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8-16 宴後の会話
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22時―
コンコン
オズワルドの部屋の扉がノックされた。
「ロイか?」
机の上に置かれたオイルランプの灯りの下で剣の手入れをしていたオズワルドが扉に向って声を掛けた。
『…そうです』
「入れ」
オズワルドの言葉とともに扉が開かれ、ロイが現れた。
「話とは何でしょうか?」
「ああ…。まずは扉をしめてその椅子に座れ」
オズワルドが顎で示した場所には背もたれ付きの猫脚の椅子が置かれていた。その椅子は丁度オズワルドと向き合う形で置かれている。
「…」
ロイは冷めた目で椅子を見ると、無言で座った。
彼が椅子に座るのを見届けると早速オズワルドは語りかけてきた。
「…今宵の宴の後、メイド長から報告があった。…最近メイドになったばかりの女がトラブルを起こしたそうだ。その女は泣きながらメイド長に訴えたそうだ。今夜は恐ろしい目に遭ったから、仕事を休ませて欲しいとな。1人の騎士に危うく剣を向けられそうになったと訴えてきたそうなのだが…」
しかし、ロイは無言で話を聞いている。
「そのメイドの訴えでは自分は親切心から別のメイドの仕事を交代してあげようとしただけだと言っていたらしい。そこへ騎士が突然現れて、一方的に自分が悪者に仕立てられたと説明しているらしいが…」
「その騎士とは…ロイ、お前のことではないのか?」
「…だとしたら何だと言うのです?」
感情のこもらぬ声でロイは答える。
「そうか、やはりな…。何故そのような真似をした?いや、それだけではない。つい先日には別の揉め事を起こしているな?お前は2人の兵士を切りつけて怪我を負わせている。1人の兵士はかなりの重症で越冬期間中は安静にするように言われているらしいが…3人に話ではあるメイドに手を出そうとしたところ、お前に怪我を負わされたと話している」
「そうですか」
無表情のまま返事をするロイ。
「今宵の宴の最中、お前は一時席を外していたな。その後、飲み物を運んできたメイドと一緒に戻ってきたが…何故あの時お前は席を外した?あのメイドが心配になったからでは無いのか?アイゼンシュタット城はなにしろ迷路の様に入り組んでいるからな」
「…」
ロイが返事をしないのでオズワルドはそのまま話を続ける。
「そして様子を見に行ったところ、あのメイドが困ったことになっていた。だからお前が出てきたのだろう?…珍しいこともあるものだな。人と関わることが大嫌いなお前が、あのメイドに対しては違うのだから…」
それでもロイは無言のままだった。
「そんなに…あの女は似ているか?だから気になるのか?」
その言葉に初めてロイの肩がピクリと動いた。
「まぁ、この私もあのメイドを初めて見た時にあまりにも似ていて驚いたからな。お前は尚更そう思っただろう。だからこそお前をあの3人の専属騎士にしたのだから。ロイ、お前の役目はアリアドネの監視だ。あの女はエルウィンのお気に入りだからな…。常に目を光らせておくのだ。分かったな?」
「…はい、分かりました」
「よし、話はそれだけだ。下がって良いぞ」
「はい」
ロイは立ち上がると、頭を下げ…そのまま踵を返すと部屋を出て行った。
パタン…
扉が閉じられるとオズワルドは再び、剣の手入れを始めた。
その顔には不敵な笑みが浮かんでいた―。
コンコン
オズワルドの部屋の扉がノックされた。
「ロイか?」
机の上に置かれたオイルランプの灯りの下で剣の手入れをしていたオズワルドが扉に向って声を掛けた。
『…そうです』
「入れ」
オズワルドの言葉とともに扉が開かれ、ロイが現れた。
「話とは何でしょうか?」
「ああ…。まずは扉をしめてその椅子に座れ」
オズワルドが顎で示した場所には背もたれ付きの猫脚の椅子が置かれていた。その椅子は丁度オズワルドと向き合う形で置かれている。
「…」
ロイは冷めた目で椅子を見ると、無言で座った。
彼が椅子に座るのを見届けると早速オズワルドは語りかけてきた。
「…今宵の宴の後、メイド長から報告があった。…最近メイドになったばかりの女がトラブルを起こしたそうだ。その女は泣きながらメイド長に訴えたそうだ。今夜は恐ろしい目に遭ったから、仕事を休ませて欲しいとな。1人の騎士に危うく剣を向けられそうになったと訴えてきたそうなのだが…」
しかし、ロイは無言で話を聞いている。
「そのメイドの訴えでは自分は親切心から別のメイドの仕事を交代してあげようとしただけだと言っていたらしい。そこへ騎士が突然現れて、一方的に自分が悪者に仕立てられたと説明しているらしいが…」
「その騎士とは…ロイ、お前のことではないのか?」
「…だとしたら何だと言うのです?」
感情のこもらぬ声でロイは答える。
「そうか、やはりな…。何故そのような真似をした?いや、それだけではない。つい先日には別の揉め事を起こしているな?お前は2人の兵士を切りつけて怪我を負わせている。1人の兵士はかなりの重症で越冬期間中は安静にするように言われているらしいが…3人に話ではあるメイドに手を出そうとしたところ、お前に怪我を負わされたと話している」
「そうですか」
無表情のまま返事をするロイ。
「今宵の宴の最中、お前は一時席を外していたな。その後、飲み物を運んできたメイドと一緒に戻ってきたが…何故あの時お前は席を外した?あのメイドが心配になったからでは無いのか?アイゼンシュタット城はなにしろ迷路の様に入り組んでいるからな」
「…」
ロイが返事をしないのでオズワルドはそのまま話を続ける。
「そして様子を見に行ったところ、あのメイドが困ったことになっていた。だからお前が出てきたのだろう?…珍しいこともあるものだな。人と関わることが大嫌いなお前が、あのメイドに対しては違うのだから…」
それでもロイは無言のままだった。
「そんなに…あの女は似ているか?だから気になるのか?」
その言葉に初めてロイの肩がピクリと動いた。
「まぁ、この私もあのメイドを初めて見た時にあまりにも似ていて驚いたからな。お前は尚更そう思っただろう。だからこそお前をあの3人の専属騎士にしたのだから。ロイ、お前の役目はアリアドネの監視だ。あの女はエルウィンのお気に入りだからな…。常に目を光らせておくのだ。分かったな?」
「…はい、分かりました」
「よし、話はそれだけだ。下がって良いぞ」
「はい」
ロイは立ち上がると、頭を下げ…そのまま踵を返すと部屋を出て行った。
パタン…
扉が閉じられるとオズワルドは再び、剣の手入れを始めた。
その顔には不敵な笑みが浮かんでいた―。
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