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7 花束のプレゼント
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翌日も素晴らしい天気だった。11時にヘンリーが迎えに来てくれることになっていたので、私とキャロルはエントランスの前で彼が来るのを待っていた。
今日のキャロルはマリンスタイルのワンピース姿に麦藁帽子姿でとても可愛らしかった。
「キャロル、そのワンピース・・・とても素敵ね?」
するとキャロルが言った。
「ありがとう。でもテアも素敵よ。その大きなひまわり柄にワンピース・・・とても貴女に似合ってるわ。」
「ありがとう、キャロル。」
ヘンリーも・・・褒めてくれるだろうか・・?そんな事を考えていると、エントランスにドアノッカーの音が響き渡った。
「あ、きっとヘンリーだわ。」
私はドアをガチャリと開けると、そこには満面の笑みをたたえたヘンリーが立っていた。けれども・・ドアを開けたのが私である事が分ると、すーっと顔色が変わった。
「何だ・・・テアだったのか。」
「う、うん・・・。こんにちは、ヘンリー。今日もよろしくね。」
「ああ・・・。」
ヘンリーの手には大きなひまわりとハイビスカスの花束が握られていた。そして私の背後にキャロルが立っているのを見つけると、途端に笑顔になった。
「キャロルッ!」
「・・・。」
私は無言でヘンリーの前から避けると、彼はスタスタと歩いてキャロルの前でピタリと止まると、サッと花束を差し出した。
「キャロル・・・これ・・。」
「え?私に・・?」
一瞬キャロルは私の方をチラリと見た。その顔には戸惑いの表情が浮かんでいる。だから私は言った。
「まあ、綺麗な花束ね。キャロルにすごく似合ってる。ありがとう、ヘンリー。」
「え?」
ヘンリーは驚いた顔で私を見た。
「私の親友にプレゼントしてくれて、ありがとう。」
そしてニッコリ笑った。・・・自分のズキズキする胸の痛みを堪えるのは容易じゃ無かったけど、私はヘンリーに良く思われていない。これ以上彼に嫌われない為には演技するしかなかった。それにキャロルは私の大切な親友だ。彼女にだって私がここでへそを曲げたりして、いやな気分を味わわせたくは無かった。・・・でも、出来れば・・私の見ていない処でプレゼントを渡して貰いたかった。だって・・私は自分の誕生日や、クリスマスですらヘンリーからプレゼントを貰った事などは無かったから。毎年同じメッセージカードを貰うだけだったから・・。
「よし、それじゃ・・・行こうか?キャロル。」
「ええ、行きましょう。」
2人は私の前を通り過ぎてドアを開けた。そしてその後ろをついていく私。
外に出ると、すでにドアの前には見たことも無い立派な馬車が止まっていた。この馬車はヘンリーが用意したものだった。その証拠に馬車には彼の家の家紋が刻まれている。
これが・・・ヘンリーが所有している馬車・・・。初めて見た。何故ならいつもどこかへ出かける時は、私が馬車を用意していたか、辻馬車を使用していたから。
「馬車・・・用意できたのね・・。」
思わずポツリと呟いたとき、鋭い視線を感じた。ハッとなって顔を上げるとヘンリーが鋭い目つきで私を睨み付けている。いけない・・今の呟き、彼に聞かれてしまったんだ。ヘンリーはあからさまに私から視線を逸らせると、馬車のドアを開けてキャロルに手を差し伸べた。
「さ、乗って。キャロル。」
「ありがとう。」
キャロルはヘンリーにエスコートされて馬車に乗り込み、座るとヘンリーも当然の様に馬車に乗り込み、座った。
「あら?ヘンリー。テアはエスコートしないの?」
キャロルに悪気は無かったのだろうが、ヘンリーの眉間にしわが出来るのを私は一瞬で見て取った。
「いいえ、私は1人で乗るから大丈夫よ。」
後でヘンリーに文句を言われたくは無かった。手すりにつかまり、ドアを閉めるとキャロルの隣に私は座った。
