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8-18 隣に座ってきた人は

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「何だ…誰かと思ったらミレーユか…」

イアソン王子は顔に露骨に嫌そうな表情を浮かべてそっぽを向いた。ミレーユさんの背後にはアンドレアさんもいる。

「やぁ、ロザリー。又君に会えて嬉しいよ。うん、今日もとても可愛いね」

アンドレアさんはあろう事か、私の隣の席に座ってきた。

「あ、あの…アンドレア様…」

「おいっ!何勝手に隣に座っているんだっ?!」

イアソン王子が非難めいた声をあげる。

「別にいいじゃないですか。それともイアソン王子の隣に座った方がいいですか?」

その言葉に驚いた。いくら侯爵家だからと言って、仮にも相手はこの国の王太子様なのに、随分と親しげな話し方をする。

「…それは断る」

「だったら私が隣に座らせて頂きます」

ミレーユさんは笑みを浮かべながらイアソン王子の隣に座ってしまった。

「お、おい…っ!」

イアソン王子が珍しく焦りの声をあげる。

「ねぇ、ロザリーはいつまでこのホテルに滞在しているんだい?君は王宮のクリスマスパーティーに当然参加するんだろう?パートナーはイアソン王子かな?」

アンドレアさんは私に執拗に尋ねてくる。私はチラリとイアソン王子を見ると言った。

「いえ、クリスマスパーティーには参加しません」

「え?そうなの?」

「まぁ、そうだったのね?」

アンドレアさんは戸惑いの表情を浮かべ、ミレーユさんは何故か嬉しそうな顔をする。

「何だ…てっきり参加するのかとばかり思っていたから、君をパートナーに選ぼうかと思っていたのに…」

「え…?」

アンドレアさんはとんでもないことを言ってきた。そこで私は即答した。

「それは無理です。第一私は平民ですので踊りも踊れなければ、会話の仕方も分かりませんし、マナーすら分かりませんから」

「まぁ…やっぱり、ただの平民だったのね?どうりで品がないと思ったわ」

「ミレーユッ!」

すると突如、イアソン王子が怒気を含んだ声でミレーユさん睨みつけた。

ビクッ!

ミレーユさんの肩がビクリと跳ねる。

「イアソン王子…」

ミレーユさんが涙目になってイアソン王子を見つめる。

「イアソン王子…。何もそんなにきつい言い方をしなくても…」

私が声を掛けると今度はイアソン王子は私に文句?を言ってきた。

「ロザリー、何度も何度も俺に同じことを言わせるな。君は自分の身分をもっと自覚するべきだ。本来であれば誰からも下に見られるような身分じゃないはずだろう?」

イアソン王子はよりにもよって、アンドレアさんとミレーユさんの前でとんでもない事を言って来た。


「え?それはどう言う事なんだい?」

案の定、アンドレアさんは興味津々の目で私に尋ねてきた―。


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