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11 不機嫌な許嫁
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「あら・・?だってテアはヘンリーの許嫁なのだから・・私がネックレスを貰うわけにはいかないわ。」
キャロルの言葉にヘンリーは言う。
「いや・・キャロル。テアはね、アクセサリーの類は好きじゃないんだよ。その証拠に・・ほら、見てごらん?イヤリングどころか、ブローチだってしていないじゃないか。つまりね・・テアにアクセサリーをプレゼントしても、少しも喜ばないって事なんだよ。」
え・・?ヘンリーは私に言った言葉を忘れてしまったのだろうか?
それは今から10年近く前の事。
その日は久しぶりにヘンリーと会える日だった。私は精一杯おしゃれをしてヘンリーの前に姿を現した。そしてネックレスにイヤリング、ブローチをつけた私を見て彼はこう言ったのだ。
< テアは地味な髪色だし、顔だって地味なんだからアクセサリーなんか似合わない。何も身に着けない方がいいよ。 >
と・・。だから私はヘンリーと会うときは一切のアクセサリーを身につけるのは・・やめたのに・・。
「女の子でアクセサリーを貰って喜ばない人はいないわ。でも・・そこまで言うならいいわ。そのネックレス・・いただくわ。」
キャロルはヘンリーに言った。
「え?本当に・・?貰ってくれるんだね?」
ヘンリーは嬉しそうにキャロルに紙袋を手渡した。するとキャロルは何を思ったのか、その場でネックレスが入った包み紙を破くと、中からネックレスを取り出した。
そして私の背後に回ると、突然ネックレスをつけたのだ。
「え・・?な、何を・・・?」
戸惑っているとキャロルが私の前に回り込み、ネックレスをつけた私を見て、嬉しそうに言った。
「うわあ・・やっぱりそのネックレス・・すごくよく似合ってるわ。」
そして手を叩く。
「あ、あの・・・。」
その時、私はハッとなった
ヘンリーの白い顔が怒りの為か、真っ赤になり・・身体は小刻みに震え始めた。
ど、どうしよう・・・!ヘンリーがとても怒っている・・。私はこれ以上彼を怒らせたくないのに・・。
「キャロル・・・嬉しいけど、やっぱり私には似合わないわ・・。」
「ああ、テアには少しも似合わない。でも・・もういいよ。そのネックレスは一度はキャロル。君にあげたんだから・・すきにしてくれて構わないよ。」
「ええ、そうさせて貰うわ。」
キャロルはヘンリーの機嫌の悪さに全く気付いていない。だけど・・私はヘンリーがすごく激怒していることが手に取るように分る。どうしよう・・・私は出迎えに出るべきじゃなかったのかもしれない・・。
「う・・・。」
ますます悪化する偏頭痛に思わず頭を押さえて身体がよろめいてしまった。
「キャアッ!しっかりしてテアッ!」
キャロルは私を支えると言った。
「テア・・一緒に部屋に戻りましょう?」
「あ、ありがとう。キャロル・・・。」
キャロルに支えられながら歩き始めると、不意に背後からヘンリーが声を掛けてきた。
「キャロル。」
「何?」
キャロルは立ち止まって返事をする。
「また・・明後日の入学式の日に会おう。迎えに行くから・・・いいよね?」
キャロルはチラリと私に視線を送ると言った。
「ええ。テアも一緒にね?」
「ああ・・・勿論だよ。テアも一緒だ。」
ヘンリーは私に視線も合わせずに言う。
・・・・。
私は複雑な思いで2人の会話を聞いていた。恐らく・・ヘンリーは本気でキャロルの事を好きなんだ。だけど・・私に冷たくするとキャロルの機嫌を損ねると思って・・私にも親切にしてくれようとしている。
「それじゃ、行きましょう。テア。」
ズキズキする頭痛の痛みを抱え、キャロルに支えられて歩きながら私は思った。
このままでは駄目だ・・・。ますます私はヘンリーに嫌われてしまうし・・キャロルにしても私に気を使っているとヘンリーとの仲がうまくいかなくなってしまう。
だから私は言った。
「キャロル。」
「何?テア。」
「私・・貴女の事が大好きよ。」
「フフ・・突然何言い出すの?テア。」
「だから・・・私に気を使わなくていいからね?キャロルが幸せになることが・・私の幸せだから・・。」
「!」
キャロルの息を飲む気配が伝わった。そして・・・キャロルは返事をした。
「ええ、分ったわ・・・。」
「本当は・・このネックレス欲しかったんでしょう?」
「そ、それは・・・。」
キャロルは明らかに動揺している。
「私より、やっぱりキャロルの方が・・似合ってるわよ。だから・・ネックレス外してくれる?」
「テア・・。」
キャロルは私から身体を離すと背後に回りネックレスを外した。
「これは・・貴女の物だから。」
キャロルは黙って頷き、ポケットにしまうと言った。
「テア、それじゃお部屋に戻りましょう?」
「ええ・・。」
そして私はキャロルに連れられて部屋へと戻り、すっかり生ぬるくなってしまった鎮静剤を飲んだ後・・横になった―。
キャロルの言葉にヘンリーは言う。
「いや・・キャロル。テアはね、アクセサリーの類は好きじゃないんだよ。その証拠に・・ほら、見てごらん?イヤリングどころか、ブローチだってしていないじゃないか。つまりね・・テアにアクセサリーをプレゼントしても、少しも喜ばないって事なんだよ。」
え・・?ヘンリーは私に言った言葉を忘れてしまったのだろうか?
