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第4章 4 ヒルダと喪服
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「私が着ている服は…喪服のつもりで着ているのです」
ヒルダはノワールの目を見ると言った。
「喪服…ひょっとして亡くなった恋人の為か?」
「そうです…。私の恋人だったルドルフの為です」
ルドルフの名を口にするだけでヒルダの胸は今も締め付けられそうに苦しくなってくる。
「だが、こんな言い方をしてどうかとは思うが、彼が無くなってもう1年半以上たつんじゃないのか?それなのにまだそんな色ばかりの服を着るつもりか?それとも一生着続けるのか?」
「…そのつもりです」
俯き加減に答えると、ノワールはフンと鼻を鳴らしそっぽを向くと言った。
「フン。バカバカしい。君は一生そうやって喪に服して生きていくつもりか?この先亡くなった恋人を偲んで、誰とも恋も結婚もせずに1人で生きてく気か?」
「…」
ヒルダが答えられずにいるとノワールはボソリと小さく呟いた。
「…まだ20歳にも満たないくせに…」
「ノワール様‥‥?」
しかし、その後ノワールはじっとバスの窓から外を眺めるだけでヒルダの方を見向きもしない。
(そっとしておきましょう…)
ヒルダは心の中でため息をついた―。
****
ロータス駅に到着するとノワールが言った。
「乗車券はもう買ってあるから買う必要は無い。このまま改札へ向かうぞ」
そしてヒルダに乗車券を差し出して来た。
「わざわざ御用意頂き、ありがとうございます」
お礼を述べて受け取る。
「…別にこれくらい当然だ。俺の用事でヒルダを連れ出したんだからな。それじゃ行くぞ」
ノワールはヒルダの返事を聞かぬうちにさっさと歩きだして改札を通り抜けてしまった。
「あ」
(私も急がなくちゃ見失ってしまうわ)
ヒルダも急いでノワールの後を追ったが、杖をつきなが人混みを通るには大変だった。どんどんノワールとの歩く距離が引き離されていく。
(このままじゃ…見失ってしまうわ)
外の人々よりも頭一つ分飛び抜けて背が高いノワールの後を必死で追うヒルダ。
の返事を待たないうちにさっさとノワールは歩きだしてしまった。
「あ…」
とうとうノワールの姿を見失ってしまった。
(仕方ないわね…でも降りる駅は分っているのだから…)
ヒルダはノワールの姿を追うのは諦めて、ホームを目指してゆっくり歩きだした。
****
ホームに降り立ったヒルダは汽車が来るのを待っていた。ロータス発、終着駅カウベリーの汽車はローカル線なので本数が少ない。
(後10分で汽車が来るわね…)
ホームにある大きな時計を見つめていると、背後から突然声を掛けられた。
「ヒルダッ!」
「え?」
振り向くとそこには荒い息を吐きながらノワールが数m先に立っていた。
「ノワール様…」
ノワールの顔にホッとした表情が浮かんだ次の瞬間、顔が険しくなった。
「何やってるんだ!こんなところで…どれだけ俺が探し回ったと思う?」
「あ、あの…すみません。ノワール様の歩く速度は速くて…ついていけなくて…」
「だったら何故すぐにそう言わない?そうしたらあるウ速度だって合わせる事が出来たじゃないか」
ノワールが怖くて言い出せなかった…とはとても言えず、ただヒルダは頭だけを下げた。
「申し訳ございませんでした…」
その様子にノワールは小さく舌打ちすると、ヒルダの右腕を掴んできた。
「!」
驚いてノワールを見るが、彼自身はそれを気にも留めるそぶりも無く言った。
「…こっちだ。もうはぐれるなよ」
「はい…」
そしてノワールはヒルダの腕を掴んだままホームを歩きだした―。
ヒルダはノワールの目を見ると言った。
「喪服…ひょっとして亡くなった恋人の為か?」
「そうです…。私の恋人だったルドルフの為です」
ルドルフの名を口にするだけでヒルダの胸は今も締め付けられそうに苦しくなってくる。
「だが、こんな言い方をしてどうかとは思うが、彼が無くなってもう1年半以上たつんじゃないのか?それなのにまだそんな色ばかりの服を着るつもりか?それとも一生着続けるのか?」
「…そのつもりです」
俯き加減に答えると、ノワールはフンと鼻を鳴らしそっぽを向くと言った。
「フン。バカバカしい。君は一生そうやって喪に服して生きていくつもりか?この先亡くなった恋人を偲んで、誰とも恋も結婚もせずに1人で生きてく気か?」
「…」
ヒルダが答えられずにいるとノワールはボソリと小さく呟いた。
「…まだ20歳にも満たないくせに…」
「ノワール様‥‥?」
しかし、その後ノワールはじっとバスの窓から外を眺めるだけでヒルダの方を見向きもしない。
(そっとしておきましょう…)
ヒルダは心の中でため息をついた―。
****
ロータス駅に到着するとノワールが言った。
「乗車券はもう買ってあるから買う必要は無い。このまま改札へ向かうぞ」
そしてヒルダに乗車券を差し出して来た。
「わざわざ御用意頂き、ありがとうございます」
お礼を述べて受け取る。
「…別にこれくらい当然だ。俺の用事でヒルダを連れ出したんだからな。それじゃ行くぞ」
ノワールはヒルダの返事を聞かぬうちにさっさと歩きだして改札を通り抜けてしまった。
「あ」
(私も急がなくちゃ見失ってしまうわ)
ヒルダも急いでノワールの後を追ったが、杖をつきなが人混みを通るには大変だった。どんどんノワールとの歩く距離が引き離されていく。
(このままじゃ…見失ってしまうわ)
外の人々よりも頭一つ分飛び抜けて背が高いノワールの後を必死で追うヒルダ。
の返事を待たないうちにさっさとノワールは歩きだしてしまった。
「あ…」
とうとうノワールの姿を見失ってしまった。
(仕方ないわね…でも降りる駅は分っているのだから…)
ヒルダはノワールの姿を追うのは諦めて、ホームを目指してゆっくり歩きだした。
****
ホームに降り立ったヒルダは汽車が来るのを待っていた。ロータス発、終着駅カウベリーの汽車はローカル線なので本数が少ない。
(後10分で汽車が来るわね…)
ホームにある大きな時計を見つめていると、背後から突然声を掛けられた。
「ヒルダッ!」
「え?」
振り向くとそこには荒い息を吐きながらノワールが数m先に立っていた。
「ノワール様…」
ノワールの顔にホッとした表情が浮かんだ次の瞬間、顔が険しくなった。
「何やってるんだ!こんなところで…どれだけ俺が探し回ったと思う?」
「あ、あの…すみません。ノワール様の歩く速度は速くて…ついていけなくて…」
「だったら何故すぐにそう言わない?そうしたらあるウ速度だって合わせる事が出来たじゃないか」
ノワールが怖くて言い出せなかった…とはとても言えず、ただヒルダは頭だけを下げた。
「申し訳ございませんでした…」
その様子にノワールは小さく舌打ちすると、ヒルダの右腕を掴んできた。
「!」
驚いてノワールを見るが、彼自身はそれを気にも留めるそぶりも無く言った。
「…こっちだ。もうはぐれるなよ」
「はい…」
そしてノワールはヒルダの腕を掴んだままホームを歩きだした―。
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