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3 長生きの秘訣
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城の出口を目指して廊下を歩きながら、徐々にこの世界? での状況を思い出してきた。
「そうだ……確か今日は、私とあのデブ男との婚約をお披露目するためのパーティだったっけ。だけどいくら会場で待っていてもデブ男が現れないから、様子を見に行ったら……あのデブ女と一緒にいた場面に出くわしたんだっけ」
もはや殿下など呼びたくもない。
高貴な王族だろうと、どうでもいい。前世の記憶が戻った今の私にとっては、ただの超肥満体の男でしかない。
「だから貴族は皆あまり長生き出来なかったんだっけ……」
この世界の貴族は皆短命だ。60歳位まで生きられれば上等、70歳を超えれば奇跡と言われる程なのだ。
長生き出来ない理由は一目瞭然、太り過ぎで様々な病気を併発するからだ。
肥満は万病の元。
心臓だって悪くするし、糖尿病にだってなりやすい。高血圧に高脂血症……数え上げればきりが無い。
しかし医学が送れているせいか、それとも太っていることが美の基準であるからなのか……誰もが、肥満による短命だということに気づいていない。
私は前世、インストラクターだった。
肥満で成人病に苦しむ人たちをどれほど救ってきたことだろう。
だけど……。
「あんな連中、救ってやりたいとも思わないわ。どうせ肥満が美徳と思っているなら私の言う事なんか聞く耳持つはず無いしね」
そんなことをブツブツ呟きながら廊下を歩いていると、パーティーの参列者達の姿がちらほら目に入ってきた。
勿論、全員貴族なので巨体の持ち主ばかりだ。
風船のような体型の女性もいれば、ビヤ樽のような男性もいる。
一体、何を食べればそれだけ肥満体になれるのだろう?
すると貴族達の視線が私に集中する。
「本当に、いつ見ても貧相な身体だな」
「全く醜い姿だ」
「あんなに細くて、恥ずかしくないのかしら」
「あれで公爵令嬢なのだからな、信じられないよ」
彼らは私に聞えよがしにヒソヒソと話し、蔑みの目で見つめている。
何故、肥満体で不健康な彼らに悪口を言われなければならないのだろう?
思わず睨みつけたくなる衝動を押さえて、私はそのまま城の出口を目指した――
****
「ふ~……やっと、城から出られたわ」
ガラガラと走る馬車の中で、ため息をついた。
あの後、私はドアマンに頼んで城の馬繋場で待機していた馬車を呼んで貰ったのだ。
「今頃、あの城では肥え太った人々がダンスをしているんでしょうね」
遠くなっていく城を見つめながら、ポツリと口にした。
いや、そもそもダンスなど踊れるのだろうか?
ビヤ樽のような体型の男女がペアになって踊れるとは思えない。互いの肉が邪魔をして密着して踊れるはずはないだろう。
何しろ前世の記憶が戻る前の私はスレンダーな自分の身体が恥ずかしくて、まともに社交界に顔を出したことが無かったのだ。
当然、パーティーに出席するなどもっての他だ。
「どんなダンスを踊っているのかな……少しでも残って見物してくれば良かったかも」
少しだけ、パーティ会場から帰ってしまったことを後悔するも、すぐに首を振った。
「ううん! 何言ってるの? あんな巨体な人たちばかりのパーティー会場なんて、きっと熱気ムンムンで暑苦しいに決まってる! 気分が悪くなるだけよ!」
自分に言い聞かせ、殿下の姿を思い浮かべる。
丸々と肥え太った身体に油ぎった顔に、腫れぽったい目。体臭だってきつそうだ。
想像するだけで嫌悪感がこみ上げてくる。
あんなデブで性悪男が私の婚約者なんて最悪だ。
本当に、記憶が戻る前の私は何故あんなデブ男が良かったのだろう?
「はぁ~……」
私は思わずため息をついた――
「そうだ……確か今日は、私とあのデブ男との婚約をお披露目するためのパーティだったっけ。だけどいくら会場で待っていてもデブ男が現れないから、様子を見に行ったら……あのデブ女と一緒にいた場面に出くわしたんだっけ」
もはや殿下など呼びたくもない。
高貴な王族だろうと、どうでもいい。前世の記憶が戻った今の私にとっては、ただの超肥満体の男でしかない。
「だから貴族は皆あまり長生き出来なかったんだっけ……」
この世界の貴族は皆短命だ。60歳位まで生きられれば上等、70歳を超えれば奇跡と言われる程なのだ。
長生き出来ない理由は一目瞭然、太り過ぎで様々な病気を併発するからだ。
肥満は万病の元。
心臓だって悪くするし、糖尿病にだってなりやすい。高血圧に高脂血症……数え上げればきりが無い。
しかし医学が送れているせいか、それとも太っていることが美の基準であるからなのか……誰もが、肥満による短命だということに気づいていない。
私は前世、インストラクターだった。
肥満で成人病に苦しむ人たちをどれほど救ってきたことだろう。
だけど……。
「あんな連中、救ってやりたいとも思わないわ。どうせ肥満が美徳と思っているなら私の言う事なんか聞く耳持つはず無いしね」
そんなことをブツブツ呟きながら廊下を歩いていると、パーティーの参列者達の姿がちらほら目に入ってきた。
勿論、全員貴族なので巨体の持ち主ばかりだ。
風船のような体型の女性もいれば、ビヤ樽のような男性もいる。
一体、何を食べればそれだけ肥満体になれるのだろう?
すると貴族達の視線が私に集中する。
「本当に、いつ見ても貧相な身体だな」
「全く醜い姿だ」
「あんなに細くて、恥ずかしくないのかしら」
「あれで公爵令嬢なのだからな、信じられないよ」
彼らは私に聞えよがしにヒソヒソと話し、蔑みの目で見つめている。
何故、肥満体で不健康な彼らに悪口を言われなければならないのだろう?
思わず睨みつけたくなる衝動を押さえて、私はそのまま城の出口を目指した――
****
「ふ~……やっと、城から出られたわ」
ガラガラと走る馬車の中で、ため息をついた。
あの後、私はドアマンに頼んで城の馬繋場で待機していた馬車を呼んで貰ったのだ。
「今頃、あの城では肥え太った人々がダンスをしているんでしょうね」
遠くなっていく城を見つめながら、ポツリと口にした。
いや、そもそもダンスなど踊れるのだろうか?
ビヤ樽のような体型の男女がペアになって踊れるとは思えない。互いの肉が邪魔をして密着して踊れるはずはないだろう。
何しろ前世の記憶が戻る前の私はスレンダーな自分の身体が恥ずかしくて、まともに社交界に顔を出したことが無かったのだ。
当然、パーティーに出席するなどもっての他だ。
「どんなダンスを踊っているのかな……少しでも残って見物してくれば良かったかも」
少しだけ、パーティ会場から帰ってしまったことを後悔するも、すぐに首を振った。
「ううん! 何言ってるの? あんな巨体な人たちばかりのパーティー会場なんて、きっと熱気ムンムンで暑苦しいに決まってる! 気分が悪くなるだけよ!」
自分に言い聞かせ、殿下の姿を思い浮かべる。
丸々と肥え太った身体に油ぎった顔に、腫れぽったい目。体臭だってきつそうだ。
想像するだけで嫌悪感がこみ上げてくる。
あんなデブで性悪男が私の婚約者なんて最悪だ。
本当に、記憶が戻る前の私は何故あんなデブ男が良かったのだろう?
「はぁ~……」
私は思わずため息をついた――
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