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10-18 響き渡る悲鳴

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 店内には10名前後の女性たちで賑わっていた。

「お客さんて…女の子たちばかりだね」

ルペルト様が小声で囁いてきた。

「はい、そうですね。…レナート様はいらっしゃいませんね」

「うん、それでフランシスカという子はいる?」

「そうですね…」

店内を見渡す限り、フランシスカ様の姿は見あたらない。

「すみません…いませんね…」

「別に謝る必要は無いよ。でもいないなら仕方ないね」

「はい…それでは出ましょうか?」

「うん、そうだね」

こうして私とルペルト様は何の収穫も無しに店を出ることになった。


カランカラン


ドアベルを鳴らしながら外に出た所で、ルペルト様が尋ねてきた。

「ロザリー、これからどうしようか?」

「そうですね…」

頷きながら途方に暮れていた。
私は貧しい生活をしているので、あまり色々なお店に行ったことが無い。せいぜいあるのは古着屋、パン屋、そしてアルバイト先のお花屋さんに今の雑貨屋さん…それにユーグ様に連れてこられたレストラン。それが全てだった。

「ごめん、君だって困っているのに…後はイアソン王子に任せるしかないかな…」

その時…。

「キャーッ!」

路地裏で悲鳴が聞こえた。

「え?!」

何?今の悲鳴は?!

「ロザリー。今…悲鳴が聞こえたよね?」

ルペルト様が私を見た。

「はい、聞きました」

私達のいる場所から悲鳴の聞こえた路地裏はすぐ側だ。
雑踏に紛れて悲鳴が聞こえたので、私達意外には他の誰も悲鳴に気づいていないようだった。

「ロザリーはここにいて。僕が見てくるよ」

「いいえ!私も行きますっ!」

「え?でも…」

ルペルト様が怪訝そうな顔を向けてくる。

「お願いします!一緒に行きますっ!」

何故なら…あの悲鳴、フランシスカ様の声に似ている気がしたからだ。

「分かった、それじゃ一緒に行こう!」

「はい!」

そして私達は悲鳴が聞こえた路地裏へ走った。


 路地裏を抜けると、そこは細い川が流れる歩道に続いていた。
その場所は店の裏通りらしく、歩く人の姿はほとんどいない。

そしてそこには…。

「お、お願いっ!誰かーっ!!」

路面にうずくまり、悲鳴を上げている女性の姿があった。
そして彼女の足元には男性が倒れている。

あっ!
あの女性は…っ!!

私はその女性を見て息を飲んだ。


「大変だっ!誰か倒れているっ!」

ルペルト様は2人の元へ向って駆け出した。その後ろを私も追いかける。

そんな…っ!

あの人は…フランシスカ様だっ!

それでは倒れている人は一体…?!

何か恐ろしい予感がする。

不安な気持ちを抱えながら、私は2人に駆け寄っていくルペルト様の後を必死で追いかけた―。
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