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3-1 週末明けの初めての月曜日
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「おはよう。ロザリー、もう朝よ」
ナタリーがカーテンを開けて、眩しい朝日が部屋の中に差し込んだ。
「あ…おはよう。ナタリー」
目をこすりながら私も朝の挨拶をした。
「今日は月曜日で週の初めだから食堂で朝礼があるのよ。早めに準備した方がいいわ」
ナタリーは制服に着換えながら言う。
「え?そうだったの?ちっとも知らなかったわ」
急いで飛び起きると私もナタリーにならって制服に着替え始めた。
昨日、フランシスカ様から欲しいプレゼントを聞きだした後、10分程話をして私とフランシスカ様はその場で別れた。その際に、また2人で話をしようという約束を交わして…。
寮に戻った私は買って来た古着を全てクローゼットにしまった。全ての古着をしまい終えた頃にナタリーが里帰りから帰って来ると、彼女から故郷のお土産の紅茶を貰い、深夜になるまでナタリーと募る話をしたのである。その為、今朝の私は少々寝不足気味だった。
着がえを終えて食堂へ行くと、すでに多くの寮生たちが集まっていた。
「ナタリー、ロザリー、ここよ!」
人混みの中からサリーが手を振ってきた。隣にはアリエルの姿もある。
「2人がいるわ、行きましょう」
「ええ」
ナタリーに促され、私達は彼女たちの元へ向かった―。
****
朝礼は今週の予定を寮母さんが寮生達に説明をする…とい内容だった。説明の後に朝食が始まり、私達は週末どんなふうに過ごしたのか会話をしながら賑やかに食事をした。そして食後、寮生たちは部屋に戻ると登校の準備を始めた…。
「はぁ~…やっぱり月曜日が一番気が重いわ…」
忘れ物が無いかチェックをしながらナタリーがため息を付いている。
「そんなに気が重いものなの?」
「ええ。そうよ。気を使わない、自由に過ごせる家とは違って学校は規則は厳しいし、何より偉ぶっている貴族の学生たちに気を使って生活しなくちゃいけないっていうのが一番辛いわね」
「…確かにそういうものかもしれないわね…けど…」
でも少なくとも私の目にはレナート様もフランシスカ様も他の貴族達に比べると気さくな方だと思うけれども…。
「けど…?何?」
「あ…いえ。レナート様は貴族だけど優しい方だと思ったのよ」
「そうね。レナート様はとても優しい方よ。恐らく上位貴族で、しかも公爵家の方だからじゃないかしら?問題なのは下級貴族の生徒達なのよ。彼らは私達に比べると貴族なのに貧しいから…私達を見下して意地悪をしてくるのよ」
「そうなのね…」
ナタリーは勘違いしている。私もお金持ちの平民学生だと…だから私は決して自分の置かれている境遇を知られないように気をつけよう…心に誓った。
****
ナタリーと一緒に登校すると、既に教室の中にはレナート様の姿があった。しかもこの間、下級貴族の生徒に酷い目に合わされていた平民学生の隣に座って会話をしていたのである。
「まぁ、レナート様…あの学生と仲が良くなったようね」
ナタリーが私に耳打ちしてきた。
「そうみたいね」
「それじゃ席に着きましょう」
「ええ」
私とナタリーは廊下側の席に並んで座ると、レナート様が不意にこちらを振り向いた。そして私をみると、ニコリと微笑み掛けてきた。
レナート様…。
途端に昨日、レナート様を残して逃げるように店を去っていった記憶が蘇り…胸が痛くなった―。
ナタリーがカーテンを開けて、眩しい朝日が部屋の中に差し込んだ。
「あ…おはよう。ナタリー」
目をこすりながら私も朝の挨拶をした。
「今日は月曜日で週の初めだから食堂で朝礼があるのよ。早めに準備した方がいいわ」
ナタリーは制服に着換えながら言う。
「え?そうだったの?ちっとも知らなかったわ」
急いで飛び起きると私もナタリーにならって制服に着替え始めた。
昨日、フランシスカ様から欲しいプレゼントを聞きだした後、10分程話をして私とフランシスカ様はその場で別れた。その際に、また2人で話をしようという約束を交わして…。
寮に戻った私は買って来た古着を全てクローゼットにしまった。全ての古着をしまい終えた頃にナタリーが里帰りから帰って来ると、彼女から故郷のお土産の紅茶を貰い、深夜になるまでナタリーと募る話をしたのである。その為、今朝の私は少々寝不足気味だった。
着がえを終えて食堂へ行くと、すでに多くの寮生たちが集まっていた。
「ナタリー、ロザリー、ここよ!」
人混みの中からサリーが手を振ってきた。隣にはアリエルの姿もある。
「2人がいるわ、行きましょう」
「ええ」
ナタリーに促され、私達は彼女たちの元へ向かった―。
****
朝礼は今週の予定を寮母さんが寮生達に説明をする…とい内容だった。説明の後に朝食が始まり、私達は週末どんなふうに過ごしたのか会話をしながら賑やかに食事をした。そして食後、寮生たちは部屋に戻ると登校の準備を始めた…。
「はぁ~…やっぱり月曜日が一番気が重いわ…」
忘れ物が無いかチェックをしながらナタリーがため息を付いている。
「そんなに気が重いものなの?」
「ええ。そうよ。気を使わない、自由に過ごせる家とは違って学校は規則は厳しいし、何より偉ぶっている貴族の学生たちに気を使って生活しなくちゃいけないっていうのが一番辛いわね」
「…確かにそういうものかもしれないわね…けど…」
でも少なくとも私の目にはレナート様もフランシスカ様も他の貴族達に比べると気さくな方だと思うけれども…。
「けど…?何?」
「あ…いえ。レナート様は貴族だけど優しい方だと思ったのよ」
「そうね。レナート様はとても優しい方よ。恐らく上位貴族で、しかも公爵家の方だからじゃないかしら?問題なのは下級貴族の生徒達なのよ。彼らは私達に比べると貴族なのに貧しいから…私達を見下して意地悪をしてくるのよ」
「そうなのね…」
ナタリーは勘違いしている。私もお金持ちの平民学生だと…だから私は決して自分の置かれている境遇を知られないように気をつけよう…心に誓った。
****
ナタリーと一緒に登校すると、既に教室の中にはレナート様の姿があった。しかもこの間、下級貴族の生徒に酷い目に合わされていた平民学生の隣に座って会話をしていたのである。
「まぁ、レナート様…あの学生と仲が良くなったようね」
ナタリーが私に耳打ちしてきた。
「そうみたいね」
「それじゃ席に着きましょう」
「ええ」
私とナタリーは廊下側の席に並んで座ると、レナート様が不意にこちらを振り向いた。そして私をみると、ニコリと微笑み掛けてきた。
レナート様…。
途端に昨日、レナート様を残して逃げるように店を去っていった記憶が蘇り…胸が痛くなった―。
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