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71 13回目の電話
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18時40分―
屋敷に帰った私は衝撃の事実を聞かされた。
「ええっ?!お母さんも・・キャロルも帰ってこないのっ?!」
エントランスまで迎えに出てくれたマリの伝言に私は驚いてしまった。
「はい・・・本日お2人からお電話が入って・・・『大切な用事が出来たから今夜は帰れなくなった。』というんですよ・・・。」
「そ、そうなの・・・?」
思わず肩をがっくり落としてしまった。そんな・・・明日はキャロルと色々お出かけして2人で楽しく過ごそうと思っていたのに・・。でも・・用事があるなら仕方がない。
「テア様、それでは・・お夕食になさいますか?」
「ええ・・そうね・・。頂くことにするわ・・。」
「そうですか。すぐに御用させていただきますので、ダイニングルームでお待ちください。」
「ええ。ありがとう。」
マリに促されて私はダイニングルームへ向かった―。
****
1人ぼっちの夕食だったので、あまり食欲がわかなかったので、食事をだいぶ残してしまった。せっかく食事を用意ししてくれた厨房の人たちには悪い事をしてしまった。
部屋に戻るため、廊下を歩いていると我が家の筆頭執事のディーンに呼び止められた。
「テアお嬢様・・・お電話が入っておられるのですが・・・。」
「まあ?電話?誰からかしら?」
ひょっとすると・・キャロルからだろうか?私の声が聞きたくなって電話をかけてきたとか・?ところが・・・。
「電話の主は・・ヘンリー様なのです・・・もうかれこれ電話がかかってきて13回目になるのですが・・・。」
「ええっ?!ヘンリーから13回もっ?!」
何て執念深さなのだろう。
「はい、テア様が出るまで・・かけ続けるとしまいに脅してきて・・。いかがいたしましょう?」
13回もディーンの手を煩わせてしまったなんて・・・。
「大丈夫・・・電話に出るわ。ごめんなさい・・手を煩わせてしまって・・・。」
「そんな、とんでもございません。それよりも・・・テア様は大丈夫ですか?」
「ええ。大丈夫。今行くわ。」
そして私は重い足取りでリビングへと向かった―。
リビングへ行くと受話器が外されて電話台の上に置かれている。一度ため息をつくと私は受話器を持ち上げた。
「はい・・。テアです。」
『テアか?やっと電話に出てくれたな・・・。どうしてそんなに俺に冷たくなったんだよ。』
「もう貴方との不毛な関係は終わらせたくなったからよ。」
『不毛な関係?一体どういう意味だよ?』
「私は・・・今まで気づかなったけど・・ヘンリーに一度も親切にしてもらった事が無かったわ。それがようやく理不尽だと気付いたのよ。だからもう許婚の関係を終わらせたいと思ったの。」
『だから、どうして今頃になってそんなことを言うんだよ?10年間今まで一度もお前は俺にそんな不満を言ってきた事が無かっただろう?』
「それは・・目が覚めたからよ。」
『ああ、俺もお前が俺の前からいなくなって・・・いかにテアが俺にとって重要な存在かって事に気づかされたよ。だからさ、生まれ変わることにしたんだよ。今までお前に何もしてきてやらなかったことに気づいたから・・・今日だってわざわざデートに誘ってやろうと思ってずっとお前の様子を伺っていたんだよ?双眼鏡を使ってね。』
ヘンリーのその言葉に鳥肌が立った。
「ねえ・・ヘンリー。その行動・・おかしいと思わない?」
『なんでおかしいんだよ?テアは俺の許婚だろう?何をしているのか把握しておくのは当然のことだろう?悪い虫がつかないか・・探るのだって当然のことだ。それなのに・・・。一体誰なんだ?あの男は?お前俺に隠れて浮気してたのか?』
だんだんヘンリーの様子がおかしくなってきた。これは・・何とかしなければ・・。背中に冷たい汗が流れるのを感じながら、なるべく平静を保ちながら私は言った。
「ちょっと待って、私はもう貴方とは許婚の関係を終わらせるって言ったでしょう?もともと私たちの話は父親同士がお酒の席で盛り上がって、勝手に決めて知った話なんだから・・・。」
『アハハハハ・・・馬鹿だな。テアは・・・。』
突如受話器越しからヘンリーの笑い声が聞こえてきた。
「な、何が・・・おかしいの?」
『お前・・俺との関係が対等だと思っていたのか?』
「え・・?何を言ってるの・・?」
『俺は・・お前といると色々都合がいい事に気づいたんだよ。だからどうしてもお前と別れたく無くてな・・それで何とか俺の元にお前を繋ぎ止めておけないか色々調べてみたんだよ。俺とお前が許婚関係になった経緯とか・・・そしたら、面白い事実が分かったんだ。』
「え?面白い・・事実・・?」
何だろう・・・?ヘンリーは一体何を言い出すのだろう?この話の続きを聞くのがすごく怖いけど・・・でも、絶対に知っておかなければいけない気がした。
そして次の瞬間、私は恐ろしい言葉を聞かされた。
『お前さぁ・・父親に借金の代替品として俺の許嫁にされたんだぜ?』
え・・・?
