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10-5 修羅場目前?
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「あ…イアソン王子…フランシスカ様…お、お久しぶりです…」
「久しぶりね、ロザリー」
「…久しぶり」
フランシスカ様とイアソン王子が交互に挨拶を返してくれた。
イアソン王子には私がずっと『ヘンデル』で冬季休暇を過ごしたことは内密にして貰うように頼んである。
約束を守ってくれているようで、心の中で安堵した。
「レナート、ロザリーが痛がっているわ。離してあげなさいよ」
フランシスカ様が眉をしかめながらイアソン王子を睨みつけた。
「あ…ご、ごめん。悪かったね…つい」
レナート様はバツが悪そうに謝ってきた。
「何だ?レナート。ひょっとして君はロザリーを口説いていたのか?」
イアソン王子は口元に意地悪そうな笑みを浮かべ、とんでもない事を言ってきた。
「まさか!そんなことあるわけ無いじゃありませんかっ!」
レナート様は激しく拒絶し…、フランシスカ様から冷たい視線で見られていることに気付いたのか私の方を振り向いた。
「ご、ごめん…ロザリー。僕は…別にそんなつもりで…」
申し訳無さ気な顔で謝罪してきた。
「いいえ、全く気にしておりませんので大丈夫です」
以前の私ならその言葉に傷ついていたかもしれない。けれど、今はレナート様に興味を持たれていないとう事実のほうが私にとっては安堵出来た。
「そ、そうなのかい?でも、失礼な事を言って…ごめん」
レナート様は戸惑った様子で私を見た。
「良かったじゃないか、レナート。ロザリーは君になら何を言われても気にならないなんてさ」
イアソン王子は再び余計な事を口にする。…と言うか、意図的にレナート様に意地悪な事を言っているような気がする。
「え、ええ…そうですね…」
レナート様は引きつった笑いを浮かべた。
「それで?レナート。貴方はまた何かロザリーに意地悪なことをしていたのではないの?」
レナート様を睨みつけるフランシスカ様。
「い、いや。違うよ。そんなんじゃないんだ。大した話はしていないよ。冬期休暇は何をしていたのか話していただけだよ」
「嘘をつかないで頂戴、それなら何故ロザリーの腕を強く掴む必要があるのかしら?」
「そ、それは…」
段々3人の間に流れる空気が悪くなってきた。このままでは良くない気がする。そこで私は話を変えることにした。
「あの、皆さんはこちらで何をしていたのですか?」
「ええ、イアソン王子とデートをしていたの」
フランシスカ様はレナート様の前で堂々と言い切ってしまった。
「!」
その言葉にレナート様の肩がビクリと跳ねる。
…どうやら私はとんでもない修羅場に居合わせてしまったのかもしれない。
私は公園に来てしまったことを激しく後悔した―。
「久しぶりね、ロザリー」
「…久しぶり」
フランシスカ様とイアソン王子が交互に挨拶を返してくれた。
イアソン王子には私がずっと『ヘンデル』で冬季休暇を過ごしたことは内密にして貰うように頼んである。
約束を守ってくれているようで、心の中で安堵した。
「レナート、ロザリーが痛がっているわ。離してあげなさいよ」
フランシスカ様が眉をしかめながらイアソン王子を睨みつけた。
「あ…ご、ごめん。悪かったね…つい」
レナート様はバツが悪そうに謝ってきた。
「何だ?レナート。ひょっとして君はロザリーを口説いていたのか?」
イアソン王子は口元に意地悪そうな笑みを浮かべ、とんでもない事を言ってきた。
「まさか!そんなことあるわけ無いじゃありませんかっ!」
レナート様は激しく拒絶し…、フランシスカ様から冷たい視線で見られていることに気付いたのか私の方を振り向いた。
「ご、ごめん…ロザリー。僕は…別にそんなつもりで…」
申し訳無さ気な顔で謝罪してきた。
「いいえ、全く気にしておりませんので大丈夫です」
以前の私ならその言葉に傷ついていたかもしれない。けれど、今はレナート様に興味を持たれていないとう事実のほうが私にとっては安堵出来た。
「そ、そうなのかい?でも、失礼な事を言って…ごめん」
レナート様は戸惑った様子で私を見た。
「良かったじゃないか、レナート。ロザリーは君になら何を言われても気にならないなんてさ」
イアソン王子は再び余計な事を口にする。…と言うか、意図的にレナート様に意地悪な事を言っているような気がする。
「え、ええ…そうですね…」
レナート様は引きつった笑いを浮かべた。
「それで?レナート。貴方はまた何かロザリーに意地悪なことをしていたのではないの?」
レナート様を睨みつけるフランシスカ様。
「い、いや。違うよ。そんなんじゃないんだ。大した話はしていないよ。冬期休暇は何をしていたのか話していただけだよ」
「嘘をつかないで頂戴、それなら何故ロザリーの腕を強く掴む必要があるのかしら?」
「そ、それは…」
段々3人の間に流れる空気が悪くなってきた。このままでは良くない気がする。そこで私は話を変えることにした。
「あの、皆さんはこちらで何をしていたのですか?」
「ええ、イアソン王子とデートをしていたの」
フランシスカ様はレナート様の前で堂々と言い切ってしまった。
「!」
その言葉にレナート様の肩がビクリと跳ねる。
…どうやら私はとんでもない修羅場に居合わせてしまったのかもしれない。
私は公園に来てしまったことを激しく後悔した―。
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