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18-11 手渡された物
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辺りは太陽が落ち、すっかり夜になっていた。そして大勢の人々が困惑気味に馬車を見つめている。
「一体何を話しているんだ‥…」
スティーブは腕組みし、苛々しながら遠くにある馬車を眺めていた。
マクシミリアンは誰にも馬車に近付かないように命じている。その為スティーブ達は勿論のこと、近衛兵達も近付くことが出来ずにその場に待機しているしかなかった。
「俺には何だか嫌な予感がするんだ」
不意に近くにいたマティアスがスティーブに話しかけて来た。
「何だって?嫌な予感?一体それは……」
スティーブがそこまで話した時――。
キィ~……
馬車の扉がゆっく開かれ、マクシミリアンが馬車から降りると、続いてアリアドネが降りて来た。
そこへすぐに駆け寄る近衛兵達。慌ててスティーブも駆け寄った。
「殿下!お話は終わったのですか?!」
駆け寄って来たスティーブは真っ先に声を掛けた。
「ああ、話はついたよ。これを辺境伯に与えてくれるかい?」
マクシミリアンはコートのポケットから小瓶を取り出した。
「あ!も、もしやそれは……!」
小瓶を受け取ったスティーブは目を見開く。
「そうだよ、これが『生命の雫』だ。万一のことを考えて私たちは常に持ち歩いているからね」
にっこり笑みを浮かべるマクシミリアン。
「ではこれでエルウィン様は助かるのですね?!」
「ああ、勿論だよ」
「本当にありがとうございます!良かったな!アリアドネ!」
スティーブは満面の笑みを浮かべてアリアドネに声を掛ける。
「え?は、はい。そうですね……」
躊躇いがちに返事をするアリアドネは何処か暗い。
「それではアリアドネ、すぐにエルウィン様の所へ行こう」
するとマクシミリアンが止めに入った。
「悪いが、まだ彼女と話があるのでね。君たちアイゼンシュタットの騎士達は全員宿屋に行っててくれるかな?」
「え……?」
その言葉にスティーブは勿論、騎士達は全員騒めく。すると強面の近衛兵が怒鳴りつけて来た。
「何だ!お前達!殿下の言葉に逆らうのか?!」
その言葉にムッとしたスティーブは反論した。
「いえ、逆らうなど……」
「スティーブ様!」
するとアリアドネが口を挟んできた。
「アリアドネ……」
「私なら大丈夫です。すぐにエルウィン様に『生命の雫』を傷口にかけて下さい!」
「わ、分かった……。殿下、ありがとうございます」
再度、スティーブはマクシミリアンに礼を述べると、騎士達全員に声を掛けた。
「エルウィン様の元へ行くぞ!」
『はい!!』
そしてスティーブを先頭にアイゼンシュタットの騎士達は急ぎ足で宿屋へ向かって行った。
そんなスティーブ達の後姿を見送りながらアリアドネは尋ねた。
「……王太子殿下、これで……本当にエルウィン様の命は助かるのですよね……?」
「ああ、勿論。あの薬の効果は保証するよ。それより……先程も言っただろう?王太子殿下と呼ぶのではなく、マクシミリアンと呼ぶようにと」
マクシミリアンがアリアドネの肩を抱き寄せる。
「は、はい……マクシミリアン様……」
震えながら、コクリと頷くアリアドネ。
「うん。それでいい。……好きだよ、アリアドネ」
そしてマクシミリアンはアリアドネの額にキスをし……笑みを浮かべた――。
「一体何を話しているんだ‥…」
スティーブは腕組みし、苛々しながら遠くにある馬車を眺めていた。
マクシミリアンは誰にも馬車に近付かないように命じている。その為スティーブ達は勿論のこと、近衛兵達も近付くことが出来ずにその場に待機しているしかなかった。
「俺には何だか嫌な予感がするんだ」
不意に近くにいたマティアスがスティーブに話しかけて来た。
「何だって?嫌な予感?一体それは……」
スティーブがそこまで話した時――。
キィ~……
馬車の扉がゆっく開かれ、マクシミリアンが馬車から降りると、続いてアリアドネが降りて来た。
そこへすぐに駆け寄る近衛兵達。慌ててスティーブも駆け寄った。
「殿下!お話は終わったのですか?!」
駆け寄って来たスティーブは真っ先に声を掛けた。
「ああ、話はついたよ。これを辺境伯に与えてくれるかい?」
マクシミリアンはコートのポケットから小瓶を取り出した。
「あ!も、もしやそれは……!」
小瓶を受け取ったスティーブは目を見開く。
「そうだよ、これが『生命の雫』だ。万一のことを考えて私たちは常に持ち歩いているからね」
にっこり笑みを浮かべるマクシミリアン。
「ではこれでエルウィン様は助かるのですね?!」
「ああ、勿論だよ」
「本当にありがとうございます!良かったな!アリアドネ!」
スティーブは満面の笑みを浮かべてアリアドネに声を掛ける。
「え?は、はい。そうですね……」
躊躇いがちに返事をするアリアドネは何処か暗い。
「それではアリアドネ、すぐにエルウィン様の所へ行こう」
するとマクシミリアンが止めに入った。
「悪いが、まだ彼女と話があるのでね。君たちアイゼンシュタットの騎士達は全員宿屋に行っててくれるかな?」
「え……?」
その言葉にスティーブは勿論、騎士達は全員騒めく。すると強面の近衛兵が怒鳴りつけて来た。
「何だ!お前達!殿下の言葉に逆らうのか?!」
その言葉にムッとしたスティーブは反論した。
「いえ、逆らうなど……」
「スティーブ様!」
するとアリアドネが口を挟んできた。
「アリアドネ……」
「私なら大丈夫です。すぐにエルウィン様に『生命の雫』を傷口にかけて下さい!」
「わ、分かった……。殿下、ありがとうございます」
再度、スティーブはマクシミリアンに礼を述べると、騎士達全員に声を掛けた。
「エルウィン様の元へ行くぞ!」
『はい!!』
そしてスティーブを先頭にアイゼンシュタットの騎士達は急ぎ足で宿屋へ向かって行った。
そんなスティーブ達の後姿を見送りながらアリアドネは尋ねた。
「……王太子殿下、これで……本当にエルウィン様の命は助かるのですよね……?」
「ああ、勿論。あの薬の効果は保証するよ。それより……先程も言っただろう?王太子殿下と呼ぶのではなく、マクシミリアンと呼ぶようにと」
マクシミリアンがアリアドネの肩を抱き寄せる。
「は、はい……マクシミリアン様……」
震えながら、コクリと頷くアリアドネ。
「うん。それでいい。……好きだよ、アリアドネ」
そしてマクシミリアンはアリアドネの額にキスをし……笑みを浮かべた――。
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