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第2章 6 エドガーの結婚式 4
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「お母様、戻りました」
ヒルダはマーガレットとカミラの元に戻ってきた。
「お帰りなさい、ヒルダ。…あら?どうしたの?何だか顔色が悪いようだけど…」
マーガレットが心配そうな顔でヒルダを見た。
「い、いえ…何でもありません‥」
ヒルダは母に心配かけてはいけないと思い、先程感じた不安な気持ちを押し隠した。しかし…。
「ヒルダ、嘘をついては駄目よ。何かあったのでしょう?正直にお話なさい」
「お母様…」
するとカミラが言った。
「ヒルダ様。お願いします。奥様も私も…ヒルダ様が心配でならないのです」
ヒルダは先ほどまでカミラとマーガレットがヒルダの話をしていたことを知らない。
「お母様、カミラ…わ、分りました…お話します…」
ヒルダは重い口を開き、つい先ほどあった出来事を話た。
「まぁ…エレノアのお兄さんに…」
マーガレットは溜息をつくと、キョロキョロと辺りを見渡し、小声で話し始めた。
「実は…ついさっき小耳に挟んだのだけど…エレノアの兄、デイブ様の事が噂になっていたのよ。どうも女性問題が多い人みたいで…素行も良くないらしいわ…」
「え…?そ、そんな…」
ヒルダの顔色がますます青ざめていく。
(エレノア様に罪は無いけれど…お、お兄様…。お父様は…その話をご存じなのかしら…?)
ヒルダはエドガーが哀れでならなかった。かと言って…ヒルダにはもうなすすべは無かった。今日は結婚式であり…そしてヒルダはエドガーの愛に応える訳にもいかなかった。だからせめて、エドガーの為に祈った。
出来るだけ、デイブとエドガーが関わりを持たずにエレノアと幸せな家庭を築けるように…。
****
それから少しの時間が経過し、結婚式の開催される時間となった。ヒルダはなるべく誰からも目立たない様にカミラと共に結婚式場の一番後ろの席の端に座った。
そしてパイプオルガンが厳かなメロディーを奏で始めると教会の扉が開き、エドガーとエレノアが腕を組んで入場してきた。
それを見て騒めく人々。
「変わった結婚式だな」
「新婦は父親とバージンロードを歩くのが普通じゃないかしら?」
「どうも親子関係がうまくいってないらしい…」
様々な憶測が飛び交っている。このようにあからさまでは当然2人の耳にだって入って来るだろう。すると隣に座るカミラが耳打ちをしてきた。
「これは少々酷いですね…姉夫婦は『ロータス』で結婚式を挙げたのですが、新郎新婦の入場でした。でも誰もこのような噂話は1人もしておりませんでしたよ」
「そう…」
ヒルダはエドガーの姿を目で追いながらポツリと返事をした。エドガーは真っ白な燕尾服姿で、金の光輝く髪に良く似合っていた。そして、窓から差し込む一筋の太陽が神父の前に立つ新郎新婦に降り注いだ瞬間、人々はざわめきをやめた。それ程に美しい光景だったのである。まるでその光は2人の門出を祝福しているかのようにも見えた。そして参列客の若い女性達の中にはエドガーの美しさにため息を漏らす者達もいた。
(お兄様…とても素敵よ。どうか…エレノア様と幸せな家庭を築いて下さい…)
ヒルダは心の中で再び祈りを捧げるのだった―。
ヒルダはマーガレットとカミラの元に戻ってきた。
「お帰りなさい、ヒルダ。…あら?どうしたの?何だか顔色が悪いようだけど…」
マーガレットが心配そうな顔でヒルダを見た。
「い、いえ…何でもありません‥」
ヒルダは母に心配かけてはいけないと思い、先程感じた不安な気持ちを押し隠した。しかし…。
「ヒルダ、嘘をついては駄目よ。何かあったのでしょう?正直にお話なさい」
「お母様…」
するとカミラが言った。
「ヒルダ様。お願いします。奥様も私も…ヒルダ様が心配でならないのです」
ヒルダは先ほどまでカミラとマーガレットがヒルダの話をしていたことを知らない。
「お母様、カミラ…わ、分りました…お話します…」
ヒルダは重い口を開き、つい先ほどあった出来事を話た。
「まぁ…エレノアのお兄さんに…」
マーガレットは溜息をつくと、キョロキョロと辺りを見渡し、小声で話し始めた。
「実は…ついさっき小耳に挟んだのだけど…エレノアの兄、デイブ様の事が噂になっていたのよ。どうも女性問題が多い人みたいで…素行も良くないらしいわ…」
「え…?そ、そんな…」
ヒルダの顔色がますます青ざめていく。
(エレノア様に罪は無いけれど…お、お兄様…。お父様は…その話をご存じなのかしら…?)
ヒルダはエドガーが哀れでならなかった。かと言って…ヒルダにはもうなすすべは無かった。今日は結婚式であり…そしてヒルダはエドガーの愛に応える訳にもいかなかった。だからせめて、エドガーの為に祈った。
出来るだけ、デイブとエドガーが関わりを持たずにエレノアと幸せな家庭を築けるように…。
****
それから少しの時間が経過し、結婚式の開催される時間となった。ヒルダはなるべく誰からも目立たない様にカミラと共に結婚式場の一番後ろの席の端に座った。
そしてパイプオルガンが厳かなメロディーを奏で始めると教会の扉が開き、エドガーとエレノアが腕を組んで入場してきた。
それを見て騒めく人々。
「変わった結婚式だな」
「新婦は父親とバージンロードを歩くのが普通じゃないかしら?」
「どうも親子関係がうまくいってないらしい…」
様々な憶測が飛び交っている。このようにあからさまでは当然2人の耳にだって入って来るだろう。すると隣に座るカミラが耳打ちをしてきた。
「これは少々酷いですね…姉夫婦は『ロータス』で結婚式を挙げたのですが、新郎新婦の入場でした。でも誰もこのような噂話は1人もしておりませんでしたよ」
「そう…」
ヒルダはエドガーの姿を目で追いながらポツリと返事をした。エドガーは真っ白な燕尾服姿で、金の光輝く髪に良く似合っていた。そして、窓から差し込む一筋の太陽が神父の前に立つ新郎新婦に降り注いだ瞬間、人々はざわめきをやめた。それ程に美しい光景だったのである。まるでその光は2人の門出を祝福しているかのようにも見えた。そして参列客の若い女性達の中にはエドガーの美しさにため息を漏らす者達もいた。
(お兄様…とても素敵よ。どうか…エレノア様と幸せな家庭を築いて下さい…)
ヒルダは心の中で再び祈りを捧げるのだった―。
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