「よし、それじゃ出してくれ。」
ヘンリーは御者に命じた。
「はい、かしこまりました。」
御者の男性は頷くと、馬車を走らせ始めた―。
今日のキャロルはマリンスタイルのワンピース姿に麦藁帽子姿でとても可愛らしかった。
「キャロル、そのワンピース・・・とても素敵ね?」
するとキャロルが言った。
「ありがとう。でもテアも素敵よ。その大きなひまわり柄にワンピース・・・とても貴女に似合ってるわ。」
「ありがとう、キャロル。」
ヘンリーも・・・褒めてくれるだろうか・・?そんな事を考えていると、エントランスにドアノッカーの音が響き渡った。
「あ、きっとヘンリーだわ。」
私はドアをガチャリと開けると、そこには満面の笑みをたたえたヘンリーが立っていた。けれども・・ドアを開けたのが私である事が分ると、すーっと顔色が変わった。
「何だ・・・テアだったのか。」
「う、うん・・・。こんにちは、ヘンリー。今日もよろしくね。」
「ああ・・・。」
ヘンリーの手には大きなひまわりとハイビスカスの花束が握られていた。そして私の背後にキャロルが立っているのを見つけると、途端に笑顔になった。
「キャロルッ!」
「・・・。」
私は無言でヘンリーの前から避けると、彼はスタスタと歩いてキャロルの前でピタリと止まると、サッと花束を差し出した。
「キャロル・・・これ・・。」
「え?私に・・?」
一瞬キャロルは私の方をチラリと見た。その顔には戸惑いの表情が浮かんでいる。だから私は言った。
「まあ、綺麗な花束ね。キャロルにすごく似合ってる。ありがとう、ヘンリー。」
「え?」
ヘンリーは驚いた顔で私を見た。
「私の親友にプレゼントしてくれて、ありがとう。」
そしてニッコリ笑った。・・・自分のズキズキする胸の痛みを堪えるのは容易じゃ無かったけど、私はヘンリーに良く思われていない。これ以上彼に嫌われない為には演技するしかなかった。それにキャロルは私の大切な親友だ。彼女にだって私がここでへそを曲げたりして、いやな気分を味わわせたくは無かった。・・・でも、出来れば・・私の見ていない処でプレゼントを渡して貰いたかった。だって・・私は自分の誕生日や、クリスマスですらヘンリーからプレゼントを貰った事などは無かったから。毎年同じメッセージカードを貰うだけだったから・・。
「よし、それじゃ・・・行こうか?キャロル。」
「ええ、行きましょう。」
2人は私の前を通り過ぎてドアを開けた。そしてその後ろをついていく私。
外に出ると、すでにドアの前には見たことも無い立派な馬車が止まっていた。この馬車はヘンリーが用意したものだった。その証拠に馬車には彼の家の家紋が刻まれている。
これが・・・ヘンリーが所有している馬車・・・。初めて見た。何故ならいつもどこかへ出かける時は、私が馬車を用意していたか、辻馬車を使用していたから。
「馬車・・・用意できたのね・・。」
思わずポツリと呟いたとき、鋭い視線を感じた。ハッとなって顔を上げるとヘンリーが鋭い目つきで私を睨み付けている。いけない・・今の呟き、彼に聞かれてしまったんだ。ヘンリーはあからさまに私から視線を逸らせると、馬車のドアを開けてキャロルに手を差し伸べた。
「さ、乗って。キャロル。」
「ありがとう。」
キャロルはヘンリーにエスコートされて馬車に乗り込み、座るとヘンリーも当然の様に馬車に乗り込み、座った。
「あら?ヘンリー。テアはエスコートしないの?」
キャロルに悪気は無かったのだろうが、ヘンリーの眉間にしわが出来るのを私は一瞬で見て取った。
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後でヘンリーに文句を言われたくは無かった。手すりにつかまり、ドアを閉めるとキャロルの隣に私は座った。
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