その言葉に一瞬目の前が真っ暗になった―。
屋敷に帰った私は衝撃の事実を聞かされた。
「ええっ?!お母さんも・・キャロルも帰ってこないのっ?!」
エントランスまで迎えに出てくれたマリの伝言に私は驚いてしまった。
「はい・・・本日お2人からお電話が入って・・・『大切な用事が出来たから今夜は帰れなくなった。』というんですよ・・・。」
「そ、そうなの・・・?」
思わず肩をがっくり落としてしまった。そんな・・・明日はキャロルと色々お出かけして2人で楽しく過ごそうと思っていたのに・・。でも・・用事があるなら仕方がない。
「テア様、それでは・・お夕食になさいますか?」
「ええ・・そうね・・。頂くことにするわ・・。」
「そうですか。すぐに御用させていただきますので、ダイニングルームでお待ちください。」
「ええ。ありがとう。」
マリに促されて私はダイニングルームへ向かった―。
****
1人ぼっちの夕食だったので、あまり食欲がわかなかったので、食事をだいぶ残してしまった。せっかく食事を用意ししてくれた厨房の人たちには悪い事をしてしまった。
部屋に戻るため、廊下を歩いていると我が家の筆頭執事のディーンに呼び止められた。
「テアお嬢様・・・お電話が入っておられるのですが・・・。」
「まあ?電話?誰からかしら?」
ひょっとすると・・キャロルからだろうか?私の声が聞きたくなって電話をかけてきたとか・?ところが・・・。
「電話の主は・・ヘンリー様なのです・・・もうかれこれ電話がかかってきて13回目になるのですが・・・。」
「ええっ?!ヘンリーから13回もっ?!」
何て執念深さなのだろう。
「はい、テア様が出るまで・・かけ続けるとしまいに脅してきて・・。いかがいたしましょう?」
13回もディーンの手を煩わせてしまったなんて・・・。
「大丈夫・・・電話に出るわ。ごめんなさい・・手を煩わせてしまって・・・。」
「そんな、とんでもございません。それよりも・・・テア様は大丈夫ですか?」
「ええ。大丈夫。今行くわ。」
そして私は重い足取りでリビングへと向かった―。
リビングへ行くと受話器が外されて電話台の上に置かれている。一度ため息をつくと私は受話器を持ち上げた。
「はい・・。テアです。」
『テアか?やっと電話に出てくれたな・・・。どうしてそんなに俺に冷たくなったんだよ。』
「もう貴方との不毛な関係は終わらせたくなったからよ。」
『不毛な関係?一体どういう意味だよ?』
「私は・・・今まで気づかなったけど・・ヘンリーに一度も親切にしてもらった事が無かったわ。それがようやく理不尽だと気付いたのよ。だからもう許婚の関係を終わらせたいと思ったの。」
『だから、どうして今頃になってそんなことを言うんだよ?10年間今まで一度もお前は俺にそんな不満を言ってきた事が無かっただろう?』
「それは・・目が覚めたからよ。」
『ああ、俺もお前が俺の前からいなくなって・・・いかにテアが俺にとって重要な存在かって事に気づかされたよ。だからさ、生まれ変わることにしたんだよ。今までお前に何もしてきてやらなかったことに気づいたから・・・今日だってわざわざデートに誘ってやろうと思ってずっとお前の様子を伺っていたんだよ?双眼鏡を使ってね。』
ヘンリーのその言葉に鳥肌が立った。
「ねえ・・ヘンリー。その行動・・おかしいと思わない?」
『なんでおかしいんだよ?テアは俺の許婚だろう?何をしているのか把握しておくのは当然のことだろう?悪い虫がつかないか・・探るのだって当然のことだ。それなのに・・・。一体誰なんだ?あの男は?お前俺に隠れて浮気してたのか?』
だんだんヘンリーの様子がおかしくなってきた。これは・・何とかしなければ・・。背中に冷たい汗が流れるのを感じながら、なるべく平静を保ちながら私は言った。
「ちょっと待って、私はもう貴方とは許婚の関係を終わらせるって言ったでしょう?もともと私たちの話は父親同士がお酒の席で盛り上がって、勝手に決めて知った話なんだから・・・。」
『アハハハハ・・・馬鹿だな。テアは・・・。』
突如受話器越しからヘンリーの笑い声が聞こえてきた。
「な、何が・・・おかしいの?」
『お前・・俺との関係が対等だと思っていたのか?』
「え・・?何を言ってるの・・?」
『俺は・・お前といると色々都合がいい事に気づいたんだよ。だからどうしてもお前と別れたく無くてな・・それで何とか俺の元にお前を繋ぎ止めておけないか色々調べてみたんだよ。俺とお前が許婚関係になった経緯とか・・・そしたら、面白い事実が分かったんだ。』
「え?面白い・・事実・・?」
何だろう・・・?ヘンリーは一体何を言い出すのだろう?この話の続きを聞くのがすごく怖いけど・・・でも、絶対に知っておかなければいけない気がした。
そして次の瞬間、私は恐ろしい言葉を聞かされた。
『お前さぁ・・父親に借金の代替品として俺の許嫁にされたんだぜ?』
え・・・?
その言葉に一瞬目の前が真っ暗になった―。
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