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14 暴露する従者

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「え~と……そ、その……何となく……でしょうか?」

視線を泳がせながら誤魔化すように答える。まさかクレアを見た時に、この席で一緒に食事をしている光景が浮かんだからだとは口が裂けても言えない。
すると何を勘違いしてか、彼女は身を乗り出してきた。

「やはり、彼女たちを観察して分かったのでしょうか? トレーの食事はもうなくなっていたとか、飲み物は既に飲み切っていたからだとか……それとも立ち上がりそうな素振りをみせていただとか……」

「あ、あの!? 一体急にどうしたんですか?」

すると一瞬クレアはハッとした表情を浮かべると、コホンと一つ咳払いをして顔を赤らめながらポツリポツリと語り始めた。

「実は……私は読書が好きなのですが、特に推理小説が大好きなのです」

「え? 推理小説?」

一体何を話すつもりなのだろう?

「特に今私が夢中になっている推理小説は、ある探偵が活躍するシリーズ物なのです。その探偵はとても観察眼に優れていて、人を見ただけでどのような人間か見事にピタリと推理してあててしまうのですよ」

「へ~なるほど…‥‥」

相槌を打ちながら、サンドイッチを口にする僕。仕事や勉強に忙しく、読書をする余裕もないけれど、そんな小説があるのか。

「そこで、先程のクリフ様を見て思ったのです。何しろ、席に近付いた瞬間女生徒達が立ち上がったではありませんか。あまりにもタイミングが良すぎです」

ギクッ! 
ま、まさか僕の特異能力に気付かれた……!?

「やはり、クリフ様も観察眼に優れているということですよね!?」

クレアは頬を赤らめ、何故かキラキラした目を僕に向けて来る。

「い、いえ…‥そ、そういう訳では無いですよ。たまたまあの女生徒達が帰る素振りを見せているのを見かけたからですよ」

僕には観察眼なんてない。期待されても困るからすかさず否定する。

「そうなのですか? でも偶然にしてはタイミング良すぎでしたけど……」

クレアはまだ納得できないのか、首を捻る。

「僕のことはいいですから。それよりもクレア様が聞きたいことはジュリオ様のことですよね?」

「え? ええ‥‥…そうですね。あのジュリオ様ってどんな方ですか?」

「どんな……」

困ったな……あまりにも漠然とした質問で答えに困る。けれど、あえて言うなら……

「ジュリオ様は(女性だけには)とても優しい方です。それになかなか優秀な方で、学校の試験はかなり良い点を取っています(僕の先読みの能力のお陰で)」

「まぁ、それは素晴らしいです。ジュリオ様とお見合いする日が楽しみです。他に何かジュリオ様のことを教えて貰えませんか? 例えば例えば趣味とか……好きな食べ物とか……」

「ええ、お安い御用です。まず、ジュリオ様の趣味は……」

こうして僕は昼休み一杯を使い切って、ジュリオの個人情報を暴露した――
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