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18-18 アリアドネのピンチ
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アリアドネは腕を引かれたまま、部屋の中に入れられ……ベッドの上に座らされた。
そして当然の如く、隣に座って来るマクシミリアン。その途端にアリアドネの脳裏に以前ダリウスに襲われかけた恐怖の記憶が蘇ってくる。
「あ、あの…‥い、一体何故……同じ部屋に……?」
問いかけるアリアドネの声が震えている。するとマクシミリアンはニコリと笑みを浮かべた。
「そんなことは分かりきっているんじゃないか?君が勝手に逃げ出さないように監視する必要があるからだよ?」
「そ、そんな……逃げようなんて少しも考えておりません!私は……マクシミリアン様と王都に行くつもりですから……」
最後の方の台詞は今にも消え入りそうだった。
「ふ~ん。つまり、城に戻ったら私と結婚すると言う事で間違いないとうことかな?」
マクシミリアンはアリアドネの肩を抱いた。
「そ、そう……です……」
視線をそらせながらアリアドネは返事をする。
「それでは私を愛してくれるということでいいのかな?」
マクシミリアンは意地の悪い問いかけをしてくる。
「そ、それは……い、いずれは……」
エルウィンに思いを寄せるアリアドネはどうしても、マクシミリアンの問いかけにはっきり答えることが出来なかった。
「成程、今は無理でもいずれは愛してくれるのだね?なら……証拠を見せて貰おうかな?」
「しょ、証拠……ですか?」
「そう。証拠だよ」
マクシミリアンは笑みを浮かべる。アリアドネにはその笑みが怖かった。
「い、一体どのような……」
震えながらアリアドネは尋ねた。
「何、簡単なことだよ。アリアドネの方から私にキスしてくれればいい」
「!」
(そ、そんな――!一体どうすればいいの……?)
どうすれば良いのか、アリアドネには分からなかった。想い人はエルウィンなのに、好きでもない相手とキスなど出来るはずは無かった。
けれど、相手は王太子。何より、死にかけていたエルウィンの命と引き換えにマクシミリアンの物になると誓ったのだ。
しかし……。
「で、出来ません……」
アリアドネは声を振り絞るように断った。
「出来ない?何故?」
「ま、まだ……け、結婚どころか婚約もしておりません……から……」
「成程、では婚約をすれば良い…‥と言うことだね?」
「そう…‥です……」
苦し紛れに頷くアリアドネ。
「ふ~ん……それを信じろと言うのかな?」
その言葉にアリアドネの肩がビクリと跳ねる。
「アリアドネの想い人は辺境伯だろう?だから私にキス出来ない……違うかな?」
「そ、それは……」
「何だか妬けるな……だが、非常に面白くない。まぁいい。君から私にキスできないならこちらからするだけだ」
「え…‥?!」
マクシミリアンは戸惑うアリアドネの顎をつまむと自分の方に向けさせ、顔を近付けて来る。
(エルウィン様――!)
アリアドネがエルウィンの名を心の中で叫んだ時――。
扉の外で騒ぎ声が起こった。
『な、何だ!貴様っ!この部屋は……!』
『煩い!どけっ!!』
『ぐあっ!』
男の悲鳴と、何かが倒れる音が響き渡る。
次の瞬間……。
バンッ!!
扉が乱暴に開かれ、前のめりになって苦し気に肩で息するエルウィンが姿を現わした――。
そして当然の如く、隣に座って来るマクシミリアン。その途端にアリアドネの脳裏に以前ダリウスに襲われかけた恐怖の記憶が蘇ってくる。
「あ、あの…‥い、一体何故……同じ部屋に……?」
問いかけるアリアドネの声が震えている。するとマクシミリアンはニコリと笑みを浮かべた。
「そんなことは分かりきっているんじゃないか?君が勝手に逃げ出さないように監視する必要があるからだよ?」
「そ、そんな……逃げようなんて少しも考えておりません!私は……マクシミリアン様と王都に行くつもりですから……」
最後の方の台詞は今にも消え入りそうだった。
「ふ~ん。つまり、城に戻ったら私と結婚すると言う事で間違いないとうことかな?」
マクシミリアンはアリアドネの肩を抱いた。
「そ、そう……です……」
視線をそらせながらアリアドネは返事をする。
「それでは私を愛してくれるということでいいのかな?」
マクシミリアンは意地の悪い問いかけをしてくる。
「そ、それは……い、いずれは……」
エルウィンに思いを寄せるアリアドネはどうしても、マクシミリアンの問いかけにはっきり答えることが出来なかった。
「成程、今は無理でもいずれは愛してくれるのだね?なら……証拠を見せて貰おうかな?」
「しょ、証拠……ですか?」
「そう。証拠だよ」
マクシミリアンは笑みを浮かべる。アリアドネにはその笑みが怖かった。
「い、一体どのような……」
震えながらアリアドネは尋ねた。
「何、簡単なことだよ。アリアドネの方から私にキスしてくれればいい」
「!」
(そ、そんな――!一体どうすればいいの……?)
どうすれば良いのか、アリアドネには分からなかった。想い人はエルウィンなのに、好きでもない相手とキスなど出来るはずは無かった。
けれど、相手は王太子。何より、死にかけていたエルウィンの命と引き換えにマクシミリアンの物になると誓ったのだ。
しかし……。
「で、出来ません……」
アリアドネは声を振り絞るように断った。
「出来ない?何故?」
「ま、まだ……け、結婚どころか婚約もしておりません……から……」
「成程、では婚約をすれば良い…‥と言うことだね?」
「そう…‥です……」
苦し紛れに頷くアリアドネ。
「ふ~ん……それを信じろと言うのかな?」
その言葉にアリアドネの肩がビクリと跳ねる。
「アリアドネの想い人は辺境伯だろう?だから私にキス出来ない……違うかな?」
「そ、それは……」
「何だか妬けるな……だが、非常に面白くない。まぁいい。君から私にキスできないならこちらからするだけだ」
「え…‥?!」
マクシミリアンは戸惑うアリアドネの顎をつまむと自分の方に向けさせ、顔を近付けて来る。
(エルウィン様――!)
アリアドネがエルウィンの名を心の中で叫んだ時――。
扉の外で騒ぎ声が起こった。
『な、何だ!貴様っ!この部屋は……!』
『煩い!どけっ!!』
『ぐあっ!』
男の悲鳴と、何かが倒れる音が響き渡る。
次の瞬間……。
バンッ!!
扉が乱暴に開かれ、前のめりになって苦し気に肩で息するエルウィンが姿を現わした――。
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