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3-7 声を掛けて来る2人
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その日の夜―
時刻は午前0時を過ぎていた。同室のナタリーはとっくにベッドに入って眠りについている。
「…はぁ~…」
私は部屋の明かりを最低限にし、転んで破れてしまった制服を繕っていた。
「…こんな、入学してすぐに…制服を破いてしまうなんて…」
制服は左袖の部分が少しと、スカートの裾部分が少し破けてしまっていた。今の私には新しい制服を買い替える余裕なんて、はっきり言って無かった。制服の汚れも気になったが、この汚れは応急処置でかなり目立たなくさせる事は出来た。けれども破けたところだけは繕わないとどうにもならなかった。
こんな事になるなんて…。
私は自分の身分もわきまえず、出しゃばりすぎてしまったのだろうか?
「…痛っ!」
考え事をしながら制服を繕っていた為、右手のひとさし指を針で刺してしまった。
「痛い…」
刺した指からは少しだけ血が滲んでいる。その指を口に咥えて左手でギュッと制服を握りしめる。
痛い?
痛いのは指だけだろうか?それとも…ここ最近、ずっと続く胸の痛みなのだろうか?
「レナート様…」
気付けば私は彼の名をポツリと口に出していた―。
****
翌日―
夜なべをして繕った制服を着用した私はアニータと共に学校へ来ていた。
「ねぇ、ロザリー。目の下にクマが出来ているけど…大丈夫?寝不足なのかしら?」
カバンから教科書やノートを取り出しながらアニータが声を掛けて来た。
「え、ええ。でも…ほんの少しだけよ」
「そう?ならいいけど…」
「ありがとう、心配してくれて」
その時―
「おはよう、2人共」
レナート様が声を掛けて来た。
「おはようございます。レナート様」
アニータが元気よく挨拶を返す。
「おはようございます」
…別に挨拶を交わす程度なら何も周囲から言われる事は無いだろう。そう思った私はアニータの次に挨拶をした。
「あのさ、ロザリー。実は話があるのだけど…」
しかし、あろう事かレナート様は私に声を掛けて来た。途端に貴族学生達から非難の視線を浴びる。
その視線に気付いたのか、レナート様が振り返るとたちまち彼等は視線を逸らせた。
「ごめん…迷惑だったね」
レナート様は申し訳なさげに私に言う。
「いいえ、そんな事は…」
言いかけた時、今度はあろう事かイアソン王子が声を掛けて来たのだ。
「おはよう、ロザリー。怪我の具合はどうだい?」
その声はとても大きく、教室中に聞こえる程だった。イアソン王子は何て言う事をしてくれるのだろう。
「え?怪我?」
案の定、レナート様は驚いた様に私を見る。アニータはオロオロしながら私達の様子を見守っている。
「ロザリー、怪我をしたのかい?」
「い、いえ。本当に大したことではありませんので…」
お願いだから事を大きくしないでもらいたい。
「何だ?レナート。君は知らなかったのかい?彼女昨日、お店の前で貴族の女子学生たちに嫌がらせを受けて怪我をしたんだよ。どうやら彼女が自分たちのお気に入りの店に入ったのが気に入らなかったらしい。全く…くだらない。店の客として相応しいか決めるのは店の店主だと思うけどね。俺ならそんな客はお断りだ。…おや?制服が破れたのかい?繕った跡があるじゃないか。…可哀相に。本当に貴族学生達は平民の君達に酷いことをするよね?」
言いながらイアソン王子は教室にいる貴族学生達をジロリと睨み付けた―。
時刻は午前0時を過ぎていた。同室のナタリーはとっくにベッドに入って眠りについている。
「…はぁ~…」
私は部屋の明かりを最低限にし、転んで破れてしまった制服を繕っていた。
「…こんな、入学してすぐに…制服を破いてしまうなんて…」
制服は左袖の部分が少しと、スカートの裾部分が少し破けてしまっていた。今の私には新しい制服を買い替える余裕なんて、はっきり言って無かった。制服の汚れも気になったが、この汚れは応急処置でかなり目立たなくさせる事は出来た。けれども破けたところだけは繕わないとどうにもならなかった。
こんな事になるなんて…。
私は自分の身分もわきまえず、出しゃばりすぎてしまったのだろうか?
「…痛っ!」
考え事をしながら制服を繕っていた為、右手のひとさし指を針で刺してしまった。
「痛い…」
刺した指からは少しだけ血が滲んでいる。その指を口に咥えて左手でギュッと制服を握りしめる。
痛い?
痛いのは指だけだろうか?それとも…ここ最近、ずっと続く胸の痛みなのだろうか?
「レナート様…」
気付けば私は彼の名をポツリと口に出していた―。
****
翌日―
夜なべをして繕った制服を着用した私はアニータと共に学校へ来ていた。
「ねぇ、ロザリー。目の下にクマが出来ているけど…大丈夫?寝不足なのかしら?」
カバンから教科書やノートを取り出しながらアニータが声を掛けて来た。
「え、ええ。でも…ほんの少しだけよ」
「そう?ならいいけど…」
「ありがとう、心配してくれて」
その時―
「おはよう、2人共」
レナート様が声を掛けて来た。
「おはようございます。レナート様」
アニータが元気よく挨拶を返す。
「おはようございます」
…別に挨拶を交わす程度なら何も周囲から言われる事は無いだろう。そう思った私はアニータの次に挨拶をした。
「あのさ、ロザリー。実は話があるのだけど…」
しかし、あろう事かレナート様は私に声を掛けて来た。途端に貴族学生達から非難の視線を浴びる。
その視線に気付いたのか、レナート様が振り返るとたちまち彼等は視線を逸らせた。
「ごめん…迷惑だったね」
レナート様は申し訳なさげに私に言う。
「いいえ、そんな事は…」
言いかけた時、今度はあろう事かイアソン王子が声を掛けて来たのだ。
「おはよう、ロザリー。怪我の具合はどうだい?」
その声はとても大きく、教室中に聞こえる程だった。イアソン王子は何て言う事をしてくれるのだろう。
「え?怪我?」
案の定、レナート様は驚いた様に私を見る。アニータはオロオロしながら私達の様子を見守っている。
「ロザリー、怪我をしたのかい?」
「い、いえ。本当に大したことではありませんので…」
お願いだから事を大きくしないでもらいたい。
「何だ?レナート。君は知らなかったのかい?彼女昨日、お店の前で貴族の女子学生たちに嫌がらせを受けて怪我をしたんだよ。どうやら彼女が自分たちのお気に入りの店に入ったのが気に入らなかったらしい。全く…くだらない。店の客として相応しいか決めるのは店の店主だと思うけどね。俺ならそんな客はお断りだ。…おや?制服が破れたのかい?繕った跡があるじゃないか。…可哀相に。本当に貴族学生達は平民の君達に酷いことをするよね?」
言いながらイアソン王子は教室にいる貴族学生達をジロリと睨み付けた―。
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