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第1章 3 気付かされた恋心

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「アレン先生…あの、私‥迎えに来てくれるのはマドレーヌとジャスティンと聞いていたのですけど?」

ヒルダはアレンを見上げながら言った。後から現れたカミラも現れたアレンを見て驚いている。

「ああ、それなんだが…実は数日前にマドレーヌから言われたんだよ。やはり3人で卒業パーティーに参加するのはおかしいから、俺にヒルダのパートナーになってもらいたいと」

「で、ですがアレン先生には関係ないパーティーなのに、パートナーになって頂くのはまずいのでは?」

「おいおい、ヒルダ。忘れていないか?俺はあの高校の勤務医も務めているんだぞ?十分関係者じゃないか」

「で、ですが…」

尚も言いよどむヒルダにアレンは眉をひそめた。

「ひょっとして…ヒルダ。俺がパートナーでは不服か?」

「い、いえ!そんな事はありません。むしろ…ありがたいと思っています」

実は本当の処、ヒルダはマドレーヌとジャスティンに迎えに来てもらうのは悪いと思っていたのだ。2人は恋人同士。そんな恋人同士の間に入ってパーティーに参加するは申し訳なく思っていた。勿論、ヒルダにしてもパートナーを探す事は容易であった。何故ならクラスメイトや他のクラスの男子生徒までもがパートナーになって欲しいと手紙が連日ヒルダの元に届いていたからである。だが、そこでパートナーを選んでしまえば恋人になったも同然と見られてしまう。恋人を作る気が全く無いヒルダにとって、パートナーを決める事は出来なかったのだ。だが、その点アレンなら安心だ。何故なら彼は生徒でも無ければ、年齢だってヒルダより10歳は年上だ。アレンをパートナーとして参加しても誰も彼を恋人としては見る事はないはずだ。

「アレン先生。それでは今夜の卒業パーティーのパートナー。どうぞよろしくお願いします」

ヒルダは頭を下げた。

「ああ。こちらこそよろしくな。では行こう」

アレンは自分の右腕にヒルダの手を組ませると、カミラに言った。

「それではカミラさん。ヒルダを連れて行きますね」

「はい、どうぞよろしくお願い致します」

カミラは頭を下げた。

「行って来るわね、カミラ」

既にこの時には、カミラは姉では無くヒルダのメイドだと言う事はアレンに話していた。

「行ってらっしゃいませ、ヒルダ様」

こうしてヒルダとアレンはカミラに見送られながら、卒業パーティーへと向かった。


****

「ヒルダ、そのドレス、すごくよく似合っているよ。もうすっかり大人の女性だな」

アレンはヒルダを見つめると言った。

「そんな…アレン先生から見れば私なんてまだまだ子供です」

ヒルダは静かに答える。

「そんな事は無い。ヒルダはもう18歳だ。成人式だって終えたじゃないか。もう立派な大人さ」

実際、アレンは今夜迎えに行ったヒルダを初めて目にした時、心臓を鷲掴みにされる程の衝撃を受けた。今までは儚げな美少女のイメージだったヒルダが、目を見張るくらいの美しい1人の女性として現れたからだ。

以前からヒルダの事を意識していたアレンではあったが、今夜化粧をして美しく着飾ったヒルダを見た時に、激しく胸が高鳴った。今でもそれが続いている。大人の余裕をみせてはいるが、本当はずっと緊張していた。そして改めて気付かされた。

(ああ…俺はやはりヒルダの事を1人の女性として好きなんだ‥‥)

と―。
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