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51 信用しないで
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私とニコルが貿易学の講義のクラスへ到着し、2人で隣同士に座っていると5分ほど経過したところでキャロルが1人で教室に入ってきた。
「え・・?どうしてキャロルが1人で教室へ入ってきたの・・?」
思わず口に出していた。するとニコルが言った。
「ほら・・・やっぱりね?」
「ご、ごめんなさいニコルッ!私・・キャロルのところへ行ってくるわ。」
「うん、いいよ。行っておいで。」
私は急いでキャロルの元へ駆け寄った。
「キャロルッ!」
「テア・・・。」
私はキャロルの手を握り締めると謝った。
「ごめんなさい、キャロル。私・・勘違いしていたわ。てっきりキャロルはヘンリーと一緒に教室へ来るとばかり思っていたの。私、2人の邪魔をしたくなかったから先にきてしまったけど・・・違ったのね?まだ足が完全に治っていな貴女を1人で歩かせてしまって・・・。」
するとキャロルは笑みを浮かべた。
「あら?いいのよ。テア。もとはと言えば・・私が誤解されるような態度を取ってしまったから・・・。」
「キャロル。とりあえず一緒に席に座りましょう?ニコルには謝ってくるから。」
「そう?ニコルより私を優先してくれるの?」
キャロルはじっと私を見つめる。
「もちろんよ、だってキャロルは私にとってかけがえのない親友だから。」
「本当・・・嬉しい!テアッ!」
キャロルは私に抱き着いてきた。その時・・・。
「あら?ヘンリー。何か用?」
不意にキャロルが言った。え?ヘンリー?
キャロルに抱き着かれたまま首を後ろに回すと、そこにはヘンリーが微妙な表情でこちらを見て立っていた。
「あ・・い、いや・・話がしたくて・・・。」
しかし、キャロルは冷たい声で言う。
「悪いけど、テアに酷い事をしてきた貴方とは口を聞きたくないわ。」
キャロル・・・そこまで私の事を・・。やっぱりニコルの言う通り、2人が想いあっているのではなく、ヘンリーの片思いだったのだ。
それにしてもヘンリー・・・。キャロルに失恋してしまったのに・・まだ話がしたいだなんて・・。余程未練があるのだろうか?
しかしヘンリーは予想外の事を口にした。
「キャロル・・・テアから離れてくれないか・・・。俺はテアに話があるんだ。話したい相手は君じゃない。」
「えっ?!」
驚きのあまり、私は驚いてヘンリーの方を見た。するとヘンリーは真剣な顔でキャロルに言った。
「頼む、キャロル。テアと・・・2人だけで話をさせてくれ。」
しかし、キャロルはヘンリーの言葉には答えずに私の手を引くと言った。
「テア。そろそろ授業が始まるから席に座りましょう?」
「え、ええ・・・。」
私はキャロルに手を引かれ、ニコルの席へと移動していく。私は導かれるままついていこうとすると・・・。
「テアッ!待ってくれっ!」
背後でヘンリーが声を掛けてきた。振り向くと、彼は青ざめた顔で私の事をじっと見つめていた。
「ヘンリー・・・。」
思わず彼の名を呼ぶと、キャロルが言った。
「いいのよ、行きましょう。」
そしてキャロルは私の手をしっかり握りしめた―。
「おはよう、ニコル。」
キャロルはニコルに笑顔で挨拶をした。
「ああ。おはよう、キャロル。」
「あのね、ニコル。ごめんなさい、テアと2人で座りたいから席を替わって貰えるかしら?」
「ああ、もちろんだよ。2人は一番の親友同士なんだろう?」
ニコルは嫌な顔一つせずに、席を立つと一つ前の席に移動してくれた。
「ありがとう、ニコル。」
私は前の席に移ってくれたニコルに礼を言った。
「そんな事気にする必要ないさ。ところで・・・。」
ニコルは1人離れた席でぽつんと座っているヘンリーを見ると私に尋ねてきた。
「彼は・・付属の高等学校から来たんだろう?友人はいないのかい?」
ニコルに指摘されてはじめて気づいた。そう言えば、私は常にヘンリーと一緒にいた。そして私には男女を問わず大勢友人がいて、いつも周囲に人がいた。てっきり彼らとヘンリーも友人同士だと思っていたのに・・本当は違った・・・?
