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9-12 パーティーの終わり
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22時―
クリスマスパーティーが終わり、来賓客たちは列をなすように帰って行った。
他のメイドさん達と後片付けをしていると、メイド長のエマさんがやってきた。
「ロザリー、こちらへ来て下さい」
「はい」
エマさんの元へ行くと、囁くように私に言った。
「イアソン王子がお待ちです」
「え?イアソン王子が」
「はい、ついてきて下さい」
「分かりました」
そして私はエマさんに連れられて大広間を後にした。
連れてこられたのはエントランスだった。来賓客の殆どは既に帰った後で、受付の片付けも終了していた。
「イアソン王子は馬車の前でお待ちです」
エマさんが城の大扉を開けると、目の前には王宮の馬車が待機しており、イアソン王子の姿もあった。
「あ…イアソン王子…」
「メイドの仕事、お疲れ様。どうだったか?パーティーの様子は」
私は少し考えてから答えた。
「そうですね…。とてもきらびやかで…素晴らしかったです。あんなに色とりどりの美しいドレスを目にしたのも初めてですし…。来てよかったです。これでユーグ様にパーティーの様子を尋ねられても…答えらそうです。ありがとうございました」
「そうか、それは良かったな」
フッと笑うイアソン王子の顔には何となく疲労が滲んで見えた。
「イアソン王子?ひょっとしてお疲れなのですか?」
「え…?そう見えるか?」
「ええ。何となくですが…」
「そうか…」
イアソン王子はため息をついた。
「元々…俺はこういうパーティーは好きじゃないんだ。…大勢の人々の前に姿を現し、望まない会話を強いられ…踊りたくもない令嬢達と踊らされ…本当に苦痛の時間だ」
「そうだったのですか…?」
その話は私にとって意外だった。てっきり、王族であるイアソン王子は華やかなことが大好きだと思っていたのに…。
「今日は香水臭い令嬢達とどれくらい踊らされたか…」
その顔は心底嫌そうに見えた。そこで私は言った。
「私も…実際メイドとしてではなく、招待客としてパーティーに出席していれば同じ様な気持ちになったかもしれませんね」
「え…?」
「イアソン王子は本当は華やかな催しに出席するのが苦手なのではないですか?」
「…それはあるかもしれないな」
「私も同じですから」
「!」
イアソン王子は目を見開いて私を見た。
「私も、大勢の人たちの前で注目されるのは苦手です。だから本日はメイドの仕事に回して頂いてありがとうございます」
「ロザリー…」
「お見送り、ありがとうございます」
頭を下げると私は1人で馬車に乗り込んだ。疲れているイアソン王子の手を煩わしたくは無かったからだ。
「今夜はゆっくり休めよ」
イアソン王子が馬車の扉を閉めながら声を掛けてきた。
「はい、失礼致します」
「ああ、それじゃあな」
そして馬車はガラガラと音を立てて走り始めた。馬車の窓から外を覗くと、イアソン王子が手を振る姿が見えた。
そこで私もそっと手を振った―。
クリスマスパーティーが終わり、来賓客たちは列をなすように帰って行った。
他のメイドさん達と後片付けをしていると、メイド長のエマさんがやってきた。
「ロザリー、こちらへ来て下さい」
「はい」
エマさんの元へ行くと、囁くように私に言った。
「イアソン王子がお待ちです」
「え?イアソン王子が」
「はい、ついてきて下さい」
「分かりました」
そして私はエマさんに連れられて大広間を後にした。
連れてこられたのはエントランスだった。来賓客の殆どは既に帰った後で、受付の片付けも終了していた。
「イアソン王子は馬車の前でお待ちです」
エマさんが城の大扉を開けると、目の前には王宮の馬車が待機しており、イアソン王子の姿もあった。
「あ…イアソン王子…」
「メイドの仕事、お疲れ様。どうだったか?パーティーの様子は」
私は少し考えてから答えた。
「そうですね…。とてもきらびやかで…素晴らしかったです。あんなに色とりどりの美しいドレスを目にしたのも初めてですし…。来てよかったです。これでユーグ様にパーティーの様子を尋ねられても…答えらそうです。ありがとうございました」
「そうか、それは良かったな」
フッと笑うイアソン王子の顔には何となく疲労が滲んで見えた。
「イアソン王子?ひょっとしてお疲れなのですか?」
「え…?そう見えるか?」
「ええ。何となくですが…」
「そうか…」
イアソン王子はため息をついた。
「元々…俺はこういうパーティーは好きじゃないんだ。…大勢の人々の前に姿を現し、望まない会話を強いられ…踊りたくもない令嬢達と踊らされ…本当に苦痛の時間だ」
「そうだったのですか…?」
その話は私にとって意外だった。てっきり、王族であるイアソン王子は華やかなことが大好きだと思っていたのに…。
「今日は香水臭い令嬢達とどれくらい踊らされたか…」
その顔は心底嫌そうに見えた。そこで私は言った。
「私も…実際メイドとしてではなく、招待客としてパーティーに出席していれば同じ様な気持ちになったかもしれませんね」
「え…?」
「イアソン王子は本当は華やかな催しに出席するのが苦手なのではないですか?」
「…それはあるかもしれないな」
「私も同じですから」
「!」
イアソン王子は目を見開いて私を見た。
「私も、大勢の人たちの前で注目されるのは苦手です。だから本日はメイドの仕事に回して頂いてありがとうございます」
「ロザリー…」
「お見送り、ありがとうございます」
頭を下げると私は1人で馬車に乗り込んだ。疲れているイアソン王子の手を煩わしたくは無かったからだ。
「今夜はゆっくり休めよ」
イアソン王子が馬車の扉を閉めながら声を掛けてきた。
「はい、失礼致します」
「ああ、それじゃあな」
そして馬車はガラガラと音を立てて走り始めた。馬車の窓から外を覗くと、イアソン王子が手を振る姿が見えた。
そこで私もそっと手を振った―。
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