「婚約、か。」私はそうつぶやいて思い出したようにこう続けた。「あ、あのね、今度王族主催のパーティーでキースが正式に婚約発表するの。それにあなたは知ってるか分からないけれど、私のところの執事、エドワードは実はキースだったのよ。」

「そうなると、対策をたてるにしても急がないとな。ルーナ嬢の屋敷内に内通者がいるとは思ってたけど、執事に変装して自分が忍びこんでいたなんて。何もされなかったか?」セインは心配そうに尋ねる。

(本当のことなんて言えるわけないじゃない。)私は赤くなってうつむいた。

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