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第7話 私だけが知っている
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「この辺りで話をしましょうか?」
「はい、そうですね」
私はセリーヌを連れて、先程迄いた講堂から場所を移して校内にある噴水広場にやってきた。
そして私たちの姿が確認できる範囲には攻略対象をはじめ、多くの見物客の学生たちがじっと見守っている。
「セリーヌさん。ここなら噴水の音で私たちの話が聞かれることは無いでしょう?」
「そうね。それで?私にどんな話があるって言うの?言っておくけどね、私を脅迫しようとしても無駄よ。もう王子は私にぞっこんなんだから。貴女はさっさと追放されちゃってよ」
セリーヌは2人きりになると、ガラリと態度を変えて来た。成程、やはりこれが彼女の本性か。
だけど、私は追放される気は更々無かった。爵位も何もかも奪われ、『ルーラル』に追放なんてまっぴらごめんだった。何故ならあの地域は真冬になると極寒の地に変わる。
そして私は寒さにめっぽう弱いからだ。
これから私はこのゲームのシナリオライターという特権を使って、今の立場を逆転させる。そう、『ルーラル』に行くのは私では無い。私の代わりにセリーヌに行って貰うのだ。
早速私はセリーヌに尋ねた。
「ねぇ、星野愛って知ってる?」
このゲームをトゥルーエンドまで辿り着けたということは、相当のマニアックに違いない。それなら私の名前を知ってる可能性がある。
「勿論知ってるわよ。だってこのゲームのシナリオライターでしょう?私、この人のシナリオの乙女ゲームシリーズの大ファンだもの」
やはりそうだ。運命の女神さまは私に微笑んでくれそうだ。
「そうなのね?実は私が、その星野愛よ」
「え?」
セリーヌは少しの間私をじっと見つめていたが……。
「何それ!そんな話、私が信じるとでも思っているの?断罪されたくないから苦し紛れの嘘をついているだけでしょう?!」
ビシイッとセリーヌは私を指さしてきた。
成程、やはりそう来たか。だけど、こんなのは想定範囲内。
「そうなの?ならこのゲームのシナリオライターである私だけしか知らない事実を教えてあげるわ。いい?アイザック王子は動物が大好きなの。特に好きな動物がウサギで、本当は寮では飼ってはいけないのに内緒でウサギを飼っているわよ」
実はこの情報はゲーム中でも描かれないし、完全に作者だけが知っている裏設定なのだ。
「え?そんな設定無いわよ。嘘つかないで頂戴。私がどれだけ、このゲームに精通していると思っているの?」
案の定、セリーヌは私の話を信じようとはしない。
「それならアイザック王子に直接尋ねてみればいいじゃない。丁度あそこにいるんだから」
私はビシッと遠くで様子を見つめているアイザック王子を指さした。
「……分かったわよ。聞いてくればいいんでしょう?」
「ええ、そうよ。ちなみに飼育しているウサギはメスよ。真っ白でとても毛並みが美しいの。名前はエリザベスと言って、王子の初恋の女性の名前と一緒よ」
「!」
その話を聞いたセリーヌが猛ダッシュでアイザック王子の元へ向かったのは言うまでも無かった――。
「はい、そうですね」
私はセリーヌを連れて、先程迄いた講堂から場所を移して校内にある噴水広場にやってきた。
そして私たちの姿が確認できる範囲には攻略対象をはじめ、多くの見物客の学生たちがじっと見守っている。
「セリーヌさん。ここなら噴水の音で私たちの話が聞かれることは無いでしょう?」
「そうね。それで?私にどんな話があるって言うの?言っておくけどね、私を脅迫しようとしても無駄よ。もう王子は私にぞっこんなんだから。貴女はさっさと追放されちゃってよ」
セリーヌは2人きりになると、ガラリと態度を変えて来た。成程、やはりこれが彼女の本性か。
だけど、私は追放される気は更々無かった。爵位も何もかも奪われ、『ルーラル』に追放なんてまっぴらごめんだった。何故ならあの地域は真冬になると極寒の地に変わる。
そして私は寒さにめっぽう弱いからだ。
これから私はこのゲームのシナリオライターという特権を使って、今の立場を逆転させる。そう、『ルーラル』に行くのは私では無い。私の代わりにセリーヌに行って貰うのだ。
早速私はセリーヌに尋ねた。
「ねぇ、星野愛って知ってる?」
このゲームをトゥルーエンドまで辿り着けたということは、相当のマニアックに違いない。それなら私の名前を知ってる可能性がある。
「勿論知ってるわよ。だってこのゲームのシナリオライターでしょう?私、この人のシナリオの乙女ゲームシリーズの大ファンだもの」
やはりそうだ。運命の女神さまは私に微笑んでくれそうだ。
「そうなのね?実は私が、その星野愛よ」
「え?」
セリーヌは少しの間私をじっと見つめていたが……。
「何それ!そんな話、私が信じるとでも思っているの?断罪されたくないから苦し紛れの嘘をついているだけでしょう?!」
ビシイッとセリーヌは私を指さしてきた。
成程、やはりそう来たか。だけど、こんなのは想定範囲内。
「そうなの?ならこのゲームのシナリオライターである私だけしか知らない事実を教えてあげるわ。いい?アイザック王子は動物が大好きなの。特に好きな動物がウサギで、本当は寮では飼ってはいけないのに内緒でウサギを飼っているわよ」
実はこの情報はゲーム中でも描かれないし、完全に作者だけが知っている裏設定なのだ。
「え?そんな設定無いわよ。嘘つかないで頂戴。私がどれだけ、このゲームに精通していると思っているの?」
案の定、セリーヌは私の話を信じようとはしない。
「それならアイザック王子に直接尋ねてみればいいじゃない。丁度あそこにいるんだから」
私はビシッと遠くで様子を見つめているアイザック王子を指さした。
「……分かったわよ。聞いてくればいいんでしょう?」
「ええ、そうよ。ちなみに飼育しているウサギはメスよ。真っ白でとても毛並みが美しいの。名前はエリザベスと言って、王子の初恋の女性の名前と一緒よ」
「!」
その話を聞いたセリーヌが猛ダッシュでアイザック王子の元へ向かったのは言うまでも無かった――。
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