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いざ行かん!ドラゴンの国へ 1
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ザザーン…
ザザーン…
澄み渡る青空の元、エメラルドグリーンの美しい海は太陽に照らされてキラキラと光り輝いている。空ではウミネコがミャウミャウと鳴き、波打ち際に寄せる白い波…。ついに私達はミラージュの生まれ故郷があると言われている『アトラント』に到着した…と言うか、漂流してきたのである。
「はぁ…それにしてもよく無事にここまで到着出来ましたね」
砂浜に座るナージャさんが波打ち際に打ち上げられた船を見つめながら言った。
「本当だよ、全く死ぬかと思った」
サミュエル皇子も呆けた顔で同じく砂浜に座り、海を見つめながら言う。サミュエル皇子はすっかり浅黒い肌に日焼けし、ますますワイルドになってきている。今や皇子の面影は何所にも無い。皇子と言うよりはターザンに近いかも知れない。
「ですから最初から私がドラゴンの姿になって皆さまをここまでお運びしていればこのような事にはならなかったはずですのに…」
ミラージュが指先で白い砂浜に得体の知れない落書きをしながら言う。
「まぁまぁ、ミラージュ。もしミラージュがドラゴンだとバレて見世物小屋に売り飛ばされたりしたら私も皆も困るでしょう?」
私はミラージュをなだめながら言う。
そして隣に立っている私達の愛馬、レティオとロミオも『その通りです』とヒヒンといななく。これ、本当の話。けれど今や彼らが引く馬車は海の藻屑となってしまった。勿論私達の荷物もだ。唯一無事だったのはナージャさんが常に肌身離さず背負っているリュックサックだけであった。何せリュックの中には彼女の命とも呼べる水晶玉が入っているのだから。
そして私達以外にも呆然と砂浜に座り込む人々がいる。皆の目はある一点に釘付けになっていた。船体が壊れてボロボロになっている船の残骸が…。
どうしてこんな事になったのかと言うと、この話は、少し前に遡る…
****
私達は東の大陸に一番近い町、『ユーロス』という町へやってきていた。この港町には観光船が沢山停泊しており、私達が目指す『アトラント』行きの観光船も停泊していた。
その船は観光船と言うよりは漁船の様に見えた。客室と言う物はおよそ無く、ただ背もたれも無いベンチが8列並べられているだけである。
「まぁ、これが『アトラント』行きの観光船ですか?何ともしょぼい船ですわね」
思ったこと、感じた事を素直な心で語るミラージュ。しかし、それが時として人にの怒りを買う…という事を彼女は気付いていない。
「ああああぁん?そこの姉ちゃん、今何て言った?!」
すると背後で乱暴な男の声が聞こえた。振り向くと、そこには長髪の髪を後ろで1本にまとめ、頭には真っ赤なバンダナをしめたマッチョな男が立っていた。よし、この男は今から私の中で『マッチョマン』と呼ぶことにしよう。そしてこのマッチョマンは自分のマッチョな身体を誇示するかのようにむやみやたらと胸元がはだけた白いシャツを着ていた。袖を乱暴にたくし上げ、右腕上腕部からはイカリのマークの刺青が彫られている。
「まあっ!誰ですの?このマッチョマンは!」
ミラージュは腰を両手に置き、マッチョマンを見上げてふんぞり返った。おおっ!流石はミラージュ。私とあだ名の付け方のネーミングが一緒だとは…やはり私達は以心伝心の中である。
「俺が誰かって?いいだろう!教えてやろうじゃないか!俺様はこの観光船の船長であるジャスパー様だっ!よーく覚えて置けっ!」
まるきり海賊にしか見えない彼がこの船の船長だったとは驚きだ。
そしてこの船長との出会いが今の悲劇を生んだのであった―。
ザザーン…
澄み渡る青空の元、エメラルドグリーンの美しい海は太陽に照らされてキラキラと光り輝いている。空ではウミネコがミャウミャウと鳴き、波打ち際に寄せる白い波…。ついに私達はミラージュの生まれ故郷があると言われている『アトラント』に到着した…と言うか、漂流してきたのである。
「はぁ…それにしてもよく無事にここまで到着出来ましたね」
砂浜に座るナージャさんが波打ち際に打ち上げられた船を見つめながら言った。
「本当だよ、全く死ぬかと思った」
サミュエル皇子も呆けた顔で同じく砂浜に座り、海を見つめながら言う。サミュエル皇子はすっかり浅黒い肌に日焼けし、ますますワイルドになってきている。今や皇子の面影は何所にも無い。皇子と言うよりはターザンに近いかも知れない。
「ですから最初から私がドラゴンの姿になって皆さまをここまでお運びしていればこのような事にはならなかったはずですのに…」
ミラージュが指先で白い砂浜に得体の知れない落書きをしながら言う。
「まぁまぁ、ミラージュ。もしミラージュがドラゴンだとバレて見世物小屋に売り飛ばされたりしたら私も皆も困るでしょう?」
私はミラージュをなだめながら言う。
そして隣に立っている私達の愛馬、レティオとロミオも『その通りです』とヒヒンといななく。これ、本当の話。けれど今や彼らが引く馬車は海の藻屑となってしまった。勿論私達の荷物もだ。唯一無事だったのはナージャさんが常に肌身離さず背負っているリュックサックだけであった。何せリュックの中には彼女の命とも呼べる水晶玉が入っているのだから。
そして私達以外にも呆然と砂浜に座り込む人々がいる。皆の目はある一点に釘付けになっていた。船体が壊れてボロボロになっている船の残骸が…。
どうしてこんな事になったのかと言うと、この話は、少し前に遡る…
****
私達は東の大陸に一番近い町、『ユーロス』という町へやってきていた。この港町には観光船が沢山停泊しており、私達が目指す『アトラント』行きの観光船も停泊していた。
その船は観光船と言うよりは漁船の様に見えた。客室と言う物はおよそ無く、ただ背もたれも無いベンチが8列並べられているだけである。
「まぁ、これが『アトラント』行きの観光船ですか?何ともしょぼい船ですわね」
思ったこと、感じた事を素直な心で語るミラージュ。しかし、それが時として人にの怒りを買う…という事を彼女は気付いていない。
「ああああぁん?そこの姉ちゃん、今何て言った?!」
すると背後で乱暴な男の声が聞こえた。振り向くと、そこには長髪の髪を後ろで1本にまとめ、頭には真っ赤なバンダナをしめたマッチョな男が立っていた。よし、この男は今から私の中で『マッチョマン』と呼ぶことにしよう。そしてこのマッチョマンは自分のマッチョな身体を誇示するかのようにむやみやたらと胸元がはだけた白いシャツを着ていた。袖を乱暴にたくし上げ、右腕上腕部からはイカリのマークの刺青が彫られている。
「まあっ!誰ですの?このマッチョマンは!」
ミラージュは腰を両手に置き、マッチョマンを見上げてふんぞり返った。おおっ!流石はミラージュ。私とあだ名の付け方のネーミングが一緒だとは…やはり私達は以心伝心の中である。
「俺が誰かって?いいだろう!教えてやろうじゃないか!俺様はこの観光船の船長であるジャスパー様だっ!よーく覚えて置けっ!」
まるきり海賊にしか見えない彼がこの船の船長だったとは驚きだ。
そしてこの船長との出会いが今の悲劇を生んだのであった―。
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