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第3章 11 ノワールの忠告
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「何やってるかて聞いてるだろ?答えろよ」
ノワールは冷たい声で男子学生達に言う。
「な、何って…サークルの勧誘だよ」
ヒルダの肩を掴んでいた学生が言った。
「勧誘?どう見ても彼女は嫌がってるじゃないか」
ノワールは学生を鋭い目つきで睨み付けた。
「何だよ。お前には関係ないだろう?さっさと行けよ」
別の学生が言う。
「ああ、邪魔するなよ」
更にもう1人の学生もノワールに言った。どうやら彼らはヒルダを離す気は無いようだ。
(お願い…!助けて下さいっ!ノワール様!)
ヒルダは必死でノワールの目を見つめた。
「…」
そんなヒルダをノワールは無言で見つめている。
「ほら、やっぱり何も言う事が無いんだろう?さっさと行けよ」
学生が手でノワールを追い払おうとする真似をしようとした時…。
「関係ならある。ヒルダは俺の親戚だからな」
ノワールが学生達に言った。
(ノワール様っ!)
途端に学生たちの顔色が変わる。
「え…?そ、その話…本当なのかよ…?」
「名前を知っているって事は…?」
「嘘じゃないのか…?」
口々に言う男子学生にノワールは言った。
「大学側にお前たちの事を訴えてもいいんだぞ?いいのか?サークルの事を持ち出されても…」
「わ、分ったよ!」
ヒルダの肩を掴んでいた男子学生は手を離すと、おもいきりヒルダをノワールの方へ突き飛ばした。
「キャアッ!」
カラーン
持っていた杖を落としてしまった。
足が不自由なヒルダにはたまったものではない。地面が迫って来る…。
(転ぶ!)
ヒルダは思わず強く目をつぶった。が…。
ボスン
ヒルダはノワールの胸に倒れ込んでいた。咄嗟に駆け寄ってヒルダを受け止めてくれたのだ。
「あ、あの…!有難うございます!」
ヒルダは慌ててノワールから離れると頭を下げた。
「別に謝る事は無い。相手が誰であれ助けるつもりだったから。あいつらのサークルは大学側からは正式に認められていないんだ」
「え?」
「あの連中は質の悪い奴らばかりだ。数少ない女子学生を無理矢理サークルに勧誘するような最低な奴らだ。だがあいつらの実家では毎年高額な寄付金をこの大学に支払っているからな…大学側だってそう強い態度は取れないんだ。けれど来年であいつらも卒業だから、いざとなったら大学に訴えても…って俺は何でこんな話を君にしてるんだ?」
ノワールは髪をかき上げながらため息をつくと言った。
「ノワール様…」
「いいか?よく分っていないようだから教えてやろう。ここは圧倒的に女性が少ない場所なんだ。あまり1人で行動しているとさっきのような奴らに目を付けられるかもしれないぞ?せいぜい気をつける事だ。分ったか?」
「は、はい」
「…」
ノワールは落ちていたヒルダの杖を無言で拾い上げると、差し出して来た。
「ほら。君のだろう?」
「ありがとうございます」
ヒルダが杖を受け取ると、ノワールはそのまま背を向けて立ち去ってしまった。その後ろ姿を見ながらヒルダは思った。
(ノワール様…。口では強い事を言うけれども…本当は親切な方なのかもしれないわ)
そしてヒルダも自分の教室へと向かって歩き始めた―。
ノワールは冷たい声で男子学生達に言う。
「な、何って…サークルの勧誘だよ」
ヒルダの肩を掴んでいた学生が言った。
「勧誘?どう見ても彼女は嫌がってるじゃないか」
ノワールは学生を鋭い目つきで睨み付けた。
「何だよ。お前には関係ないだろう?さっさと行けよ」
別の学生が言う。
「ああ、邪魔するなよ」
更にもう1人の学生もノワールに言った。どうやら彼らはヒルダを離す気は無いようだ。
(お願い…!助けて下さいっ!ノワール様!)
ヒルダは必死でノワールの目を見つめた。
「…」
そんなヒルダをノワールは無言で見つめている。
「ほら、やっぱり何も言う事が無いんだろう?さっさと行けよ」
学生が手でノワールを追い払おうとする真似をしようとした時…。
「関係ならある。ヒルダは俺の親戚だからな」
ノワールが学生達に言った。
(ノワール様っ!)
途端に学生たちの顔色が変わる。
「え…?そ、その話…本当なのかよ…?」
「名前を知っているって事は…?」
「嘘じゃないのか…?」
口々に言う男子学生にノワールは言った。
「大学側にお前たちの事を訴えてもいいんだぞ?いいのか?サークルの事を持ち出されても…」
「わ、分ったよ!」
ヒルダの肩を掴んでいた男子学生は手を離すと、おもいきりヒルダをノワールの方へ突き飛ばした。
「キャアッ!」
カラーン
持っていた杖を落としてしまった。
足が不自由なヒルダにはたまったものではない。地面が迫って来る…。
(転ぶ!)
ヒルダは思わず強く目をつぶった。が…。
ボスン
ヒルダはノワールの胸に倒れ込んでいた。咄嗟に駆け寄ってヒルダを受け止めてくれたのだ。
「あ、あの…!有難うございます!」
ヒルダは慌ててノワールから離れると頭を下げた。
「別に謝る事は無い。相手が誰であれ助けるつもりだったから。あいつらのサークルは大学側からは正式に認められていないんだ」
「え?」
「あの連中は質の悪い奴らばかりだ。数少ない女子学生を無理矢理サークルに勧誘するような最低な奴らだ。だがあいつらの実家では毎年高額な寄付金をこの大学に支払っているからな…大学側だってそう強い態度は取れないんだ。けれど来年であいつらも卒業だから、いざとなったら大学に訴えても…って俺は何でこんな話を君にしてるんだ?」
ノワールは髪をかき上げながらため息をつくと言った。
「ノワール様…」
「いいか?よく分っていないようだから教えてやろう。ここは圧倒的に女性が少ない場所なんだ。あまり1人で行動しているとさっきのような奴らに目を付けられるかもしれないぞ?せいぜい気をつける事だ。分ったか?」
「は、はい」
「…」
ノワールは落ちていたヒルダの杖を無言で拾い上げると、差し出して来た。
「ほら。君のだろう?」
「ありがとうございます」
ヒルダが杖を受け取ると、ノワールはそのまま背を向けて立ち去ってしまった。その後ろ姿を見ながらヒルダは思った。
(ノワール様…。口では強い事を言うけれども…本当は親切な方なのかもしれないわ)
そしてヒルダも自分の教室へと向かって歩き始めた―。
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