それは今から10年近く前の事。
その日は久しぶりにヘンリーと会える日だった。私は精一杯おしゃれをしてヘンリーの前に姿を現した。そしてネックレスにイヤリング、ブローチをつけた私を見て彼はこう言ったのだ。
< テアは地味な髪色だし、顔だって地味なんだからアクセサリーなんか似合わない。何も身に着けない方がいいよ。 >
と・・。だから私はヘンリーと会うときは一切のアクセサリーを身につけるのは・・やめたのに・・。
「女の子でアクセサリーを貰って喜ばない人はいないわ。でも・・そこまで言うならいいわ。そのネックレス・・いただくわ。」
キャロルはヘンリーに言った。
「え?本当に・・?貰ってくれるんだね?」
ヘンリーは嬉しそうにキャロルに紙袋を手渡した。するとキャロルは何を思ったのか、その場でネックレスが入った包み紙を破くと、中からネックレスを取り出した。
そして私の背後に回ると、突然ネックレスをつけたのだ。
「え・・?な、何を・・・?」
戸惑っているとキャロルが私の前に回り込み、ネックレスをつけた私を見て、嬉しそうに言った。
「うわあ・・やっぱりそのネックレス・・すごくよく似合ってるわ。」
そして手を叩く。
「あ、あの・・・。」
その時、私はハッとなった
ヘンリーの白い顔が怒りの為か、真っ赤になり・・身体は小刻みに震え始めた。
ど、どうしよう・・・!ヘンリーがとても怒っている・・。私はこれ以上彼を怒らせたくないのに・・。
「キャロル・・・嬉しいけど、やっぱり私には似合わないわ・・。」
「ああ、テアには少しも似合わない。でも・・もういいよ。そのネックレスは一度はキャロル。君にあげたんだから・・すきにしてくれて構わないよ。」
「ええ、そうさせて貰うわ。」
キャロルはヘンリーの機嫌の悪さに全く気付いていない。だけど・・私はヘンリーがすごく激怒していることが手に取るように分る。どうしよう・・・私は出迎えに出るべきじゃなかったのかもしれない・・。
「う・・・。」
ますます悪化する偏頭痛に思わず頭を押さえて身体がよろめいてしまった。
「キャアッ!しっかりしてテアッ!」
キャロルは私を支えると言った。
「テア・・一緒に部屋に戻りましょう?」
「あ、ありがとう。キャロル・・・。」
キャロルに支えられながら歩き始めると、不意に背後からヘンリーが声を掛けてきた。
「キャロル。」
「何?」
キャロルは立ち止まって返事をする。
「また・・明後日の入学式の日に会おう。迎えに行くから・・・いいよね?」
キャロルはチラリと私に視線を送ると言った。
「ええ。テアも一緒にね?」
「ああ・・・勿論だよ。テアも一緒だ。」
ヘンリーは私に視線も合わせずに言う。
・・・・。
私は複雑な思いで2人の会話を聞いていた。恐らく・・ヘンリーは本気でキャロルの事を好きなんだ。だけど・・私に冷たくするとキャロルの機嫌を損ねると思って・・私にも親切にしてくれようとしている。
「それじゃ、行きましょう。テア。」
ズキズキする頭痛の痛みを抱え、キャロルに支えられて歩きながら私は思った。
このままでは駄目だ・・・。ますます私はヘンリーに嫌われてしまうし・・キャロルにしても私に気を使っているとヘンリーとの仲がうまくいかなくなってしまう。
だから私は言った。
「キャロル。」
「何?テア。」
「私・・貴女の事が大好きよ。」
「フフ・・突然何言い出すの?テア。」
「だから・・・私に気を使わなくていいからね?キャロルが幸せになることが・・私の幸せだから・・。」
「!」
キャロルの息を飲む気配が伝わった。そして・・・キャロルは返事をした。
「ええ、分ったわ・・・。」
「本当は・・このネックレス欲しかったんでしょう?」
「そ、それは・・・。」
キャロルは明らかに動揺している。
「私より、やっぱりキャロルの方が・・似合ってるわよ。だから・・ネックレス外してくれる?」
「テア・・。」
キャロルは私から身体を離すと背後に回りネックレスを外した。
「これは・・貴女の物だから。」
キャロルは黙って頷き、ポケットにしまうと言った。
「テア、それじゃお部屋に戻りましょう?」
「ええ・・。」
そして私はキャロルに連れられて部屋へと戻り、すっかり生ぬるくなってしまった鎮静剤を飲んだ後・・横になった―。
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