するとキャロルは私の目をじっと見ながら言った。
「ヘンリーは・・テアが去ったことで初めて自分が孤独だったことに気づいて焦りを感じて、今度は優しく接しようと思ったのかもしれないわね。でも・・騙されちゃだめよ?ヘンリーの事は信用しないでね?」
「わ、分かった・・・わ・・。」
私はキャロルの言葉にうなずくのだった―。
「え・・?どうしてキャロルが1人で教室へ入ってきたの・・?」
思わず口に出していた。するとニコルが言った。
「ほら・・・やっぱりね?」
「ご、ごめんなさいニコルッ!私・・キャロルのところへ行ってくるわ。」
「うん、いいよ。行っておいで。」
私は急いでキャロルの元へ駆け寄った。
「キャロルッ!」
「テア・・・。」
私はキャロルの手を握り締めると謝った。
「ごめんなさい、キャロル。私・・勘違いしていたわ。てっきりキャロルはヘンリーと一緒に教室へ来るとばかり思っていたの。私、2人の邪魔をしたくなかったから先にきてしまったけど・・・違ったのね?まだ足が完全に治っていな貴女を1人で歩かせてしまって・・・。」
するとキャロルは笑みを浮かべた。
「あら?いいのよ。テア。もとはと言えば・・私が誤解されるような態度を取ってしまったから・・・。」
「キャロル。とりあえず一緒に席に座りましょう?ニコルには謝ってくるから。」
「そう?ニコルより私を優先してくれるの?」
キャロルはじっと私を見つめる。
「もちろんよ、だってキャロルは私にとってかけがえのない親友だから。」
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「あら?ヘンリー。何か用?」
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しかし、キャロルは冷たい声で言う。
「悪いけど、テアに酷い事をしてきた貴方とは口を聞きたくないわ。」
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それにしてもヘンリー・・・。キャロルに失恋してしまったのに・・まだ話がしたいだなんて・・。余程未練があるのだろうか?
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「頼む、キャロル。テアと・・・2人だけで話をさせてくれ。」
しかし、キャロルはヘンリーの言葉には答えずに私の手を引くと言った。
「テア。そろそろ授業が始まるから席に座りましょう?」
「え、ええ・・・。」
私はキャロルに手を引かれ、ニコルの席へと移動していく。私は導かれるままついていこうとすると・・・。
「テアッ!待ってくれっ!」
背後でヘンリーが声を掛けてきた。振り向くと、彼は青ざめた顔で私の事をじっと見つめていた。
「ヘンリー・・・。」
思わず彼の名を呼ぶと、キャロルが言った。
「いいのよ、行きましょう。」
そしてキャロルは私の手をしっかり握りしめた―。
「おはよう、ニコル。」
キャロルはニコルに笑顔で挨拶をした。
「ああ。おはよう、キャロル。」
「あのね、ニコル。ごめんなさい、テアと2人で座りたいから席を替わって貰えるかしら?」
「ああ、もちろんだよ。2人は一番の親友同士なんだろう?」
ニコルは嫌な顔一つせずに、席を立つと一つ前の席に移動してくれた。
「ありがとう、ニコル。」
私は前の席に移ってくれたニコルに礼を言った。
「そんな事気にする必要ないさ。ところで・・・。」
ニコルは1人離れた席でぽつんと座っているヘンリーを見ると私に尋ねてきた。
「彼は・・付属の高等学校から来たんだろう?友人はいないのかい?」
ニコルに指摘されてはじめて気づいた。そう言えば、私は常にヘンリーと一緒にいた。そして私には男女を問わず大勢友人がいて、いつも周囲に人がいた。てっきり彼らとヘンリーも友人同士だと思っていたのに・・本当は違った・・・?
するとキャロルは私の目をじっと見ながら言った。
「ヘンリーは・・テアが去ったことで初めて自分が孤独だったことに気づいて焦りを感じて、今度は優しく接しようと思ったのかもしれないわね。でも・・騙されちゃだめよ?ヘンリーの事は信用しないでね?」
「わ、分かった・・・わ・・。」
私はキャロルの言葉にうなずくのだった―。
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