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3-19 私の気持ちです
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「何ですか?それって…ひょとして嫌味で言ってるのですか?」
フランシスカ様の口調がきつくなる。
「ち、違うよ。まさか…そんなはずないだろう?僕はただ、君の為を思って…」
「何が君の為を思ってですかっ!私は…レナート様のそういうお人好しなところも嫌なんですっ!本当なら…そこは、『どうして僕の婚約者なのに王子と一緒にいるんだ?』って尋ねるのが普通なのではないですかっ?!」
その言葉に私は思った。
まさか…本当はフランシスカ様はレナート様に嫉妬してもらいたくて…?
「私…もう行きますっ!」
フランシスカ様は立ち上がった。しかもベンチの上にレナート様のプレゼントを置いたまま。
「え?フランシスカ…プレゼントは…?」
「いりません、結構です」
「フランシスカ…」
レナート様の顔に悲しげな表情が浮かぶ。
そ、そんな…。
折角レナート様がフランシスカ様の為に選んできたのに…。
「待ってくださいっ!」
気づけば私は2人の前に飛び出していた。
「え?あ、貴女は…!」
「ロザリー?何故ここにっ?!」
フランシスカ様もレナート様も驚いたように私を見ている。私はフランシスカ様に言った。
「お願いです…お待ち下さい、フランシスカ様」
「な、何なの…?」
「すみません。盗み聞きするつもりはなかったのですが…。ここでお昼休みを過ごしていたらお2人の声が聞こえたんです。それでプレゼントの話が耳に入って来て…。あの…実はそのプレゼントの中には私が選んだ品物も入っているのです」
私は咄嗟に嘘をついてしまった。
「え…?どういうことなのかしら?」
「はい、フランシスカ様は…初めてお会いした時に…私の事を気遣って下さって…私、嬉しかったんです。高貴なお姫様に優しい言葉を掛けていただいたのが…それでクラスメイトのレナート様からフランシスカ様のお誕生日が近い事を聞かされて、あの時の感謝の気持ちを込めて贈り物をさせて頂きたいと思ってレナート様にフランシスカ様の為のプレゼントをお願いしたのです」
「まぁ…そうだったの?」
フランシスカ様の目が見開かれる。
「はい、なので…受けとって頂けると…嬉しいです」
「そう…貴女が選んでくれた品物も含まれているなら…」
フランシスカ様はプレゼントを受け取ると言った。
「ロザリー。ありがとう」
「い、いえ。とんでもありません」
思わず顔が赤くなってしまう。
「本当は…一緒に戻りたいところだけど…」
「はい…ですが、私とフランシスカ様が一緒にいるのを見られたら…良くない噂を立てられてしまうかもしれないので…」
「仕方ないわね…」
フランシスカ様はためいきをつくと、次にレナート様を見た。
「有難うございます、レナート様。プレゼント…謹んで受け取らせて頂きます」
そしてフランシスカ様が私に言った。
「ロザリー。また貴女とお話したいわ」
「はい、私も…です」
するとフランシスカ様は笑みを浮かべて私を見ると、その場を去っていった。
「ロザリー」
2人きりになるとレナート様が背後から声を掛けてきた。
「は、はい!」
慌てて振り向くとレナート様が私に頭を下げてきた。
「ありがとう、ロザリー。君のお陰でフランシスカにプレゼントを渡せたよ」
「…良かったですね。気持ちが通じると…良いですね」
内心の胸の痛みを隠しながら私は言う。
「うん、これで…フランシスカとの距離が…近づけばいいな…。彼女の事が…好きだから…」
「大丈夫です…。きっと…うまくいきますよ」
悲しい気持ちを飲み込んで、私は無理に笑顔で返事をした―。
フランシスカ様の口調がきつくなる。
「ち、違うよ。まさか…そんなはずないだろう?僕はただ、君の為を思って…」
「何が君の為を思ってですかっ!私は…レナート様のそういうお人好しなところも嫌なんですっ!本当なら…そこは、『どうして僕の婚約者なのに王子と一緒にいるんだ?』って尋ねるのが普通なのではないですかっ?!」
その言葉に私は思った。
まさか…本当はフランシスカ様はレナート様に嫉妬してもらいたくて…?
「私…もう行きますっ!」
フランシスカ様は立ち上がった。しかもベンチの上にレナート様のプレゼントを置いたまま。
「え?フランシスカ…プレゼントは…?」
「いりません、結構です」
「フランシスカ…」
レナート様の顔に悲しげな表情が浮かぶ。
そ、そんな…。
折角レナート様がフランシスカ様の為に選んできたのに…。
「待ってくださいっ!」
気づけば私は2人の前に飛び出していた。
「え?あ、貴女は…!」
「ロザリー?何故ここにっ?!」
フランシスカ様もレナート様も驚いたように私を見ている。私はフランシスカ様に言った。
「お願いです…お待ち下さい、フランシスカ様」
「な、何なの…?」
「すみません。盗み聞きするつもりはなかったのですが…。ここでお昼休みを過ごしていたらお2人の声が聞こえたんです。それでプレゼントの話が耳に入って来て…。あの…実はそのプレゼントの中には私が選んだ品物も入っているのです」
私は咄嗟に嘘をついてしまった。
「え…?どういうことなのかしら?」
「はい、フランシスカ様は…初めてお会いした時に…私の事を気遣って下さって…私、嬉しかったんです。高貴なお姫様に優しい言葉を掛けていただいたのが…それでクラスメイトのレナート様からフランシスカ様のお誕生日が近い事を聞かされて、あの時の感謝の気持ちを込めて贈り物をさせて頂きたいと思ってレナート様にフランシスカ様の為のプレゼントをお願いしたのです」
「まぁ…そうだったの?」
フランシスカ様の目が見開かれる。
「はい、なので…受けとって頂けると…嬉しいです」
「そう…貴女が選んでくれた品物も含まれているなら…」
フランシスカ様はプレゼントを受け取ると言った。
「ロザリー。ありがとう」
「い、いえ。とんでもありません」
思わず顔が赤くなってしまう。
「本当は…一緒に戻りたいところだけど…」
「はい…ですが、私とフランシスカ様が一緒にいるのを見られたら…良くない噂を立てられてしまうかもしれないので…」
「仕方ないわね…」
フランシスカ様はためいきをつくと、次にレナート様を見た。
「有難うございます、レナート様。プレゼント…謹んで受け取らせて頂きます」
そしてフランシスカ様が私に言った。
「ロザリー。また貴女とお話したいわ」
「はい、私も…です」
するとフランシスカ様は笑みを浮かべて私を見ると、その場を去っていった。
「ロザリー」
2人きりになるとレナート様が背後から声を掛けてきた。
「は、はい!」
慌てて振り向くとレナート様が私に頭を下げてきた。
「ありがとう、ロザリー。君のお陰でフランシスカにプレゼントを渡せたよ」
「…良かったですね。気持ちが通じると…良いですね」
内心の胸の痛みを隠しながら私は言う。
「うん、これで…フランシスカとの距離が…近づけばいいな…。彼女の事が…好きだから…」
「大丈夫です…。きっと…うまくいきますよ」
悲しい気持ちを飲み込んで、私は無理に笑顔で返事をした―。
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