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9-23 夏季休暇の誘い
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給仕のフットマンやメイドもなく、厳粛なテーブルマナーも必要ない食事会は私にとても合っていた。
私は食事をしながら、イアソン王子とルペルト様の様子をそっと伺った。
2人は親友同士のようで、イアソン王子は今迄見たこともないよう笑みを浮かべながら楽しげにルペルト様とお話をしていた。
ルペルト様も親しげにイアソン王子と話をしており、私はそんな2人をただ見ているだけで満足だった。
そうだ、会話は2人で楽しんでもらって…私はここの料理の味を堪能しよう…。
サンドイッチを口にしている時、不意にイアソン王子が声を掛けてきた。
「ロザリー、どうだい?城の料理は」
「はい、とても美味しいです」
「そうか、それは良かった。だったら、初めからホテルなんかに滞在しないでここで冬期休暇を過ごせばよかったのに」
冗談なのか、本気なのか良くわからないことをイアソン王子が言って来た。
「そ、それはいけません。イアソン王子にご迷惑をおかけするわけには参りませんから」
「別に初めから迷惑だとは言っていないじゃないか?」
「ですが私はイアソン王子の婚約者でも特別な相手でもありません。それなのに一緒に城で過ごせば、世間でどんな噂になるか分からないですから」
「…世間がどう言おうが放っておいても別にかまわないじゃないか」
何処かふてくされた様子のイアソン王子。
「イアソン王子…でも、ロザリーの言うことも尤もだと思いますよ?」
すると今まで私とイアソン王子の会話を黙って聞いていたルペルト様が話しかけてきた。
「そうか…?」
「ええ。ロザリーは王子の事を思って言ってくれているのですから」
「俺のことを…?そうなのか?」
イアソン王子が私に視線を移した。
「はい、そうです。イアソン王子には今はまだ特別な女性がいらっしゃらないのですよね?そんな方が私と一緒にいて、あらぬ疑いを掛けられれば…イアソン王子の婚約に支障をきたすのではないでしょうか?」
「…そうなっても俺は少しも構わないけどな。別に次に王位を次ぐのは俺の子供でなくても構わないわけだし」
言いながらイアソン王子は料理を口にしている。
…ひょっとすると、イアソン王子は…王位を継ぎたくはないのだろうか?
「だから、何も気にすることはないからな?というわけで…まだ先だが、夏季休暇も遊びに来ないか?ここ『ヘンデル』は夏が一番お勧めなんだ」
「そうですよね。確かに夏が一番素敵だと思います」
ルペルト様はニコニコしながら私を見た。
「毎年、ルペルトは夏季休暇はここに来ているんだ。どうだ?ロザリー」
「え…?」
ルペルト様が毎年遊びに来ている…?という事はまた会える可能性が…。
でも駄目だ。恐らく今年の夏季休暇は…ユーグ様の元へいかなくてはならないだろうから。
そこで私は首を振った。
「…申し訳ございません…。恐らく…無理だと思います…」
「そうか…全く…俺の誘いを断るのはロザリーくらいだ」
「本当に…すみません…」
私は頭を下げた。
「別に、頭を下げることはないだろう?」
「まぁまぁ…イアソン王子の気持ちも分かりますが、彼女には彼女なりの事情があるのでしょうから…あまり困らせるはおよしになったほうがいいですよ」
「まぁ、お前がそう言うのなら…この辺で話はやめよう」
そして、イアソン王子は少しだけむくれた様子で料理を口に運んだ―。
私は食事をしながら、イアソン王子とルペルト様の様子をそっと伺った。
2人は親友同士のようで、イアソン王子は今迄見たこともないよう笑みを浮かべながら楽しげにルペルト様とお話をしていた。
ルペルト様も親しげにイアソン王子と話をしており、私はそんな2人をただ見ているだけで満足だった。
そうだ、会話は2人で楽しんでもらって…私はここの料理の味を堪能しよう…。
サンドイッチを口にしている時、不意にイアソン王子が声を掛けてきた。
「ロザリー、どうだい?城の料理は」
「はい、とても美味しいです」
「そうか、それは良かった。だったら、初めからホテルなんかに滞在しないでここで冬期休暇を過ごせばよかったのに」
冗談なのか、本気なのか良くわからないことをイアソン王子が言って来た。
「そ、それはいけません。イアソン王子にご迷惑をおかけするわけには参りませんから」
「別に初めから迷惑だとは言っていないじゃないか?」
「ですが私はイアソン王子の婚約者でも特別な相手でもありません。それなのに一緒に城で過ごせば、世間でどんな噂になるか分からないですから」
「…世間がどう言おうが放っておいても別にかまわないじゃないか」
何処かふてくされた様子のイアソン王子。
「イアソン王子…でも、ロザリーの言うことも尤もだと思いますよ?」
すると今まで私とイアソン王子の会話を黙って聞いていたルペルト様が話しかけてきた。
「そうか…?」
「ええ。ロザリーは王子の事を思って言ってくれているのですから」
「俺のことを…?そうなのか?」
イアソン王子が私に視線を移した。
「はい、そうです。イアソン王子には今はまだ特別な女性がいらっしゃらないのですよね?そんな方が私と一緒にいて、あらぬ疑いを掛けられれば…イアソン王子の婚約に支障をきたすのではないでしょうか?」
「…そうなっても俺は少しも構わないけどな。別に次に王位を次ぐのは俺の子供でなくても構わないわけだし」
言いながらイアソン王子は料理を口にしている。
…ひょっとすると、イアソン王子は…王位を継ぎたくはないのだろうか?
「だから、何も気にすることはないからな?というわけで…まだ先だが、夏季休暇も遊びに来ないか?ここ『ヘンデル』は夏が一番お勧めなんだ」
「そうですよね。確かに夏が一番素敵だと思います」
ルペルト様はニコニコしながら私を見た。
「毎年、ルペルトは夏季休暇はここに来ているんだ。どうだ?ロザリー」
「え…?」
ルペルト様が毎年遊びに来ている…?という事はまた会える可能性が…。
でも駄目だ。恐らく今年の夏季休暇は…ユーグ様の元へいかなくてはならないだろうから。
そこで私は首を振った。
「…申し訳ございません…。恐らく…無理だと思います…」
「そうか…全く…俺の誘いを断るのはロザリーくらいだ」
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「別に、頭を下げることはないだろう?」
「まぁまぁ…イアソン王子の気持ちも分かりますが、彼女には彼女なりの事情があるのでしょうから…あまり困らせるはおよしになったほうがいいですよ」
「まぁ、お前がそう言うのなら…この辺で話はやめよう」
そして、イアソン王子は少しだけむくれた様子で料理を口に運んだ―。
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