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8-3 運命は味方してくれない
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イアソン王子をお待たせするわけにはいかないので、約束の時間の20分前にフロントへやって来た。
私の持っている服の中では比較的まともな服装をしてきたはずなのに、やはり集まっていた人々から好奇の目が寄せられる。
そして時折聞こえて来るヒソヒソ話。
「まぁ、あの子の服装は何でしょう?」
「随分貧しそうな娘だ」
「ひょっとして宿泊客の使用人かしら…」
なるべく目立たないように一番壁際の奥の席に座り、じっと正面口を見つめて王子を待っていた。
すると、客室に続く廊下からお金持ちそうな4人家族が現れた。
彼等は幸せそうに、楽し気に話をしながらこちらへ向かって歩いて来る。
何て…絵に描いたような幸せな家族なのだろう…そう思って見つめていると、徐々に彼らの姿がはっきり見えて来た。
「え…?」
そして私は気付いた。そこにはアンドレアさんとミレーユさんの姿があったからだ。
あの2人に見つかったら色々まずい事になりそうだと思った私は咄嗟に顔を見られないように俯いた。そして早くここから去ってくれる事を祈っていたのに…。
「まぁ!イアソン様っ!」
ミレーユさんの嬉しそうな声が聞こえて来た。
「え…?そ、そんな…」
恐る恐る顔を上げると、カウンター付近でカステル家がイアソン王子と話をしている姿があった。イアソン王子は護衛の人を連れているのか、背後にはスーツ姿の2人の男性が立っている。
一体何の話をしているのだろう…?
緊張の為か、心臓がドクドクいい始めた。もう…イアソン王子は私に会うのをやめて、カステル家と行動して貰えないだろうか…?
私は心から祈った。
けれども、現実は残酷だ。私の願いなど、通る筈も無かった。
イアソン王子はミレーユが色々話しかけているのに、キョロキョロと辺りを見渡している。
…きっと私を探しているのだ。
どうしよう?こんな時…私はどうすればいいのだろう?
イアソン王子が私を探しているので自分から声を掛けに行くべきなのか…?
それともカステル家に遠慮して、彼等がイアソン王子の元を去るまでじっとしているべきなのか…。
「でも駄目ね…やっぱりあの方は王太子様だし、イアソン王子のお陰でこのホテルに泊まることが出来るのだから…」
凄く気が重いけれども、私は観念してイアソン王子の元へと向かった。
「ねぇ、イアソン様。私と今日はお出かけしましょうよ~」
ミレーユさんがイアソン王子に訴えている声が近付いて来た。
「悪いけど、今日は無理なんだ」
そんなミレーユさんを相手に困った様子のイアソン王子だったけれども、私が近付いて来る姿に気付いたのか、呼びかけて来た。
「ロザリー!そこにいたのか?」
するとミレーユさんをはじめ、両親とアンドレアさんが一斉に私を振り向く。
「あ!貴女は…!」
ミレーユさんが敵意むき出しの目で私を睨みつけて来た。
「ロザリーじゃないか。そうか…イアソン王子の待ち合わせの相手はロザリーだったのか?」
「何だと?」
「何ですって?」
すると、2人の両親が私を驚きの目で見つめて来た―。
私の持っている服の中では比較的まともな服装をしてきたはずなのに、やはり集まっていた人々から好奇の目が寄せられる。
そして時折聞こえて来るヒソヒソ話。
「まぁ、あの子の服装は何でしょう?」
「随分貧しそうな娘だ」
「ひょっとして宿泊客の使用人かしら…」
なるべく目立たないように一番壁際の奥の席に座り、じっと正面口を見つめて王子を待っていた。
すると、客室に続く廊下からお金持ちそうな4人家族が現れた。
彼等は幸せそうに、楽し気に話をしながらこちらへ向かって歩いて来る。
何て…絵に描いたような幸せな家族なのだろう…そう思って見つめていると、徐々に彼らの姿がはっきり見えて来た。
「え…?」
そして私は気付いた。そこにはアンドレアさんとミレーユさんの姿があったからだ。
あの2人に見つかったら色々まずい事になりそうだと思った私は咄嗟に顔を見られないように俯いた。そして早くここから去ってくれる事を祈っていたのに…。
「まぁ!イアソン様っ!」
ミレーユさんの嬉しそうな声が聞こえて来た。
「え…?そ、そんな…」
恐る恐る顔を上げると、カウンター付近でカステル家がイアソン王子と話をしている姿があった。イアソン王子は護衛の人を連れているのか、背後にはスーツ姿の2人の男性が立っている。
一体何の話をしているのだろう…?
緊張の為か、心臓がドクドクいい始めた。もう…イアソン王子は私に会うのをやめて、カステル家と行動して貰えないだろうか…?
私は心から祈った。
けれども、現実は残酷だ。私の願いなど、通る筈も無かった。
イアソン王子はミレーユが色々話しかけているのに、キョロキョロと辺りを見渡している。
…きっと私を探しているのだ。
どうしよう?こんな時…私はどうすればいいのだろう?
イアソン王子が私を探しているので自分から声を掛けに行くべきなのか…?
それともカステル家に遠慮して、彼等がイアソン王子の元を去るまでじっとしているべきなのか…。
「でも駄目ね…やっぱりあの方は王太子様だし、イアソン王子のお陰でこのホテルに泊まることが出来るのだから…」
凄く気が重いけれども、私は観念してイアソン王子の元へと向かった。
「ねぇ、イアソン様。私と今日はお出かけしましょうよ~」
ミレーユさんがイアソン王子に訴えている声が近付いて来た。
「悪いけど、今日は無理なんだ」
そんなミレーユさんを相手に困った様子のイアソン王子だったけれども、私が近付いて来る姿に気付いたのか、呼びかけて来た。
「ロザリー!そこにいたのか?」
するとミレーユさんをはじめ、両親とアンドレアさんが一斉に私を振り向く。
「あ!貴女は…!」
ミレーユさんが敵意むき出しの目で私を睨みつけて来た。
「ロザリーじゃないか。そうか…イアソン王子の待ち合わせの相手はロザリーだったのか?」
「何だと?」
「何ですって?」
すると、2人の両親が私を驚きの目で見つめて来た―。
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