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第2章 107 罠にはまった椎名
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翌日――
椎名は案の定、昨夜のうちに会社を解雇されていた。
その事実は秘密裏に彩花の勤務先に仕掛けた盗聴器によって知ることが出来た。
21回もタイムトラベルを繰り替えてしてきた俺には椎名の女癖の悪さは把握出来ていた。
あいつは彩花以外にも複数の女性に手を出していたのだ。
しかも相手は会社の取引先の女性たちで、全員既婚者で子供もいた。彼女たちは椎名に溺れ…家庭をほぼ崩壊させてしまっていた。
俺はその情報を勤務先の会社に匿名で通報したのだ。
椎名は取引先の従業員と不倫関係にある――と。
そのことに驚いた上司はすぐ事実確認を取る為に女性従業員を雇っている会社に連絡をし…事実確認を取り、公に曝された。
結果、奴はクビになることになったのだ。
「ふん!馬鹿な男だ。彩花に手出しなんかするからだ。だが……椎名、お前はもう終わりだ。二度と彩花に近づかせるものか」
これでいい。
不安要素が1つ減った。
椎名はもう会社に来ることは無いだろう。
奴の家庭が崩壊しようが、どうなろうが……そんなことは知ったことではない。
いや、むしろ椎名の妻は奴から慰謝料をふんだくって離婚するべきだと思う。
何しろ妻が妊娠中に浮気をするなど、男として最低だ。
こういう男は一生女癖の悪さが治ることは無いだろう。
それだけじゃない。
椎名は内にとんでもない狂気を秘めた危険な男だ。
何しろあいつはとんでもないことをしてくれたのだから。
彩花を殺害するという、極悪非道な罪を――。
****
「邪魔な椎名はもういないしな……。後は彩花を親父の狂気の手から守ってやらなければ……。それにしても…」
窓の外から道路を挟んで見える彩花が住むアパートに視線を移した。
彩花……。
何故子供時代の俺にかまったりしたんだ?
俺に関わらなければ…死の運命を回避できたかもしれないのに…。
なのに、今回も彩花は俺に関わってきた。
しかも引っ越してきた初日に、殴られてひどい怪我を負った俺を病院に連れて行くという徹底ぶりで……。
「馬鹿だよ…。彩花は……赤の他人の子供なんて、見捨てれば良かったのに……」
頭を抱えてため息を付いた。
だけど、そんな彩花だから……俺は救われた。
だから……彼女を愛してしまったんだ――。
「彩花、今度こそ絶対に死なせない。俺の命を懸けてでも絶対に……」
彩花と関わってしまった以上、俺は次の手を打つしか無い。
幸い、万一の為に用意してきたものがある。
時刻は午後5時過ぎ。
彩花の退勤時間が近くなってきた。
「よし……そろそろ出掛けるか」
立ち上がり、フックに掛けておいたデニムのジャケットを羽織るとボディバックを身に着けた。
今夜、親父は夜勤で帰宅することはない。
子供時代の俺は無事に過ごせるはずだ。
その事実を彩花に伝えよう。
彩花……待ってろよ――。
椎名は案の定、昨夜のうちに会社を解雇されていた。
その事実は秘密裏に彩花の勤務先に仕掛けた盗聴器によって知ることが出来た。
21回もタイムトラベルを繰り替えてしてきた俺には椎名の女癖の悪さは把握出来ていた。
あいつは彩花以外にも複数の女性に手を出していたのだ。
しかも相手は会社の取引先の女性たちで、全員既婚者で子供もいた。彼女たちは椎名に溺れ…家庭をほぼ崩壊させてしまっていた。
俺はその情報を勤務先の会社に匿名で通報したのだ。
椎名は取引先の従業員と不倫関係にある――と。
そのことに驚いた上司はすぐ事実確認を取る為に女性従業員を雇っている会社に連絡をし…事実確認を取り、公に曝された。
結果、奴はクビになることになったのだ。
「ふん!馬鹿な男だ。彩花に手出しなんかするからだ。だが……椎名、お前はもう終わりだ。二度と彩花に近づかせるものか」
これでいい。
不安要素が1つ減った。
椎名はもう会社に来ることは無いだろう。
奴の家庭が崩壊しようが、どうなろうが……そんなことは知ったことではない。
いや、むしろ椎名の妻は奴から慰謝料をふんだくって離婚するべきだと思う。
何しろ妻が妊娠中に浮気をするなど、男として最低だ。
こういう男は一生女癖の悪さが治ることは無いだろう。
それだけじゃない。
椎名は内にとんでもない狂気を秘めた危険な男だ。
何しろあいつはとんでもないことをしてくれたのだから。
彩花を殺害するという、極悪非道な罪を――。
****
「邪魔な椎名はもういないしな……。後は彩花を親父の狂気の手から守ってやらなければ……。それにしても…」
窓の外から道路を挟んで見える彩花が住むアパートに視線を移した。
彩花……。
何故子供時代の俺にかまったりしたんだ?
俺に関わらなければ…死の運命を回避できたかもしれないのに…。
なのに、今回も彩花は俺に関わってきた。
しかも引っ越してきた初日に、殴られてひどい怪我を負った俺を病院に連れて行くという徹底ぶりで……。
「馬鹿だよ…。彩花は……赤の他人の子供なんて、見捨てれば良かったのに……」
頭を抱えてため息を付いた。
だけど、そんな彩花だから……俺は救われた。
だから……彼女を愛してしまったんだ――。
「彩花、今度こそ絶対に死なせない。俺の命を懸けてでも絶対に……」
彩花と関わってしまった以上、俺は次の手を打つしか無い。
幸い、万一の為に用意してきたものがある。
時刻は午後5時過ぎ。
彩花の退勤時間が近くなってきた。
「よし……そろそろ出掛けるか」
立ち上がり、フックに掛けておいたデニムのジャケットを羽織るとボディバックを身に着けた。
今夜、親父は夜勤で帰宅することはない。
子供時代の俺は無事に過ごせるはずだ。
その事実を彩花に伝えよう。
彩花……待ってろよ――。
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